No.
日付
タイトル
執筆者
33
2002/07/30
連載 負けない投資 番外編
大原部長
32
2002/07/29
金融サービス紹介
炎のファンドマネージャー
31
2002/07/29
500億円以下の小型株スクリーニングベスト20
炎のファンドマネージャー
30
2002/07/29
米国の幸せ、日本の不幸VS
日本の幸せ、米国の不幸
炎のファンドマネージャー
29
2002/07/29
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
28
2002/07/26
為替相場動向
生涯遊人
27
2002/07/26
拡大する再就職支援ビジネス
小野小町
26
2002/07/26
代替技術
両津勘吉
25
2002/07/23
連載 負けない投資 その7
大原部長
24
2002/07/23
夢見つけ隊(2673)
海パン刑事
23
2002/07/22
今年もCEATEC JAPANが始まるよ!!
炎のファンドマネージャー
22
2002/07/22
第3回日経ストックリーグへの参加決意
炎のファンドマネージャー
21
2002/07/22
マックが只になる日
炎のファンドマネージャー
20
2002/07/22
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
19
2002/07/19
米国のシステム
生涯遊人
18
2002/07/19
クリップコーポレーション(4705)
海パン刑事
17
2002/07/16
連載 負けない投資 その6
大原部長
16
2002/07/15
IPO2002年夏の陣を前に
炎のファンドマネージャー
15
2002/07/15
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
14
2002/07/12
最近、為替マーケットで噂になっていること
生涯遊人
13
2002/07/12
ダイエットの本質
小野小町
12
2002/07/12
帝人(3401)のパテント−2
両津勘吉
11
2002/07/09
連載 負けない投資 その5
大原部長
10
2002/07/09
海パン刑事のIPO 新規公開銘柄紹介
海パン刑事
9
2002/07/08
株価低迷するこの株をチェック!!
炎のファンドマネージャー
8
2002/07/08
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
7
2002/07/08
大原部長へ、
炎からのメールDEパフォーマンス報告
炎のファンドマネージャー
6
2002/07/08
この時期なぜこれほど上がるのか!?
炎のファンドマネージャー
5
2002/07/05
帝人(3401)のパテント
両津勘吉
4
2002/07/05
円高と購買力
生涯遊人
3
2002/07/02
連載 負けない投資 その4
大原部長
2
2002/07/01
株式相場展望
炎のファンドマネージャー
1
2002/07/01
今年前半相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

前月のコラムへ

33
2002/07/30 負けない投資 番外編
大原部長

 

【今回の疑問点】

「やってもやらなくてもいっしょじゃん」
「そんなに一生懸命やってどうするの?」
「適当にこなせばいいのさ」
「やる気にならないなあ」

そうぼやいているあなた!
 がんばるとどうなるんだろうか?
がんばったらどうなるのだろうか?
目の前の仕事を賢明&懸命に成し遂げたらどうなるのだろうか?

 今回は番外編ということでちょっと横道にそれますが、がんばることの金銭的報酬の可能性について考えます。

●学校でよい成績をとるとどうなる?
●企業で能力給で評価されるとどうなる?

 

【一生の記録 GPA − 学生は遊べない】

 学生は、いままでのように遊んでいては就職ができなくなりつつある。
 GPA(GRADE POINT AVERAGE)という取得単位平均点が優良以下を取ると、その場で退学という厳しい大学が続々と誕生しそうだ。米国では当たり前のことがようやく日本で当たり前になりそうだ。

 優なら4点、良なら3点、可なら2点、不可なら1点。
 取得した単位数をポイントで加重平均すると、優と良が半々ならGPA3.5点となる。

 日本の場合、履修だけをしてテストを受けなければ単位はつかないが、米国の場合、一定の期間を履修状態にしていて、テストを受けないと不可となる。不可になるとGPAがガクっと下がってしまう。

 それが何故問題かというと、金銭的に、GPAが悪いと奨学金がもらえる確率が低くなる。そして、さらに大学院への進学が不可能になるからだ。

 大学院は通常GPAは最低3点以上とされているが、一流大学院になると志願者の平均GPAは3.7点程度と高水準だ。
 良を貰うと「ええ? なんで? とても惨め… 泣きたいよーー」となるわけ。

 日本はテストで80点以上なら優であるが、90点とる生徒も100点の生徒もみんな優である。それでは100点の実力の生徒に不公平になる。
 そうなると100点にはA++とか、A+とかA−、A−−とか、同じ優でも格差をつけるわけ。公平。
 だから、学生にとってGPAがよいということが、一生の宝になる。

 米国の学生は勉強する。それはそうしないと自分のキャリアがそこでおしまいになるからである。厳しい世界だ。
 授業料も高い。だから学生数も少ない。密度が濃い。宿題の質も量も桁が違う。
 日本にMBAや社会人大学院が出来ているが、果たしてどのくらい厳しいのだろうか。
 どこまで厳しくできるか、その厳しさにその大学の将来が懸かっている。

 宿題をしっかりして理解する。ディスカッションをする。発表を堂々とそつなくこなす。そういう作業をしていくうちに、自分だけの自分なりに考えた結論が生まれてくる。
 いい成績をとるにはかなりの努力が必要になってくる。しかし、しっかりと奨学金などの制度で金銭的に報われるようになっている。また、将来、自分が社会人になってから、また、勉強が必要になったとき、悪いGPAだと社会人大学にもいけなくなるだろう。だから、学生はいまのうちからよい単位に「こだわる」必要があるだろう。

【資格は意味があるか? 自分の時給が簡単な資格ひとつで急上昇】

 たとえば、FE/PEというグローバルなエンジニアの資格がある。合格率は高い。でも、認知されていない。
こういうとき、そういう資格をとるといいことがあるのか。

ある。ある。

 英語の試験であるが、工学の知識がなければならない。PEは圧倒的に足りない。
 じゃあ、ためしにFEをとる。専門学校で講師をやる。時間給は1万円以上だ。
 資格を取り、教えるだけで時間給がアップ。資格の学校のほとんどが夜間や週末の講義であるために、職業を続けながらアルバイトをしている方が多い。
 MBAを目指す人が多い。それなら、MBAに行かずともGMATを勉強してみる。

自分のためになるかなあ?

 なる。なる。

 英語を書く練習ができる。読む力も論理力もつく。だってそういうことを試す試験だから。

じゃあ、いい点とったらどうなる?
 ⇒ 時間給1万円でアルバイトですね。

 アルバイトといっても、週に8時間はたらくと月々40万円程度の副業収入になりますね。(夜間2−3日教えてあげるだけで)
 目の前の資格でも、学校でも、とにかく最高の成績をとれば、時間給1万円が簡単に稼げる。
 自分は成長できるし、他人を助けることもできるし、金銭的にもハッピー。

 TOEFLやGMATやGREなど、英語の統一試験などは、判断基準がはっきりとしているグローバルなスタンダードとなっている。

 スタンダードをバカにしてはいけない。
 判断基準がはっきりとしているということは、誰でも、がんばれば認められるということであり、認められたものがそれなりの報酬を得ることができるということでもある。判断基準がはっきりしていない世の中では敗者復活のルールも創生できない。

 TOEFLで270−280をとる人は、そうでない人を集めて、講義を開くことができる。予備校でTOEFLの講座を受けると20万円近くかかる例もある。アルバイトの時給は1万円以上が相場だろう。

 がんばるなら、社会的な意義のある資格を目指そう。
 そして、合格することを目指すのではなくて、一番を目指そう。
 合格という低い目標を掲げるとずるい考えに陥るからだ。たかが試験。でも、ある分野の知識で、他を圧倒する力量がつくのだからいいではないか。

 負けない投資というのは、なにがなんでもやるからには努力を惜しまないという気持ちの部分が大きい。
 自分がそういう気持ちになっているから、企業をみて、あるいは人をみて、彼らががんばっているかどうかがわかるってところもある。

【時間を管理をして、効率を上げる − 基本は企業の人も同じだ】

無駄な投資をしない。工夫をする。時間はコストである。

 なんだ、企業と個人、同じじゃんか。そういうことになる。

 資格ひとつとっても、いい点をとるためにはどうしたらいいのか逆算して、もっともコストのかからないやり方を考えてそれを実行すれば、みんなのノウハウとして生きてくる。本を出してもいいし、予備校をつくって教えてもいい。世の中に必要な資格はいくらでもあるんだから。

【能力給と経済的安定 − 会計士や弁護士が工学を勉強する理由】

 企業の多くが、組織活性化や社員のモーティベーション向上を狙いつつ、最終的には、企業自身の利益成長に繋がると信じて、能力給や業績連動給を導入。
 一方で、従来型の年功序列色を薄めたり、破棄する動きが急速に広がっている。
 それまで比較的無風だった社内に突如として競争が起こることになるかもしれないが、「そういうのは世知辛くていやだ」、「わたしはお金には興味がない」、「仕事にそれほど興味がもてない」という人も多いようだ。
評価も客観的なものとはいえない。
というのは、多くの社員にとって、上司が自分を高く評価してくれるとき、その評価は「客観的」であり、自分を評価してくれないような評価は「間違っているから」だ。

 お金、お金と、そういう人生はいやだ。そう思う人が多いが、それは人生、金銭的なものなど、いつでもなんとかなるし、家族を養う程度のカネぐらい、なんとかなると思うからだろうか?
 確かにいままでの時代はそうだったかもしれないが、これからはこんなバカな政府の元で、本当にカネなしで人生が設計できるのだろうか。

 わたしの周りでは、最近、弁護士や公認会計士たちが、すごく焦っている。
 夜間大学には多くの会計士や弁護士が通っている。彼らの言い分は、「そのうち、会計士や弁護士は数がやたら増えて、食えなくなるだろう」という危機感である。
日本の弁護指数は17000人。USは100万人である。日本の会計士は12000人。USは33万人である。

 記帳や監査をするだけで高い給料がもらえる時代は終わろうとしていて、数年後の競争社会に向けて、工学や技術や組織管理など、カネになりそうな分野に身銭を切って勉強にいそしんでいる。

 さて、サラリーマンが、社内の競争に勝ち残るとき、そのご褒美はなんだろうか。
 マネッジメントサイドに若く抜擢される可能性もあるだろう。
 プロジェクトを自分で発案し、チームを選抜し、他社と戦う先頭に立つ。
 それを大変だと思うか、やりがいと感じるかは、心の持ち様次第。

 いえることは、能力給料で人の数倍の年収が、成績のよいときには期待ができるということだろうか。それに意味はあるのか?

ある。

年収700万と年収3000万の違いは?
銀行の与信が違う。
年収700万なら事業用や副業用の不動産投資などへの融資は難しい。
年収3000万なら、高い期待収益率の物件や案件への融資が可能になる。

 銀行の審査は単年度ベースであり、たまたま上手く行った年にボーナスでドンともらえば、年収3000万は夢ではない。
その年の源泉徴収表は、ある意味、「宝の山」なのである。

 株式投資の仕事をしていると、人から、100万を年率20%で毎年運用すると、10年でいくらにまで増えるという「利殖」の相談を受けることが多いが、こういう話は、そうそう上手くいくはずがない。

 それよりは、いま所属している組織で競争に勝ち残り、1年でいいから、結果を出し、ボーナスに反映してもらい、年収をガッと増やしてもらう。それで高採算物件を融資してもらえば、残りの人生、どれほど楽になるか、考えたほうがよい。

 医者や弁護士は、100万を年率20%で運用して30年でいくらいくらにしたいとは絶対に言わない。
 毎月、毎月の高採算物件からの収益を何に変えようかという話をしている。今月は少し貴金属を増やそうとか、今月は株が調子悪いから、株の割合を増やしてみようか、そういう話をしていて、日経が1万円を割り込んだら、喜んで株の割合を増やしている。毎月、毎月の100万円の運用資金は、本業の稼ぎから来るわけではない。もちろん、本業の稼ぎも多いのだが、銀行の1%台の融資である程度のレバレッジを利かせて、あくせくせずに毎月運用しているのである。

 彼らは、カネ、カネとはいわない。カネ、カネの心配をする必要もない。
 そういう人種にサラリーマンでも簡単になれる時代になってきている。

一枚の源泉徴収表は、年間収益数百万円を生み出す、打ち出の小槌になる。それは競争に勝った褒美であり、残りの人生をカネの苦労をしなくても済むという褒美である。

カネ、カネと目の色を変えるのはいやだ。そのとおり!わたしだっていやだ。
でも負けるのはもっといやだ。

競争を避けて、100万円を30年かけて数倍にすることを夢見るのか?
それとも競争に勝ち、毎月100万円を何かに再投資していくのか?

そう思えば、退屈だった日常も新鮮に思えるのかもしれない。
一生懸命やってみることだ。

長い人生だ。ひとつやふたつぐらい人に負けないものを深めていくのも悪くない。

 自分の成長と金銭的成功は否が応でも繋がってしまう。カネの方から寄ってきてしまう。カネは賢く社会のためになる使い方をする人間に集まる。

【モデルケース】

サラリーマン
Aさん= Bさん=
社内勝ち組 社内負け組
(年収3000万円) (年収700万円)

AさんとBさんの年間のキャッシュの差1300万円(税金であまり差はつかない)
銀行の与信の差5000万円。
利ざや10%の場合→年間500万
 今後20年間でAさんとBさんの金銭的格差は4億円程度になってしまう。
700万円では貯金をしても子どもの学費や旅行などの費用でなにも残らない。
3000万円あれば、資産として毎年1000円程度の中古不動産物件が利回り10%で購入できる。

 仮に10%で毎年のキャッシュを運用すれば20年後、6億円以上の資産がつくれる。
 仮に5%で毎年のキャッシュを運用すれば20年後は3−4億円程度の資産がつくれる。

 一年だけ3000万円の給料を貰い、あとの19年間は700万円しかない場合はどうか。
 その頑張った3000万円の源泉徴収で銀行が10%の利回り物件に5000万円融資してくれるだろう。
 そうなると、毎年500万円が再投資できる。
 10%で再投資できるなら3億円の資産。5%なら1−2億円の資産が作れることになる。
ならば、能力給も悪くない。

 一年ぐらいトコトンがんばって、社内で一番になって、高い給料を貰ったってバチはあたらないだろう。(大原)

 

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32
2002/07/29 金融サービス紹介
炎のファンドマネージャー

 

=大阪証券金融のコムストックローンについて=

 これまで永年にわたり、いろいろお世話になってきた私の大学の先輩にあたる源太さんが、私のところを訪ねて来られた。
 源太さんは大阪証券金融という、皆さんもよくご存じの政策金融会社で活躍されていて先日、京都支店長になられたばかりの方である。

 大阪証券金融という会社は、信用取引で皆さんもよく活用されているのでお判りかと思いますが、証券市場に良質・低利な資金を安定的に提供することを目的として設立された、証券取引法に基づいて免許を受けている証券金融会社3社のうちの1社。高い信用力を背景に、証券市場を金融面から支えるという公共性、専門性の高い業務を担っている。
 その大阪証券金融も、時代の変化に合わせて新たなサービスを提供しようと懸命とのこと。従来型の証券担保ローンに加えて、先般スタートしたのがコムストックローン。

 コムストックローンとは、コミュニケーション ストック ローンの略。つまり大阪証券金融の店舗に行かなくても取引ができる資金使途自由の貸し付けのこと。担保有価証券については証券保管振替制度、またお申し込みの手続きについては郵送やFAXといった通信方法により行うことができるので、ご多忙中の皆さんもスケジュールを気にすることなく利用できるといった優れもの。コムストックローンは必要な資金を簡単な手続きでスピーディに融資できるサービス。

 こんな宣伝を30分ばかりされて、源太先輩は私の事務所を後にされたが、その時の話が耳に残って、もしかしたら株式市場が低迷している折り、資金難に陥っている方もいるかと思い、せめてこうしたサービスでお役に立てればと思い、紹介させて頂いた。概略は以下の通りだが、更に詳しいことは大証金コムストックローンセンターまでお問合わせ下さい。
 まあ、私の先輩のために一度WEBを覗いてみて下さい。

大証金コムストックローンセンター
 TEL:06−6233−4519 FAX:06−6233−4529
 URL:http://www.osf.co.jp
 E−mail:osfloan@nifty.com

コムストックローンの概要
 利用できる方・・申し込み時70歳未満の方、電話連絡の取れる方
 用意すべき書類・印鑑証明書(直近1ヶ月以内)、運転免許証の写し
 融資額・・・・・極度額の範囲内(3000万円以内、契約時に設定)
         100万円から10万円単位で利用可
         手続き完了の翌営業日以降に融資
         担保時価額の65%以内
 融資期間・・・・契約締結日から1年以内
 融資金利・・・・3.675%
 利息・・・・・・1ヶ月ごとに顧客銀行口座から引き落とし(炎)

 

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31
2002/07/29 500億円以下の小型株スクリーニングベスト20
炎のファンドマネージャー

 

 先日、私のスタッフが何を思ったか、驚くべきスクリーニングを行い、読者から顰蹙と驚異の念を持たれてしまったが、本日はその反省の上に立って私、炎のファンドマネジャーが20銘柄まで絞り込みを行ってみました。
 但し、株価データ等はその時のもので、現在は変化していますのでご注意下さい。なお、この特別レポートのベースはアイリス・ジャパンの有料メルマガのコンテンツであります。


【スクリーニングを実行したスタッフの意図】

 テロショック時を下回り、米国株が下げ止まらない。ハイテク関連の生産高が4−6月比で7−9月はダウンし、「下期の見通しが不透明」と誰もが言う言葉だ。最近ではメーカーも同じ事を言い出した。更に輪をかけて、エンロンの破綻をきっかけにゼロックス、それが飛び火しオリックスのB/Sを指摘したドイツ証券のレポートや、ソニーによる子会社吸収の手法を問う新聞記事が香港・中国から出るなど、影響が出ている。
 7−9月の状況がある程度確認でき、加えてB/S悪材料の話が一巡しないと上値を取る動き出そうにない。 但し、今春実施された空売り規制強化で買い戻しが活発化したが、最近では再度ヘッジファンドが売り仕掛けをしている模様で、ファンダメンタルの改善が少しでも見えてくればショートカバーが入りやすいと考える。
 現在の状況から更に弱気スタンスを取るのは控えたい。


 さて今回は、上場及び店頭銘柄対象に500億円以下の小型株(1713銘柄)を対象に、独断と偏見で選んだ有望20銘柄をスクリーニングしてみた。ここまで絞り込んだら何かの参考になる筈です。 高値からの下落率、EPSの絶対水準、PERの水準及びトレンドなど、四季報と見比べながら銘柄を考える参考としてください。


【時価総額500億円未満割安株順位表(PER昇順)】

上場・店頭 EPSは東洋経済予測株価は7/18現在
 時価総額は単位:10億円

 
銘柄名
市場
株価
時価総額
03.3期
EPS
03.3期
PER
年初来
高値
遠藤照明(6932)
OSA
305
3.8
63.5
4.8
379
  琉球銀行(8399)
TSE1
1330
38.4
276.7
4.8
1400
サン電子(6736)
JSD
993
5.2
166.5
6.0
1170
エフ・ディ・シィ・プロダクツ(2671)
TSE2
645
5.7
93.2
6.9
669
  オートウェーブ(2666)
JSD
1150
6.4
153.1
7.5
1150
日本ジャンボー(9677)
JSD
690
5.2
91.6
7.5
725
シー・ヴイ・エス・ベイエリア(2687)
NQJ
572
4.4
72.0
7.9
655
トップカルチャー(7640)
TSE2
612
2.9
76.9
8.0
669
鳥羽洋行(7472)
JSD
665
3.5
83.0
8.0
750
東栄住宅(8875)
TSE1
1600
24.2
198.4
8.1
1629
  学情(2301)
JSD
610
2.2
72.8
8.4
800
ラ・パルレ(4357)
NQJ
192000
4.9
2659.8
8.5
310000
テイツー(7610)
JSD
345000
3.6
38365.6
9.0
345000
アルメディオ(7859)
JSD
580
3.0
63.2
9.2
760
シンワ(6880)
JSD
1030
6.8
109.0
9.4
1280
オーデリック(6889)
JSD
585
4.5
61.8
9.5
600
みった(7646)
JSD
2020
13.7
131.3
15.4
2600
アルファ(4760)
JSD
305
1.4
19.7
15.5
690
  ピエトロ(2818)
TSE2
1040
5.8
66.2
15.7
1500
D3パブリッシャー(4311)
JSD
670000
3.0
42458.1
15.8
1710000

*印はアイリスジャパンがロングランで注目している銘柄ないしレポート作成銘柄
(レポートご希望の方はお問い合わせ下さい。)(炎)

 

 

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30
2002/07/29 米国の幸せ、日本の不幸VS
日本の幸せ、米国の不幸
炎のファンドマネージャー

 

 企業会計への不信に端を発して、米国の株式相場が下落傾向を続けている。多くの米国国民にとって、投資信託等何らかの形で株式市場に参画している度合いが高く、株式相場が低迷を続けることは自らの資産が目減りすることから好ましいことではない。結果として個人の先行きへの不安が景気に悪影響を与えてしまう懸念が生じてしまうことが、今後の株式相場を見る上において気をつけないとならない点であることは、私だけでなく多くの方々が認識されていることと思われる。
 日米間にある株式需給構造の違いが、これまでの株式相場の推移の差になって表われているとの認識から、日本でもようやく市場参加者の裾野を広げるために投資啓蒙活動が盛んになってきたが、米国では既にごく日常茶飯事のように株式相場に一般個人が参加し、資産形成に努めるシステムができていた。

 一方、これまでの日本では「株」というと危険なもの(確かにリスクは大きい)と訝しげに見られ、常に郵貯や国債、銀行預金等が金融資産の中心となってなかなか一般投資家の関心は高まらなかった。こうした対照的な構造が米国にとっての幸せであり、日本にとっての不幸であり続けてきたことは容易に理解されよう。
 一方で、余りに一般市民レベルで株式市場に関与しすぎた場合は、万が一に今回のような会計不信といった資本主義の根幹を揺るがす問題から、株式市場が下落し続けた場合において、日米間に全く逆の現象をもたらす可能性が生じる。つまり、日本においては元来の市場参加者が育っておらず、直接的にリスクを取りながらの投資を市民レベルで行ってこなかった分、仮にこうした気運が何かのきっかけで高まった場合は、株式相場は多少の海外要因に影響されることなく堅調に推移する可能性が出てくる。
 特に、これまでに実行されたリストラ効果が業績的な回復となって表われてくる時に、インカムゲインやバリューという旧来の尺度で見て割安感が強まり、予想外の相場上昇をもたらす可能性すらある点は大いに注目しておきたい。
 また、インターネットを活用して取引きする若年投資家層が育ち、株式市場の新たな下支えとなりつつある。日本ではまだまだ市民レベルでの大きな潮流が顕著に巻き起こってはいないが、日経平均がここに来てバブル崩壊後の安値圏で推移している状況を、歴史的に買いチャンスと見る常識派が存在することは、日本にとっての幸せと言うべきだろう。

 わが母校の学生諸君が日経ストックリーグに取り組もうとするパワーは、来る日本の経済を復活させるに足る材料である。投資教育が中高生の間でも徐々に広がりを見せている現状を、先日の日経ストックリーグの説明会でも知ることができたが、まさに日本はこれからであり、リスクとリターンの関係を十分に認識して、経済活動に参画してくれる一般個人の輪が広がることを願って止まない。

 こうした点を考えると、日本はむしろ幸せなのではないだろうかと考えてしまう。個人投資家の持株比率を、これまでの10%以下から20%程度まで引き上げることができれば、持ち合い解消売りも消化され、株価下落のトレンドも変化させることが可能となる。
 一方において米国では、株式市場における企業への不信感が募り、個人が萎縮してしまった状態となっていることから、市場への関与率30%以上の個人投資家が様子見を決め込んでしまって、買い手不在の中を株価下落に見舞われるといった不幸が続いていると言える。

 皆さんも、こうした日米間の株式市場を取巻く環境の違いをよく認識して、今後の投資活動に役立てて頂きたい。グローバル運用の妙は、投資信託の専門運用者に任せれば良いとして、皆さんには日本も満更捨てたものではないことを思い浮かべて頂き、中長期観点からリスクテイクを図るタイミングを取る心がまえを持って頂きたいと願っている。(炎)

 

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29
2002/07/29 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

【先週の株式相場を振り返って】

 懸念されていたNYダウの8000ドル割れから、日本の株式相場も1万円をあっさり割り込み、下値目途と想定していた日経平均の9770円すら割り込む展開となり、週末は2月安値9420円に接近して終えた。とりわけ週末の日経平均は前日比338円88銭安の9591.03円となり下落率からはややセリングクライマックス的な動きを見せてきた。引き続き米国株安の流れを受けて電機・精密などの値嵩輸出関連株が押しなべて安かったほか、銀行・証券などの金融株が軒並み安となるなどほぼ全面安商状となった。
 この中にあってはJR東日本などJR3社が堅調となるなどディフェンシブ銘柄が底堅い動きを見せた。また、24日に新規上場したイオンモールは初値2600円の後、想定通り堅調な動きを見せ、週末は2935円で終えた。
 また、日経平均に比べると日経店頭平均の下げ率も鈍っており、先週は先行きへの不安感が日経平均中心に売りを加速させたことが読み取れる。

日経平均週末株価
 9591円  前週末比▲611円 (▲6.0%)
TOPIX
 943ポイント 同▲46ポイント(▲4.7%)
日経店頭平均
 1179ポイント 同▲17ポイント(▲1.4%)

【今週の株式相場展望】

 今週はNY株が先週末に8264ドルへと戻して終えたことから、週初においては多少のリバウンドが想定されるが、2月安値への接近懸念からリバウンド後の動きはなおも重いものが想定される。希望的な観測では、先週末が結果としてセリングクライマックスとなって、格好の買い場を与えたことになってほしいが、まだ予断は許さない。
 とは言ってもNY株はかなりの下ヒゲをつけたこと、米政府の会計不信への積極的な対応が進みつつあること、米国景気の基本的な回復傾向には変化がないこと、などからここからしばらくは下値固めの動きが想定される。とりわけITバブル崩壊で値を下げたNASDAQ市場の株価水準はダウ平均に比べ、調整が大きく、売られ過ぎの感もあって、これ以上の下値余地は小さいと考えられることから、次第に落ち着きを取り戻すものと期待される。
 懸念された米ワールドコムは、時価総額10兆円を越える史上最大級の大型倒産という結果に至った。これがもたらす影響は今後も様々に巻き起こると思われるが、この後に来る第2、第3のエンロンやワールドコムのような事例が米国経済にとっては一時的な停滞をもたらすとしても、素早い政策対応は日本の不良債権処理とは全く異なるものとなっている。
 日本に課された構造改革が着実に進められることが、日本の株式市場にとっては長い目で見るとプラスに働くことは明白だろう。ここに来て打ち出された1兆円超の減税が株式相場にとって心理的な下支えとはなっても、大きなプラス材料として働くことはないだろうが、株式市場に参画する多くの個人投資家にとっては、好材料とみなすべきなのは、株価自体が下落したことによって個別銘柄に割安感が生じることが最大の注目点だろう。配当利回りやPERなどの投資尺度を改めて見直し、積極的なリスクテイクを図るタイミングが到来していることが認識されれば、ここは思い切った銘柄選定のチャンスとも言えよう。2月安値9420円を割るかどうかはともかく、長い目で見ればここからの株価水準は又とない投資チャンスだろう。テクニカル上では8月上旬に売られ過ぎゾーンに入ると推定した通り、出来高を伴ったセリングクライマックス(信用で買い建てしている多くの投資家の投げの局面)が訪れた後にこそ、大きなリターンを得るチャンスが到来するということを肝に銘じておこう。
 日本の株式相場は世界に冠たる優良企業の集積の場でもある。米国市場における影響を全く無視する訳にはいかないが、発展するアジア経済に最も近い日本企業が評価されることは理に叶っている。
 全体相場反転となれば日本を代表するテクノロジー系の有力企業への突込み買いが効果を表すだろう。
 キヤノン、京セラ、ローム、村田、信越化、トヨタなどの底力を信じて買いタイミングを図る局面が接近しているように思われる。
 また、全体相場がなおも低迷するとあれば個別株への物色で対応せざるを得ず、先週見られたイオンモールへの物色人気の高まりのように、需給関係の良いIPO銘柄への人気は継続しよう。
 今週は30日にナスダックジャパン市場にレントラックジャパン(2314・公募価格1300円)が上場を予定。市場環境悪の中での動向が注目される。
(ここまでは先週末に作成・配信した私の有料メルマガから転載させて頂きました。)

*本日は外国人投資家の売りが続く中にあって、想定通り反転の動きを見せたが、日経平均は前日比75円高と前週の下げ方に比べれば、まだまだ迫力不足の感は否めない。(炎)

 

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2002/07/26 為替相場動向
生涯遊人

 

 115.50円を底にドルが値を戻している。
 日銀による介入は影をひそめているが、115円台を何度も攻めた割りには、不思議とこのレベルではドルは底固く、また米国株が水曜日に底値から600ドルほど上昇したことを受け、ドルも一旦底固さを取り戻した。

 本日、海外市場においてドル円は、118円台に戻している。
 このまま117.00円より上でニューヨーク市場がひけた場合、向こう1−2週間は、117−122円とドルの上値を試す展開になるであろう。
 ただ米国の株式市場が完全に底打ちしたかどうか不明であり、ドル円も122−123円のゾーンは、重要なレジスタンスとなっているために、ここを完全に抜けるまではドル上昇円安相場への回帰とはならないだろう。
 その場合117−122円のレンジ相場となるか、115.00円のドルの安値を再び試すかどうかは、今後の米国の株式市場及び経済状況次第となろう。

 ユーロはドル円よりすこし早く1.02台をドルの底値に、ドルの買い戻しユーロ売りが今週前半から始まり、0.98台で今週は終了しそうだ。
 ユーロ誕生から下落を続けたが、底を打ったあとは、1.0000まで戻しドル対ユーロの戦いはドロー(引き分け)レベルの1.0000(等価値、パリティ)近辺で0.97−1.03のレンジを形成している。
 これでドル対ユーロの緒戦は引き分けという感じだが、ここから両通貨の綱引きは新しい局面をむかえていくだろう。

 いまのところバブルの崩壊で米国市場が崩壊し、米国から資金が流失していると前回も述べたが、その資金は消去法として、欧州、英国、日本、アジア諸国に流れ込んでいる。
 特に日本などは、経済が良いわけででも株式市場が堅調なわけでもなく、単にドルからの逃避ということで円買いが行われている。 欧州に関していえば日本よりはもちろんましだが、経済が絶好調というわけでもなく、これもあくまで消去法の域を出ない。
 ここからユーロが買い進まれるかどうかは、前回も述べたが、米国からの資金流失が継続するかどうかにかかっている。
 資金流失が続くようであるならば、ユーロ対ドルの戦いは新たな局面をむかえ、1.1−1.200という世界が実現する可能性がある。

 ここからの為替の動きは、米国の経済状況(実物経済)の動きではなく、ルービン、グリーンスパンの両名によってもたらされた強いドル政策により米国に集まった資金が米国に留まるか、あるいは大きく流失するかという資金の流れ、言うなればドルの信任にかかっている。(生涯)

 

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2002/07/26 拡大する再就職支援ビジネス
小野小町

 

 厚生労働省の試算によれば、製造業からサービス業へのシフト等今後5年間で約1,900万人が転職の必要に迫られるそうです。失業率は5%超と依然高水準の中、キャリアビジネスに注目が集まっています。

 キャリアビジネスには再就職支援、人材紹介、派遣、求人広告サイトなど様々な種類があります。中でも昨年からの大手ハイテク企業のリストラで拡大しているのが再就職支援市場です。日本人材紹介事業協会によれば2001年の再就職支援市場は推定で220億円と小規模ながらここ5年で8倍に拡大しています。ビジネス自体は80年代不況下の米国で発展したものですが、最近では人材派遣等異業種からの参入が相次いでいます。

 再就職支援企業はリストラを行う企業から依頼を受け、求職者のカウンセリング、面接指導から再就職先決定、ひいてはアフターフォローまでサービスを提供します。人材派遣業とは異なり、報酬を求職者を受け入れた企業でなく離職者を出した企業から受け取るのが特徴です。通常一人当りの料金は100万円前後と高額のため顧客は大企業が中心ですが、低価格サービスの導入により中小企業からの受注も増えています。
 また大手メーカーの拠点統合・海外移転による工場リストラに伴い、地方からの依頼も増えています。最大手の日本ドレーク・ビーム・モリンや追随するヒュ−・マネジメントは地方拠点を相次ぎ増設するなど全国規模の競争はこれから本番を迎えそうです。

 順調に拡大してきた再就職支援市場ですが、大手電機等のリストラ一巡から来年にかけて需要のピークを迎えるともいわれています。しかし続く金融機関のリストラや終身雇用崩壊による雇用の流動化から今後も需要は安定的に拡大すると思われます。
 「失われた10年」と呼ばれるようにバブル崩壊後、日本は経済的価値に代表される多くのものを失いました。しかし何かを失うと同時に何かを手に入れるということもあると思います(その逆もまた然りですが)。戦後の「会社資本主義」の下で高度経済成長を遂げた後、その会社にリストラされてというストーリーは確かに悲惨です。しかしあくまで個人的なイメージですが労働者側も徐々に会社は会社、自分は自分というスタンスをきちんと築きつつあるように感じます。失ったものを取り戻す(?)景気回復の動向も気になりますが、小さいけれど新しく生まれる需要もあるのだと改めて感じます。

*参考までに(株価は7月26日終値、業績は今期予想、カッコ内は前期比)

●日本ドレーク・ビーム・モリン(4688:店頭)
 2,980円(100株単位)、EPS 156円売上高81億円(36%増)、営業利益20億円(26%増)

●ヒュー・マネジメント・ジャパン(4778:店頭)
 750,000円(1株単位)売上高35億円(125%増)、営業利益9億円(178%増)、EPS 43,547円
(小町)

 

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26
2002/07/26 代替技術
両津勘吉

 

 化学産業の可能性に注目している。
 樹脂の利用される範疇が広がりを見せており、金属やゴムなどの代替として樹脂が更に活躍していくと考えている。

 7月の23日から25日までパシフィコ横浜で”自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展”が開催され見物に行ってきた。モーターショーと違い、部品会社が主役であるが、率直な意見として化学のアナリストにとって有用な展示であったと思う。たぶん自動車及び自動車部品担当アナリストは行かれていると思うが、化学の方は行っていないであろう。

 フォーラムは心地よい音を計る&作る技術、車体構造設計技術の新展開、ITSで道路管理はどう変わるか、42ボルトフォーラム、環境の世紀における自動車材料の展望の7テーマに加え、細かなセッションが開催されていた。これらについては参加しておりませんので省略します。

 では気になった製品群をいくつかご紹介しましょう。

 まず初めに三菱自動車。ランサーエボリューションのすぐ脇にゴムのシーリング部品が置かれていたが、これを樹脂製と比較していた。樹脂製を触ると「ウン ゴムではないか」と思いきやゴム製を触ると、こっちが本物のゴム製と気付く。つまり普段ゴムを触らない方にとっては樹脂製をゴム製と間違えてしまうほどの出来映え。
 以前、億近で豊田合成のボディーシーリング材の利益率が急激に下がったことを指摘したが、まさにこれが要因。樹脂製だと紫外線などの影響から経時変化(劣化)が起り、走行時の走行時の風切り音が発生するため高級車に使えず、専ら2リッター以下の大衆車にと述べたが、どうも市場は予想外以上に増加しそうだ。

 次にケーヒン。バイク用のキャブレターの横に自動車用のインテークマニフォールドが置かれていた。しかし通常アルミでシルバーの色の筈だがこれは黒。そう、これも億近で指摘した通り、樹脂製のインテークマニフォールドだ。エアーフィルター、エアフローメーターを通過したエアーはマニフォールドを通じてシリンダーに入っていく。しかしシリンダーはメチャクチャ熱いわけで、昔のプラスチックのイメージしかない私にとっては信じられない事であった。今やアルミが当たり前のエンジンでさえ、ボンネットを開ければ樹脂の活躍がいとも簡単に理解される。

 別のブースではこのアルミと樹脂製のインテークマニフォールドの比較を行っていた。黒っぽい樹脂製を持った途端、”重い”と感じてしまったのが実感だが、アルミをもったらもっと重いのがわかる。樹脂製はアルミ製の40%ダウンの重量であり、これを見てしまうと自動車のアルミ化が進んでいるが、一部アルミからの代替が進んでいるなと感じた。

 次のブースでカルチャーショック。新型車アテンザと思われるボディーの一部がサンプル品となっておったが、ボディ補強に化学技術を使う???
 ボディーのカットモデルが2枚の鉄板からなっていて、確かボディ本体とピラー部に近いところだと思う。この鉄板の間に茶色っぽいものが入っていて、鉄板にかかる圧力を抑制させるようだ。この茶色っぽいものが何でもエポキシ樹脂系素材なのだ。つまり本来なら頑丈な構造にするところを軽量な樹脂で補強するというもの。工程は鉄板の間にただ注入されるだけであろうと思われ、技術革新の変化を感じる。

 紹介しても紙面の関係上、全て書けませんが、素材革命に乗り遅れる自動車部品企業は衰退し、代わって化学企業の重要性が増すことであろう。
 今後は化学セクター中心に掲載します。

●ファナック
 ファナックはFAシステム、ロボットなどの各々製品群の出荷台数をある程度の幅を持たせて発表している。設備投資が冷え込み昨年は散々たる状況であったが、少しづつ盛り返している様子。しかしながら証券会社のレポートを見るとどうも納得出来ない。ファナックの強みは圧倒的な合理化による製法や製品技術力、サポート体制と一般的に言われるが、ハードメーカーとしては世界トップだとしてもライバルにも有力な企業が存在する。つまりハードでの優位性は独断体制ではない。
 ずばりファナックの最大の強みは、モーターを回す技術力にあるのだ。
 ファナックに学校があるのをご存知だろうか。名前はファナック学校と言い、卒業生は何万人に及ぶようだ。この学校にはFA科やロボット科などまた初級者から上級者に分かれ、いくつものコースが存在する。学校といっても1週間以内の日程だが、参加者はユーザーだ。
 例えば射出成形機&ミネベア上海を例に取ろう。ミネベア上海は2つの工場に分かれているが、その1箇所で冷却ファンを製造している。その冷却ファンに用いられる金型は長野県軽井沢で製造されており、精密金型なので中国では作れないとされている。ところがどっこい、いくら精密に金型を作ったとしても、思った通りの射出成形をしようにもこれが非常に難しいらしい。金型と同じような成形が出来るかどうかを”再現性”というが、軽井沢製の金型を中国で射出成形するとなかなか思った通りにいかない。これはなにも日本−海外に限ったことではなく、日本−日本でも同様。つまり湿度や温度の変化を拾ってしまうようなのだ。だから生産技術者は射出成形の調整をする訳だが、ここには職人芸のような技がある。しかしその職人技をソフトウエアで助けているのがファナック製射出成形機に組み込まれたCNCシステム(FA)である。
 ファナック学校ではユーザーのところの新入社員にこの射出成形の噴射のタイミングや止め方などの教育をするとともに、自社ではユーザーの希望通りの運転が出来るようなソフト開発を行っている。このソフト開発こそがファナックのブラックボックスな訳だ。
 昨年はロボット出荷も減少したが、ほとんどのレポートは1台当り単価×台数で意見が述べられている。しかしながら会社側もいうようにロボット出荷時はなんらかのオプションを付けて販売されており、単純に台数出荷だけの話ではない。客のオプション注文がどう変化したかも考えなくてはならないと思うのだが・・・。
 ここをきちんと指摘するセルサイドアナリストは、UBSウオーバーグ証券の木村氏くらいではなかろうか。

 ついでにもう一つ。かなり前のことだが、「自動車のアルミ化でスポット溶接よりアーク溶接有利。ファナックはアーク溶接に弱いから安川にシェアが食われる・・・」なるレポートを読んだことがある。ここでスポット溶接を考えてみよう。
 スポット溶接は抵抗発熱量H=0.24×I2×R×T で与えられる。
I=電流R=抵抗T=タイム
 つまりHは溶接時間と溶接される部位の抵抗及び電流でコントロールされる。電流及びタイムはその言葉通りだが、抵抗は少し違う。溶接するということは2枚の鉄板を重ねて接合させる訳だが、同じ鉄板でも実は抵抗値が変わるのだ。半導体技術での平滑面は別として、自動車などに使われる金属の表面は凸凹状態な上に酸化膜が存在する。更に凹の谷には吸着層が存在し、その下には加工変質がある。つまり同じ金属の抵抗でも一体物と二つを重ねた場合では異なる抵抗値になる。ですから溶接で重ねた場合はこの接触の変化、つまり2枚の金属に圧力をかけると抵抗値は変化するのである。圧力をかけると接触抵抗は減少し、上の式からわかるように熱量Hは減少する。(金属の接触は凹凸のお互い出っ張っているところが破壊され酸化膜が潰れることによって接触抵抗が低下する)
 ですから、必要な強度を得るためのナゲット径(スポット溶接ではアーク溶接のように溶接の跡が見えなくすることが可能。溶接は2枚の金属の内部を溶かすことによって行われ、この時の溶接の径をナゲット径という)を考量しながらチップにかかる圧力(チップとは溶接される金属に対し圧力をかける部品)及び電流、時間を素早く行わなければならない。
 ロボットのスポット溶接は実は難しいんですね。「安川電機優位」と言った方は、スポット溶接の原理を知っているのか疑問だな。

 ちなみにファナックがなぜアーク溶接でシェアが低いか?1)ファナックは一度に大量に買ってくれる大企業メインで、マーケティング戦略上スポットに力を入れた。2)アーク溶接の電源に弱い、など。
 安川は電源の部品を買ってきて自分でシステム化しているのに対し、ファナックは安川以上に部品を外部購入し、自社でシステム化している。そこでの大きな違いは、使用する大型特殊トランス。必要とされるトランスに巻かれるコイル径はかなり太いらしく、そのために専用巻線機が必要。安川電機は自社で太いコイルを巻いているが、ファナックが購入している○○○社製よりも太い。ここらへんが安川製アークのポイントではなかろうか。
 もしファナックがスポットで得た技術力を背景にアークに本腰を入れたら、安川電機のシェアはどうなるんであろうか。(両津)

 

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2002/07/23 連載 負けない投資 その7
大原部長

 

 前回までの復習
○毎月のキャッシュフローをプラスにし、毎月投資を続ける
○一案として、銀行借り入れをして、高収益不動産(中古1棟アパート投資、利回り15%以上)を購入
○不動産からの年間300万以上のインカムを、株式や貴金属に毎月再投資する環境を整備する
○株式への投資は、長期間に渡る継続投資が原則
○個別株への投資は、企業の利益率の高さに投資する
○PEは成長性や競争力や利益率を加味して判断する

前回の疑問点:
 長い期間に渡り利益率を維持できる企業とはどういう企業なのか?
 長い成長期間、高い利益率を維持できる企業が割合と低いPEで取引されていれば、買ってもいいのではないか?


【競争力を維持できるかどうか? 差別化】

〜実績か 約束か〜

 誓った約束を果たすことと、単なる口約束をすることとは、どちらが難しいだろうか?
 実績を上げ、高収益を株主に果たした企業と、中期計画やらなんやらで企画書先行の企業と、投資家はどちらを信じるべきだろうか?

 事業を評価する前提は、差別化できるかどうかを検証しなければならない。
 固定費の差別化ができない場合、多くの企業と同様、リストラが必要になるからだ。
 日本企業のリストラの多くは、「差別化に失敗した企業の応急処置的な固定費の削減策」と言い換えることができる。

 固定費は、事業を始めるときにはすでに決定しているもので、ミクロ経済的には所与のものである。
 多くの経営者は、固定費削減を赤字を回避するための応急処置としてリストラを考えるが、それは差別化を成し遂げるといった経営の第一目標からは大きく外れたものである。
 なぜなら、駄目企業は、他社との差別化を成し遂げるために固定費を削るわけではない。

 差別化に成功する企業は、そもそも事業の始まりから多くの固定費をかけない。そして継続的に毎月リストラ(事業の細部の見直し)をする。
 駄目企業が駄目なのは、他社に差別化をやられた結果、自らの居場所がなくなってから、固定費を闇雲に一気に削減するからだ。そうなると、ショックで組織がふらふらになる。

 投資家がリストラに対して冷たいのは、応急処置をしても、その事業の採算性が回復するとは思えないからである。

〜利益率の逆算の経営〜

 賢明な経営者であれば、営業利益率は少なくとも40%はほしいと考えるだろう。利益率10%以下は論外。リスクを背負って始めるだけの意味がない。
 売上に対して、固定費20%以下、変動費20%以下、R/Dと販売管理費用で20%以下を目指すのが差別化である。

 営業利益率40%を狙って上手く事業を立ち上げても実際は事故や歩留まりの問題でロスが発生する。
 結果として営業利益が20%台に落ち込んでしまうこともあろう。
 40%を狙い、最悪のケースとして利益20%を確保したいと思うのが経営である。

 最初から変動比率が50%の事業にゴーサインを出すなら、それは投資家のための事業ではなくて、従業員の給料を払うための汎用事業であって、ゆくゆくは事業の不良化を招き、多額の損失を出し、追加的なリストラを行って、最終的には清算に追い込まれる芽をはらんでいる。

 事業を始め、人を雇い、設備を動かし、活動をしているものを、わざわざ停止するのは、かなりのエネルギーが必要だ。
 そういう無駄なエネルギーを費やして、残るのは損だけか??
 ふざけるんじゃない。
投資家をバカにするな。

 ここで、一定の結論を提示したい。

⇒差別化に成功するということは、利益率が高い状態を維持しているということである。利益率が高い企業は、固定費と変動費の売上に対する管理がしっかりしている。

【将来に渡って高い利益率は維持できるか? 不良化の恐れ】

 事業の不良化を招く最大の原因は、価格の低下である。
 損失発生や利益率低下のリスクは、突き詰めると、価格低下のメカニズムに行き着く。

 それは、コストカット努力を利幅の貢献材料にする前に、値下原資に回し、シェアをとりにいこうとしてワンパターン的に生じる。机上(計算上)の利益の確保が、いつも失敗に終わるというワンパターンの繰り返しである。

 どうしていつも同じ失敗をするのか。
 価格低下のメカニズムをこれから明らかにしていきたい。

 世の中には、自分だけに都合のよい考えがそのまま成功に導かれるケースはほとんどない。
 オリンピックで、フィギュアスケートの本田選手が金メダルをとる確率はゼロではない。
 「あいつとあいつとあいつとあいつが失敗して、本田選手だけが最高のパフォーマンスを見せるなら、金がとれる」と考え、マスコミはゴールドメダル候補と騒ぐ。

 それと同じことが経営の内部で経常的におきているとしたらどうだろうか?
 社内で設備投資をまたじゃんじゃんやらせてくれという事業部が、本当にこれまで毎年毎年きちんと結果を出してきたのだろうか?
 キャシュフローがビジネスサイクルの期間でマイナスになるなんてことは、あってはならない。

 社内計画が強すぎる企業は、社内の予算の分捕り合いのための計画であり、事業に勝つための計画ではない。
 勝つためには計画をいくらしても駄目であり、勝つためには、ライバルの固定費率や変動費率を圧倒的に上回るチャレンジを日々「して」いなければならない。

 3年に一回の壮大なPlanではなく、毎分のActionこそが求められており、そのActionは外部に知られてはまずい。

利益率が維持できるかどうかは、以下のようにできる。
○分析対象企業の費用構造の実績をBS&PLから調べる
○その競合企業の費用構造を同様に調べる
○両者にどのような差があるだろうかをポイントとしてつかむ
○差がある場合は、投資効率が数倍違ってくる 投資効率こそが競争力の源泉
○よりよい事業構造を持つ企業の生き残る確率は高い

【価格の低下が経営者に与える心理的な悪影響】

 ここで、価格低下の悪影響についてまとめてみよう。

 価格低下の悪循環
 価格の低下
 設備効率の悪化(売上高有形固定資産回転率の低下)
 労働生産性の低下
 変動比率の上昇
 固定比率の上昇
 ROIの低下
 キャッシュフローの悪化
 事業の非効率化
 事業の魅力度の低下
 事業の信用度低下(投資家の離散)
 資金繰りの悪化
 保有設備価値の下落
 保有ノウハウ、ソフトウエア価値の下落
 効率的な企業の新規参入
 競争の激化
 有望事業喪失のあせり、経営選択肢の減少
 経営判断ミス、事業への未練など、
 足元を見られる、価格交渉力の低下
 さらなる価格下落へ(デフレ・スパイラル)

 価格下落は、経営者を精神的に追い詰める。
 精神が追い詰められた人間は、ミスをしてしまう。
 勝機を逸する。
 デフレスパイラル下では、経営者は、正常な判断ができなくなる。

 一方、時流に乗る経営者は、価格のコントロールが巧みだ。
 高価格戦略が可能な事業展開のみが、時代を超えて生き残る。

 繰り返しになるが、強い事業を選択し、その強さを分析することが、投資家として、重要。

【価格低下、事業環境悪化に対抗できる企業とは】

価格低下に対する抵抗力がある企業
 多数の周辺特許
 独特のプロセス技術、企業秘密
 圧倒的なシェア
 十分なコスト削減余地(例えば座って作業する工場や1交代勤務の工場)
 歩留まり改善の余地大(低変動費、低固定費)
 プロセス改善の余地大(低変動費、低固定費)
 新材料の開発余地大(低変動費)
 調達材料や購入設備に規模の経済が働く環境下での高シェア
 製造装置や測定器が手作り(⇒低固定費)

 蟻地獄のような価格低下の罠にかかり、経営者は自信を喪失していく。ゲームの流れは一方的になり、精神的なダメージから、経営判断はどこかおかしくなっていく。
 チーム全員が浮き足立って、勝てる試合も落としてしまう。

 そういうことにならないために、経営者は存在する。

 だから、経営者は、いつも、最初に自らに課した規律である営業利益率の絶対水準に意固地になるべきなのである。

⇒勝つためには逆算しなければならない。利益率40%を勝ち取るためには、シェアで何%にならないとだめなのか、ライバルをどう叩き潰すのか、あるいはライバルをどう説得するのか、友好的関係の元で屈服させるのか、そういう目算がなければならないだろう。

【今回のポイント】

○差別化とは高い利益率を維持するためのシステムつくりだ
○高い利益率は、努力によって維持されるものだ

今回明らかになった疑問点
⇒○価格低下を避けるためにはどうしたらいいのか

 それでは、価格低下を避けるためにはどうしたらいいだろうか?
 競争力があるという本当の意味は、競合条件を改善していけるかどうかにあるのかもしれない。

 シェア80%の意味とシェア40%の意味は全然違うだろう。
 シェア80%で5社ライバルがいて残りの20%を5社で分け合っているという市場と、シェア20%の企業が5つがっぷり戦っている市場と、投資家の評価は違ってくる。

 どちらのPEの方がどちらよりどの程度高くなるべきなのか?

 そういうことがわからない投資家は、本当のPEの意味を知らない。
 競合条件を調べてみようではないか。
 そしてBSとPLの分析をしてみようではないか。
 利益率に差がある場合、将来のシェアはどのように変わるだろうか?
 将来のシェアは、結局、利益率の差の年間の繰り返し、掛算である。

 −−−−つづく−−−−−−−−−−
(大原)

 

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2002/07/23 夢見つけ隊(2673)
炎のファンドマネージャー

 

 中高年の富裕層をターゲットとした通信販売を展開。一般の通信販売では手に入らない希少性の高いものを中心に取り扱う「付加価値追求型通販」企業。カタログ「道具の学校」、「生活百貨事典」、「夢見つけた今」など5種類のカタログを発行。カタログを眺めながら、「新しさ」、「面白い」、「珍しい」、「楽しい」を発見し、購入してもらうのが基本コンセプト。

 2002/3期連結業績は売上高4988百万円(▲2%)、営業利益197百万円(▲35%)、経常利益202(▲38%)、当期利益110百万円(▲37%)、1株利益43.7円、1株純資産 483.7円。
 2003/3期連結の会社計画は売上高5846百万円(+17%)、経常利益202(+79%)、当期利益198百万円(+80%)、1株利益80.3円。

【セグメント利益】

 短信ベースのセグメントは2つ。1)通販小売事業 2)通販卸事業。利益率は1)通販小売事業で10.7%、2)通販卸事業で6.0%、本社費用などの消去で▲5.9%。事業別の売上高は1)が41億円、2)は9億円なのでこの会社の業績は通販小売事業の収益動向でほぼ決まる(2002/3期連結)。

【取り扱い製品】

https://www.yumeget.com)ネットを見ると確かに、変わったものが多い。
 例えば、国鉄切符切り(上野駅仕様)9800円、ペット保温冷マット35,000円、超望遠2000mmズームレンズ 29,800円、空撮カメラ付ラジコンヘリ 58,000円、開運猛虎ブレス¥19,800、某有名人が付けていたフレグランス7,500円・・・・・。
 詳しくは同社ホームページを・・・。

【前期は業績低迷も今期業績は急回復】

 前期の連結経常利益は▲38%の202百万円。前上期は売れる商品開発がでなかったこと、販促費がかかりすぎてしまったことなどを主因として赤字になったのが影響。
 これに対し、同社では仕入価格、販促費、カタログなどの見直しを開始。特にカタログでは商品メリットなど説明を詳細に記載するなど工夫を凝らした。このほか、重量が制約される郵便からメール便(宅急便など)に変更することで保存が良く、発色も良いカタログ紙に変更でき、その結果としてメール費用は上がったものの、カタログ効果(説得力向上など)で売上増につながっている。
 今期の連結経常利益は+78.7%を予想。足元の数値は公開していないが、順調に推移している。健康関連を始めとして、健康関連や自社開発、自社掘り起し製品の売れ行きが好調に推移しているため。業績に対しては増収率が+17%と高い計画を立てているが、足元業績好調から少なくても中間期の業績計画はクリアできそうだ。
 このほか、コスト削減策としてはコールセンターへの外注をやめ、子会社を設立。5月より沖縄にて行っている。会社側では人件費が安いことから外注の3〜4割程度のコスト削減を期待。更に、同コールセンターにて、テレアポによる顧客へのアプローチを行い、受注の獲得とリレーションシップを図る。こうした効果が今下期、どの程度効いてくるかに注目したいところ。

【印象】

 最近ではニッセン(8248)やベルーナ(9997)など通信販売関連企業は業績及び株価が堅調に推移している。こうしたなか、同社株も全体の相場に対してはしっかりしている。
 7/22日、同社の株価605円、今期連結予想PER7倍強、配当利回り2.1%。一方、ニッセン今期連結予想PER14倍弱、配当利回り0.65%。ベルーナ同18倍、配当利回り0.5%。もちろん、これら企業のマネジメント力や規模等も考慮しなけれども、今期業績急回復や通販の出遅れ株として見ると案外面白いかもしれません。今後はIR活動を積極的にやっていただき知名度を広げてもらいたいものです。

【リスク要因】

 変わりもの製品を扱っているため、その製品についてトラブルが起きたときがリスク。
 中国のダイエット食品で最近問題となっているが、会社側では報道で取り上げられている製品は過去も現在も取り扱っていないとのこと。
 在庫リスクが指摘されるが、在庫に関しては多品種少量製品を取り扱っているため、大量発注は基本的にせず、きつきつの状態で発注。独自の予想予約発注にて極力在庫を抑えている。

【課題】

 顧客の中心である中高年層はほとんどカタログベースから注文する。この為、カタログ請求により、顧客関係がスタートするが、読書層が中高年中心の雑誌(おそらく発行部数は少ないだろう)に広告を出して、カタログ請求してもらうため、顧客数が急激には増えない点が課題か。知名度が低いというのも課題。(海パン)

 

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23
2002/07/22 今年もCEATEC JAPANが始まるよ!!
炎のファンドマネージャー

 

 例年通りCEATEC JAPANのお知らせが私のところに届いたが、皆さんにとっても大変投資の参考になる筈ですから、その概要をお送りしておきます。

【CEATEC JAPAN事務局より】

 7月18日、東京都内で、CEATEC JAPAN 2002 概要発表記者会見が開催され、112社、134名のマスコミ関係者の参加の中で、主催者から今年のCEATEC JAPANの概要や特色について発表が行われた。
 主催3団体を代表して、CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)池田 茂専務理事が次のように会見の挨拶をした。

「CEATECは、IT産業を支える3つの業界団体がいっしょになり、総合的展示会としてスタートして3回目となります。さまざまな状況をかかえた日本の経済・産業界の中で、それを支えていく最大の柱の一つがIT業界だと思っています。さらに世界に向かって競争力をつけ、景気の回復、内需の拡大をすすめる核とならなければなりません。その中で、今年掲げたテーマが「ブロードバンドの先に、次が見える」です。
 ブロードバンドと言えば、ADSLがあっという間に普及し、規模や料金の面でもアメリカを追い越す勢いです。2003年には、光ファイバも含めて、爆発的にブロードバンド時代に突入するでしょう。そういう状況の中で、今年10月にCEATECが開催されることは、きわめて意義の多いことです。
 今年のうちに、ブロードバンドを見据えた準備がもう始まっており、来年になってからではすでに遅いのです。今年の展示を見ることが、来年のブロードバンド時代をたたかい抜く大きなステップとなります。
 情報家電、パソコン、3Gを展望するモバイル端末、PDAなど、多様化する端末の世界は、これからどう動くか?それらをつなぐ、ADSL、光ファイバ、高速無線LANなど選択肢の増えるアクセスや、ユビキタス時代を迎えるネットワークの大きな動向、そしてIP電話、映像など、個々に広がっていく展望もお示しできると思います。
 また、通信と放送の融合がすすみ、進化するコンテンツやアプリケーションの進む方向も見えてくるでしょう。
 これら全体のインフラを支える部品・デバイスの準備は、どのように確実にすすんでいるのか?
 こうした諸動向を、4つのステージ構成によって提示し、その一つ一つの要素技術や要素サービスをしっかりとご提示するのが今年のCEATEC JAPAN 2002です。
 今年の特色の一つは、業界トップのキーノートスピーチやセッションが大幅に増えることです。専門家はじめ、本当に関心をもった方たちがもっとも知りたいテーマを、最も効率的にお示しできるのが、今回の特徴です。その意味で、専門分野の皆様には、昨年以上に充実したショーとなると確信しています。」

 以上のような内容であったが、皆さんも以下の日程で開かれるこのショーを一度ご覧になると良いでしょう。 2002年10月1日(火)〜5日(土) 幕張メッセ(日本コンベンションセンター)


 さて、このショーのテーマになっていますブロードバンド化の流れが、企業にもひたひたと押し寄せております。既にブロードバンドをビジネスにしようとの試みは各方面で活発に繰り広げられておりますが、本日は以下の企業が発表した製品を紹介しておこう。

●サン電子(6736) 時価990円
 国内初ブロードバンドラジオ(商品名 BiBiO ビビオ)9月中旬より発売開始
 初年度販売目標 1万台
約500万人のブロードバンドユーザーを対象に大手インターネットプロバイダー経由で販売。順次大手家電量販店で販売へ。同社では上場前よりブロードバンド関連商品の開発に注力していることを明らかにしてきたが、今回の商品はその第1号となるものである。サンタックBBを今後のブロードバンド機器の新ブランドとして育成する方針。なお、ブロードバンドラジオとはストリーミング機能の技術を利用しインターネット経由で配信されているニュース、音楽等のインターネットラジオ放送を聞くことができるようにしたラジオのこと。地域限定のラジオから世界中のラジオ放送が手軽に聞けるのが最大の魅力だという。パソコンなしでも聴けるBB専用ラジオで、世界中のインターネットラジオ放送を楽しむことができる。最大5局まで登録可能、メモリースティック再生機能搭載。これだけではなくBiBiO独自の個別認証の機能を生かして、BiBiOだけの有料コンテンツ配信のビジネスモデルを構築することが可能性も秘める。(例)Eラーニングへの応用など
*この商品については発売一定期間においてモニターを募集しております。皆さんもぜひお試し下さい。(炎)

 

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2002/07/22 第3回日経ストックリーグへの参加決意
炎のファンドマネージャー

 

 私は同志社大学「証券アナリスト講座」の講師を命じられた結果、その講座を受講している学生有志の希望により、日経ストックリーグの指導役も務めることとなった。
 本日はその説明会に顔を出して2時間のオリエンテーションにおつきあいしたが、多くの出席者が熱心に聞き入り、チャレンジしようとする姿勢を感じることができた。
 私のチームは、同志社大学の超エリート集団と自負しても良い集まりである。岩永チームリーダー以下宮崎君、南君、更に紅一点の芹口さん。昨年は慶応大学が最優秀に選ばれたとのことですが、今年は同志社の証券アナリストチームが勝利すると大いに期待しております。

 私が前期に行った講義は定量分析と定性分析へのチャレンジであったが、距離の問題から企業訪問には至らなかったが、きっと多少は役に立った筈。彼らにとってはこの億の近道もきっと良い教科書になっていると思うがどうだろうか?
 100万円での運用と500万円ポートフォリオが彼らに課せられた課題であるが、時流に沿ったテーマを選び出し、実際に世の中に影響を与えるような若さ溢れるアイデアで、並み居る参加者に大きく差をつけてほしいと願っている。
 中学、高校、大学と若い時代から株式投資を生活の一部と考え、株式市場で活躍する企業を様々な角度から分析していく習慣を身につけて頂くことが、これからの日本経済の明るい未来に繋がることだと信じたい。
 この「億の近道」も、すそ野の広い投資家に株式投資を楽しんでもらうための啓蒙の意味を持ったメールマガジンであることはご存じの通りだが、ストックリーグへの参画者の皆さんにもますます役立つ内容を大いにお届けしたいと願っているので宜しくお願いしたい。
参考URL:http://manabow.com/(炎)

 

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2002/07/22 マックが只になる日
炎のファンドマネージャー

 

 

 デフレ経済の象徴は様々な食べ物に典型的に表われている。吉野家の牛丼に続き、マックの低価格ハンバーガー。
 一旦引き上げられたハンバーガーの価格を59円に引き下げるという、日本マクドナルドの発表は、消費者の驚きを狙った戦略だとされる。一体、これほど価格を下げてマクドナルドはやっていけるのかということになるのだが、マックに来店してくれる顧客の数を維持することができれば、マックにとってビジネスチャンスを掴むことができるとの戦略であると考えられるから、標準のマックの価格に余り、関心を寄せる必要はない。これはマスコミへのアピールのためという程度のものと考えても良さそうだ。
 恐らく、お店を訪れる客はいざ店頭で注文する際は他のメニューを選定するだろうし、最近ではマック東京という名称で新たなメニュー充実に努めている点からしても、マックの戦略は顧客離れを少しでも食い止めたいという願いの表れに違いない。
 驚きを消費者に与えることが彼らにとって顧客にアピールする唯一の手段とすれば、冒頭に掲げたタイトルもあながち有り得ないことではない。
 マックは今や単にハンバーガーを売るだけの店、企業ではなくなっているとも思えるのだ。
 卓越したマニュアルに基づく店舗オペレーションは、多くの企業が学ぶべき点が多い。そうした効率的なオペレーションがあってはじめて、消費者が驚くような低価格が実現するのなら素晴らしいことである。顧客の信頼を得て、顧客が店舗に集まり時間を消費する。とは言っても、店舗運営では客単価は上げたい筈。まず、お店に客を呼び込んで、そこではまた別の高いメニューで誘い、知らない内に消費させてしまう。ついつい安いと思って入るとセットメニューを注文して客単価は500円以上になっているケースが多い。
 牛丼だって280円の並だけ注文する客ばかりでは商売は成り立たない。大盛やサラダ、ミソ汁、卵まで頼むから客単価が上がって、企業にとってはおいしい商売になるのだ。

 携帯電話は物によっては只で配っていた(今のそうかは定かではない)が、これも普及させるためには大きな要素となった。ハードは只で消耗品で稼ぐ。そのためには先行投資が必要となるが、そうしたビジネスモデルが一旦構築されたら、後はハードの本格普及によって収益は勝手に生み出されることになる。
 投資家は先行投資によって生じた赤字を好意的に受け取る必要があろうが、大方の投資家はネガティブに見てしまう現状があり、極めて残念である。企業は中・長期のための先行投資と見て考えるが、投資家は短期で資金回収を考えてしまうので、こうした前向きの投資ができない状況になるのだ。
 日本に必要なのは、長期のビジョンに基づいた投資と、それを受け入れる投資家の土壌なのではなかろうか。
 デフレ経済が進行する中で、マックの取った戦略は顧客離れを防ぐための先行投資なのかも知れないし、そこにはこれまで長期にわたって成長路線を辿ってきた彼ら独特のしたたかな戦略が見え隠れしている。
 8月にはそうしたマックの事業説明会が開催される予定である。(炎)

 

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2002/07/22 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

【先週の株式相場を振り返って】

 NYダウが一旦反発をしかかったことや円安に振れたことなどから、日経平均は水曜日から木曜日にかけて反発の動きを見せたが、短命に終わった。週末は引き続きNY株安から日経平均も反落。6月安値である10060円に接近して終えた。
 海外での有力企業の会計疑惑からソニーなどの国際優良株が売られたほか、週半ばにこそ反発場面があったが、電機・精密など輸出関連株も全般に押しなべて冴えない展開となった。
 個別には引続きブラザー、近畿車輛が人気を集め、大証2部の安治川鉄工が一段高を演じていた。

日経平均週末株価 10202円  前週末比▲399円 (▲3.8%)
TOPIX 989ポイント 同▲30ポイント(▲2.9%)
日経店頭平均 1196ポイント1218ポイント 同▲22ポイント(▲1.8%)

【今週の株式相場展望】

 今週はNY株が週末に下振れするなど海外株安の影響が一段と懸念されることから、週前半は日経平均の1万円割れも想定しておきたい。1万円どころでの抵抗はあろうが、ワールドコムの問題やその他の有力企業における会計疑惑が株式市場に大きな影響を与えかねない点は引き続き憂慮すべきだろう。
 NYダウは昨年安値8062ドルが当面の攻防ラインとなるが、これを割り込むような場合は日本市場にも影響を大いに与えてしまうのでここは注意が必要だろう。
 日経平均の当面の下値目途は10060円と9770円と心理的にもテク二カル上でも判断されるが、2月安値9420円を割ることだけは避けたいところ。特殊チャートでは8月上旬に売られ過ぎゾーンに入ると弊社のテク二カルアナリストは推定しているが、いずれにせよ出来高を伴ったセリングクライマックス(信用で買い建てしている多くの投資家の投げの局面)が訪れないとならないだろう。 引き続き個別株への物色が続く局面と言えるが、過熱し過ぎた銘柄には波乱も想定される。
 IPO銘柄ではイオンモール(8905)が24日にいきなり東証1部に登場する。また、同日にJASDAQ市場に上場するニューテック(6734)は今後の成長期待が高いストレージ(コンピュータの外部記憶装置)の開発・製造・販売を手掛ける企業であり、全体相場の動きが悪い中でその株価動向が注目される。
(このコメントは炎のファンドマネジャーが有料購読者向けに土曜日に作成したものを転載させて頂きました。)

*大方の予想通り、本日は朝方売り込まれてスタートしたが、日経平均が1万円割れとなると、公的資金の買いから反発の動きを見せていた。1万円が最初の抵抗ラインとなっているが、まだ予断は許さない状況にある。今晩のNY株が反転すれば再び主力株に買い物が入るだろうが、果たして結果はどうだろうか・・・。(炎)

 

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2002/07/19 米国のシステム
生涯遊人

 

 米国の2枚看板は、民主主義と資本主義であることは割と知られている。造られた国である米国は、国を維持していく建前としてこの二つは絶対に死守していかねばならない。

 その4番打者の資本主義が揺れている。
 株主重視の資本主義で、企業会計の透明性をうたい、不正に対しては厳罰で臨んでいたはずにもかかわらずである。
 ここのところ日替わりで企業会計に対する不正のニュースが出てきたり、あるいはそれらの企業のいくつかは、すぐに破綻に追い込まれてしまった。ある意味では、不正を働いた企業あるいは、業績が著しく悪い企業が、市場原理によりすばやく退場することは、限られた資源の活用という意味でも正しいのだろう。
 日本のように、すでに死んでいる企業が10年経っても生き延びていたり、たとえ不正をはたらいていたり、すでに企業としての使命を終えている企業でさえも国家ぐるみで庇護するよりはよっぽど健全なのではないだろうか。

 このことひとつをとって、ニューエコノミーの終わりであるとか、米国経済の一人勝ちが終わるとみるのは短絡的すぎるのではないだろうか。そもそも米国経済だけがニューエコノミーであるとか、あるいは差別がないとか、チャンスの国であるはずがない。
 所詮人間のやること、胡散臭さがどこにでも存在する。

 しかし米国の場合、理念の実現のために行動をおこすことを厭わない。彼らは自分たちのシステムが最高だと信じて、他の国にも押し売りにくるからうっとうしい。
 だが、完全でないシステムを完全にしようとする努力は怠らないため、必ずなんらかの、しかも効果のある行動を起こしてくる、決して先送りはしない。
 私自身、米国のシステムはかなり胡散臭いし、プロパガンダされている部分も多いとおもう。しかしこの前向きな姿勢さえあれば、いつか完璧なシステムになるのではないかと思う。

 多分この会計処理の問題にしても、テロの問題にしてもすぐに解決できる問題ではないので、このことをネタにしたドル売りというのはしばらく継続するだろう。
 米国市場から資金が欧州あるいは、アジアにに還流している。経常収支の赤字を海外からの資金で賄わなければならない米国としては、海外からの資金流入が止まることのほうが短期的には問題がある。

 かつて、貿易収支の赤字と財政赤字で双子の赤字とよばれ、そのことが$を長期的に下落させる原因になった。
 そのために米国は、常に海外からの資金をひきつけなければならない構造になっている。そういう意味ではアルゼンチンや、かつて海外からの短期資金の流入に頼ったアジア諸国に近いため、常にドル下落のリスクはつきまとうのである。(生涯)

 

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2002/07/19 クリップコーポレーション(4705)
海パン刑事

 

 JリーグのJ1がサッカーワールドカップ(W杯)後に再開、観客動員数は今季最多人数となるなどサッカー人気は続いている。W杯でやや熱が冷めたとは言え、サッカー人気は今後も続きそう。
 W杯やJリーグで年収何億円も稼ぐサッカー選手が紹介されると小さい子をもつ親としてはとりあえず、サッカーでも習わせてみたいものです。てなことで、サッカー教室を運営するクリップコーポレーション(4705)にちょっとヒアリングしてみました。

 ちなみに業績は今季四季報予想(連結)売上高28億円(前年比+4%)、営業利益5.5億円(+6%)、営業利益率19.6%、予想EPS 86円と規模は小さいながらも高収益企業。収益は学習塾事業とスポーツ事業(サッカー教室)の2本柱。

【足元】

 足元、4−6月は売上高でほぼ計画通りで推移している模様。ただ、学習塾では1%程度を下回っている一方、高収益のサッカー教室が計画比+2%となっているので収益では若干ながら上ブレの印象。

【教育事業(学習塾)】

 学習塾は土日完全週休2日ということでプラスに働いているイメージがあるがそれほど好調という印象ではなかった。同社は収益性向上のため、教室のスクラップ&ビルドにより、1教室当りの生徒数を増やすことで収益力をあげている。前期実績では17.2%の営業利益率。

【スポーツ事業(サッカー教室)】

 サッカー教室の生徒数は平均30名弱、全国でおよそ530教室開催している。ちなみに月謝は週1回で5000円と比較的お手ごろな価格。対象年齢は幼稚園から小学校低学年。
 サッカーを教える先生は非常勤講師の割合が多い。会社側ではサッカー技術の向上を目的としているのではなく、サッカーを通じた友達作りや挨拶、礼儀の教育を目的としているという。従って、技術力の高い人材をわざわざ使う必要も無い。むしろ、技術力を向上させようとすると怪我をさせるなど逆にリスクは高い。
 このサッカー教室事業(スポーツ事業)のセグメント営業利益率は前期で26.9%と収益性は非常に高い。
 今期のサッカー教室の生徒数は前期が平均生徒数8557名→12751名と5割近く伸び、ハードルが高くなったことや卒業メンバーの増加、退会者の増加を織込んだことなどで生徒数は前年比13%増と伸び率では鈍化した計画。前述通り、若干計画比プラスだがサッカー人気の継続次第では期待できそう。

【サッカー教室が高収益なのは?】

 サッカーが高収益なのは1)開催場所がグランドや広場なので賃貸料が安い2)非常勤講師の割合が多く、技術力も要求されないので人件費率が低い、とのこと。
 ライバルは地元のサッカークラブなどが思い浮かぶが、同社は幼稚園から小学校低学年のみを対象としているなど住み分けがされているという。今後は関東圏を中心にサッカー教室の展開を計画。
 このほかでは男の子以外に女の子の生徒数を増加させるためダンス教室を展開中。収益は若干の赤字。

【株主還元策】

 同社では株主還元策(株主作り)の選択枠として1)単位株の引下げ2)株式分割3)増配、などを挙げている。いつ実行するかは不明だが、やる気はありそう。

 7/16日の株価は485円。連結会社予想PERは5.6倍。配当利回り3%強(1株15円)。
 W杯では日本がロシア戦に勝って3日間で17.6%上昇した実績を持つ。

 サッカー熱が冷めたときに買い、2年後のオリンピック、4年後のW杯などサッカー熱が上昇した時期に売るといった投資スタンスが面白いと思います。ちなみに値付けはマーケットメーク。
(海パン)

 

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2002/07/15 連載 負けない投資 その6
大原部長

 

 (前回までの復習 負けない投資 その1〜その5までの要約: レッスンと問題意識)
⇒生活習慣を変えること消費者から脱し投資家へ変身すること
⇒そのためには毎月のキャッシュフローをプラスにすること
⇒株式投資は毎月する
⇒よい会社を選ぶこと

*よい事業は、10年、20年、30年と投資が続行できる事業であり、そのような事業の利益率は平均より高い
*平均よりも利益率の高い会社の一群に投資を続けていけば、そうでないグループへの投資よりも過去の実績リターンは高い
*PEなどのバリエーションの議論の前に競争力の議論をするべきだ


【連載 負けない投資 その6: 企業の競争力とバリエーションとの関係を解き明かせるか? フレームワークの提示】

競争力がある=競争を勝ち抜くことができる
競争力がない=負け=損失

利益率が低い。
たとえば売上高利益率が3%以下であれば、これは競争力どころの騒ぎではない。
生きるか死ぬかの瀬戸際に立っているといっていい。

利益率の低い企業は、付加価値が創造できていないのだから、将来のキャッシュフローを予測する作業は無意味になる。
将来存続するかどうかわからないからである。

危険企業と永遠企業の収益(=E)に対する価格(=P)は相当違っているべきである。
危険企業のPEは低い。
永遠企業のPEは高い。(逆は必ずしも真でない)
 しかるに、PEは安い方がいい。
PEが低いことが購入の条件になっている人も多い。

危険とは、財務リスクだけではないだろう。
参入障壁の低さ、成熟国内産業の競争力の低さ、ライバルの数の多さ、競争の厳しさ、いろいろな危険が世の中には存在する。

逆にいえば、PEが低いのには低いだけの理由が沢山存在する。
その理由のひとつひとつがはっきりとしたリスクなわけである。

株価はPEではなかなか説明できない。

株式投資の世界では、実用的な道具として、PEで、つまり、ほんの1年先の収益(=E)を予想して、その収益を基準に株価(=P)を論じるという慣行になっている。
PEの議論は、目先の収益、来期ベース、今期ベースの収益予想が基になる。

しかし、それが指し示している理論的な意味は、リターンである。
PE10倍なら1/10、つまり10%のリターン。
100投資すれば10帰ってくることが予想されるということだ。

その10は内部留保や配当に回される。
PE20倍なら1/20で5%。
100投資すれば5戻ってくることが予想できる。

しかし、毎年5%が戻ってくるわけではない。
でも、5%ぐらいはリターンがほしいよね、そういう意味である。

PEは理論的に裏付けられた投資のメソッドではなく、単なる経験則だ。
教条主義的な「低PE信仰」は根強く残っている。
投資家は、1年先の収益をもとに株価を論じ、永遠のリターンを期待する。

 

【PE教の信者は救われるのか? 数々の疑問 今までの投資の常識は果たして常識だったのだろうか?】

 利益率が低い企業については、株価を一株あたりの利益で割って求めるPEなどのバリエーションの議論は、果たして意味があるのだろうか?

 リンゴの皮のような利益率しかない企業のPERが安くなるべきなのか?
 営業利益率で20%以上を恒常的に稼げる高収益企業のPEは高くあるべきなのか?
 PERが低いということは、リスクもその分だけ高いということなのか?

よろしい。
企業の質とバリエーションとの関係は複雑すぎて論じることは難しい。

 企業の質が強化されるステージと、質が綻んでいくステージと場合分けするといいかもしれない。
 企業を見て、その質が強化されより高質へ変化を遂げることができるのであれば、その変化はバリエーションとして反映されているべきだろう。 
企業の質が劣化する方向にあるならば、その変化はバリエーションできっと割り引かれているのだろう。

議論はどんどん難しくなるように見える。
究極の選択だ。

●負けない企業の安いPEよりは 勝つ企業の高いPEの方がましだろうか?
●数年先に倒産しそうな企業のPE5倍と、競争力がある企業のPE50倍とどちらが安いか?

 これらの問もまた難しい。
なぜなら、株は、すべて相対的な評価だからだ。
強いか弱いかは、相対的なものであり、数値化するのが難しい問題だ。

強い企業がだんだん弱くなっている場合もあれば、弱かった企業が徐々に強くなっている場合もあるだろう。

わたしたちが考えるべき方向性をまず示そう。

⇒多分、競争力の議論は、PEの議論の先に来るべきなんだろう。

 競争力の有無だけでなく、競争力自体の質の変化の方向性も議論の対象になる。
 とりあえず、仮説を立て、その仮説が正しいのか、いろいろな製品を例に検証してみよう。
 どのように市場は成立するのか、どのように覇権が成立するのか、その覇権はどのように崩れ去るのかを考えよう。

仮説⇔検証
 ↓
 競争力の段階、差別化のステージの定義
 ↓
 差別化や競争力の段階とバリエーションの新しい関係

 この試みは、果たして上手くいくだろうか。

 

【競争力の仮説 − 強いものがより強くなる段階を説明する】

 市場の混迷期を説明するよりも先に圧倒的なシェアを勝ち取った企業の今後を予測したい。
 圧倒的にシェアを取った企業はどのような戦略が取れるのか、どのような有利性があるのか。

 売上と固定費は比例しない例は、人気のあるレストランと人気のないレストランを見ればわかるだろう。
 人気がなくても、厨房やらテーブルやら内装やら初期投資やかかり、ウエーターやコックをまかなう費用も必要になる。
 人気があるレストランではウエーターが飛び回っている。人気がないレストランでウエータは本を読んでいるかボケーとしているだろう。

 それが固定費が売上に比例しないという意味である。

 

【仮説 固定費は売上規模に比例しない】

 あるモデルを考える。
 市場には2社しかいないとしよう。
 トップ企業が70%のシェア、2番手が残りの30%シェアとする。
 市場規模は1000億円とする
 市場は好況時に1200億円、不況下では800億円になるとしよう。

 事業の性格は、固定費が売上の20%、変動費が売上の60%、したがって、営業利益は売上の20%である。
 通常は、トップ企業のシェアは70%だが、不況時にシェアは向上し75%へ、好況期は反対にシェアは低下し、65%になるとする。
 同様に平常、2番手のシェアは30%だが、不況期にシェアを低下させ(25%)、好況期にはシェアが上昇する(35%)とする。
 しかし、固定費(設備投資と人員など)の性格上、生産能力によって固定費は決まってくる。
 好況時の生産能力に見合った固定費が必要になる。

⇒ここでは、固定費を売上の20%としたが、トップ企業も2番手企業も、好況期の売上の20%が固定費とし、営業利益を計算してみる。(表1参照)


 表1 モデルケース トップと2番手の比較

(JPY Million)
不況
通常
好況
市場
80000
100000
120000
トップ企業売上
60000
70000
78000
2番手売上
20000
30000
42000
トップのシェア
75%
70%
65%
2番手のシェア
25%
30%
35%
       
限界利益(40%)
トップ
24000
28000
31200
2番手
8000
12000
16800
       
固定費 (20%)
トップ
15600
15600
15600
2番手
8400
8400
8400
       
営業利益
トップ
8400
12400
15600
2番手
-400
3600
8400
       
営業利益率
トップ
14%
18%
20%
2番手
-2%
12%
20%

⇒雌雄を決するのは、固定費の額であるが、この問題を突き詰めると、「好況期にどれだけ経営資源を備えるべきか」、「好況はいつまで続くのか」などの不透明な部分を読むという最重要の経営課題となる。

 2番手企業は、好況期の売上規模420億円にあわせた設備を持たなければならない。
 トップ企業もフル稼働前提に780億円の好況期の売上の20%が固定費となる。

 好況期に意識的にシェアを落とすことが可能であり、不況期にシェアを上げることができるところが、競争に勝てる。
 そうすることによって、トップ企業は、景気の変動のかなりの部分を2番手に負わせることが可能になる。

 トップ企業は最低でも14%の利益率を確保できるが、2番手企業は不況期に急速に収益性が落ちる。
 不況期の両者の差が、景気後退局面ではっきりとしてしまう。

 たとえば複写機におけるキャノンとミノルタ ウエハーにおける信越化学と小松電子を見てみる。(表2参照)

表2 株価の下落率

 
2000年高値
2001年安値
下落率
キャノン
5620円
3195円
43%
ミノルタ
685円
92円
87%
       
信越化学
6630円
3260円
51%
小松電子
1430円
286円
80%

 しかし、好況へ向かうとき、投資家はどう振舞うか。
2番手を見る。
シェアが上がっている。
増益率がトップ企業より高く、モメンタムがある。
このまま好況が続き、売上が拡大すると経営陣も思い込んでいる。

それが2000年に起こったことだった。

 しかし、一度、景気後退局面となると、設備投資をやって固定費が上がっている2番手以下が苦しくなる。
 景気がよくなり、ピークをうち、悪くなり、ボトムをうち、また通常にもどるというサイクルを経験するごとに、両者の差は開いていくだろう。

 強いものがより強く、弱いものがより弱くなるような方向に物事は動きやすいとはいえないだろうか。
 シェアを上げていくためには、利益を犠牲にしてまで、価格競争をしていてはだめで、需要に見合ったぎりぎりの固定費でぎりぎりまでやっていくんだという思想が重要である。
 利益は値下げ減資にするのではなく、次世代製品の開発に使いたい。

シェアを意識した「勝つ」経営とは
●設備投資を不況下に断行して投資額を安く仕上げること
●設備投資は即断即決で設備は垂直立ち上げができること(他社よりも圧倒的にすばやい立ち上げのスピードが必要)

そのためには
●製品ノウハウや設備ノウハウが自社に備わっていること、設備が内部で作れる、ノウハウに長けた人員がそろっていること
●経営資源を地域的に集中させていること 人員を一箇所に集中させる
●設備も一箇所集中が好ましい(この考えは、災害など、リスク分散の観点からは、好ましくないとされている。しかし、競争に負けては元も子もない)

※参考: シェアの変動と株価へのインプリケーション
不況期に突入すると、2番手以下の企業の株価は大きく下落すると思われる。
⇒トップ企業の株価は安定し、2番手以下の企業の株価は急落する
⇒固定費は好況時の生産高に見合って高くなってしまう
⇒下位グループ企業は、業績のよいときこそ、空売りの対象になる
⇒業績がぼろぼろで何の見込みのないとき、下位グループの株を買うべき
⇒景気がよいときにトップ企業を買っておくこと 下がったときに損が少ない
⇒または、絶えずトップ企業を保有しておくこと より強くなる可能性がある

 

【固定費は事業規模に比例しない。 それは決定的な要因ではない】

 「固定費は比例しない」という命題は、強い企業が有利であることを示したはずだ。しかし、それだけで強い企業が有利であると決まるわけではない。

 自社とライバルのそれぞれの設備投資の内容や設備投資のタイミングの良し悪しによってシェアは変動する。
 2番手であっても、内容とタイミングを伴った設備投資をすれば勝てるのである。
 ところが、それは経営の最高の判断が必要になる。

 トップシェア企業にあって2番手以降にないものがある。

 

【シェアトップが好ましい理由】

●平均的に優秀な人材を集められる
●顧客からの情報が多い 顧客ニーズを正確に捉えることができる
●顧客からの信頼を得やすい(「さすがトップ企業だけのことはある」といわれることが多い)
●ブランド構築に有利
●R/Dの規模で有利
●特許の質量で有利
●経済性で有利 規模の経済が働く 量産効果を期待できる(材料費の購入条件の面など)
●不況期に強い 顧客は不況期に2番手、3番手を切る
●寡占市場であれば過度な競争を抑えられる

【シェアトップの悪い点】

●好況期に2番手、3番手にシェアをとられる
●社員の平均給料が高くなる
●放っておくと社風が緩みやすい(油断)

 固定費は事業規模に比例しない。それはトップ企業には有利に働く。
さらに、シェアトップ企業には有利な点がこれだけある。
 となると、トップ企業の経営者、ヘマをしなければ、トップ企業は2番手よりも強くなるはずである。

なぜなら、固定費は比例しないだけでなく、設備投資の決定を左右する市場情報や次世代技術の方向性や顧客ニーズがトップ企業に集まってくるからである。

 以上の仮説が正しいか。間違っているか。いくつかの検証が必要になるだろう。

 

【バリエーションの導入】

競争力は利益率に現れる。
ライバルとの利益率の差を調べてみる。
トップ企業と2番手以降の利益率の差はどの程度あるだろうか。

利益率の差は、成長力の差となって現れてくる。

1の資産がある。ROAで1%の普通企業とROA10%の優秀企業の30年後を見てみよう。

ROA 1%の会社の30年後の資産 1.01^30=1.34
ROA10%の会社の30年後の資産 1.10^30=17.44

売上が1の会社がある。
利益が0.1の会社(利益率10%)と利益が0.01の会社がある。
利益は再投資される。
再投資された分だけ売上が伸びるとする。
利益率10%の会社は0.1が再投資され、その結果、生産能力が0.1だけ上がり、次期の売上が0.1増え、次期の売上は1.1になる。
一方、利益率1%の会社は同様に次期の売上は1.01になる。
それでは30年後は売上はどの程度違ってくるだろう。
前述と同じ。

利益率 1%の会社の30年後の売上 1.01^30=1.34
利益率10%の会社の30年後の売上 1.10^30=17.44

ここでバリエーションの議論を導入する。
成長率が10%の企業と成長率が1%の企業を同等に評価するためには、バリエーションはどうあるべきだろうか。

両者とも1の資産規模でスタート。1の売上からスタートした。
収益(E)は10%成長企業が0.1、1%成長企業は0.01だ。

さて、30年後、両者の差は13倍となった。(17.44÷1.34)
それでは両者のPEも13倍は違うべきなのだ。

つまり、30年間の平均成長が1%成長の企業のPEが仮に10倍なら、10%成長の企業のPEは130倍が適正ということになる。
1%企業のPEが20倍なら、10%企業のPEは260倍はないといけない。

表:成長期間30年

適正PE1%企業
10%企業
13
65
10
130
15
195
20
260

これは日常の感覚とは違うものであろう。

え? PE260倍が適正?
PE260倍が適正な会社の株が低PE教信者によって不当に40倍で評価されているならば、適正価値のわずか1−2割で購入ができるということになる。世紀の大バーゲンであろう。

30年間の目利きができれば資産は簡単に20倍、40倍にできる。
50年の目利きがあれば資産は100倍、200倍にできるのである。

これが5年間成長だけで考えると味気ないものになる。
1.1の5乗は1.6倍
1.01の5乗は1.05倍

両者の差は1.52倍だ。(1.6÷1.05)

成長1%企業のPEが20倍なら、10%成長企業のPEはその1.5倍の30倍程度が適正となる。
これは実感に一致するだろう。
5年間の5%成長企業のPEが20倍ならば、5年間25%成長企業のPEは何倍になるべきだろうか?(答え48倍)

10年間5%成長企業のPEが20倍ならば、10年間25%成長企業のPEは何倍になるべきだろうか?(答え114倍)

長い期間に渡って成長が見通せる企業がどうしてPEが高いのか、その説明程度にはなっただろうか。

問い合わせが多いのは、激安PER銘柄。
どれもこれも財務が滅茶苦茶で利益率がないに等しい。
こういう株は長期投資には向かない。

それでは、どうしたら長い期間を見通せる企業が発掘できるのだろうか。

−−−−つづく−−−−(大原)

 

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2002/07/15 IPO2002年夏の陣を前に
炎のファンドマネージャー

 

  =今年前半のIPO銘柄をチェック!!=

 今年のIPO夏の陣は些か寂しい状況になってきた。全体の株式相場が低迷して、上場前に業績が悪化してきた企業もあって引き受け証券が上場させるのに二の足を踏んでいるためと言われる。
 私の有料メルマガでは、6月にIPO2002年夏の陣を前に「=来週はちょっとIPO銘柄に目を向けてみよう!!=」というタイトルで特別レポートを書いておきましたが、全体相場が低迷する中で結構高い成果を上げたと自負しております。
 今週は一社の上場会社もありませんが、そうした時こそ、冷静にこれまでのIPO銘柄をチェックしてみる必要があります。
 全体相場は残念ながら、日経平均の10000円割れも懸念される状況になりつつありますが、個別に見るとなおも堅調な銘柄が見出せます。私が先週取り上げた安治川鉄工(5926)がその典型です。
 日本経済や米国経済が揺らぐ時に、その影響をまともに受ける株は買う訳にはいかないのです。問題はこうした状況がいつまで続くかですが、それは当面は期待しにくいかと思われます。
 個別材料株と並んで需給の良さや、今後の成長性の高さに支持されたIPO銘柄の株価の動きは比較的堅調なようです。とりわけ6月にIPOした銘柄の中には大きく値を上げている銘柄も見受けられます。中には上場後に下落歩調を辿っている銘柄も多いのですが、全体相場が不透明となる中にあって、成長性や今後の展開力、配当利回り、低PERなどの割安性(この点は大原部長と意見が異なるかもしれないが)から判断して、買える銘柄もあると考えられます。
 今回は以下の通り、そうした最近上場したIPO銘柄のうち4−5月に上場した銘柄の動向をチェックしてみましたので、皆様のお役に立てられれば良いかと思っております。ご参照下さい。


市場/上場日/コード/銘柄/公募価格/初値/高値/安値/時価

T2/4.12/4994/大成ラミック/2000/3200/3940/3120/3790
 コメント:高値圏維持 PER22倍

T2/4.16/2818/ピエトロ/850/1610/1630/910/1050
 コメント:下落歩調辿ってきたが本日は反転。PER16倍

J/4.16/4356/応用技術/38万/101万/109万/49.8万/51.1万
 コメント:下落歩調継続 寄り付きが高過ぎた。あと20%の下落余地

J/4.17/4799/アグレックス/1750/2500/3010/1850/1900
 コメント:下落歩調継続。公募価格に接近。PER13倍。TIS系列で堅いがやや面白みに欠ける

NJ/4.18/2732/クインランド/10万/21.5万/28.6万/19.0万/21.0万
 コメント:WEBマーケティング事業の急成長を評価。上場時に人気化したが7月1日に安値をつける。6月決算銘柄で今期業績発表に注目

J/4.23/7217/テイン/700/900/926/462/485
 コメント:アフター市場中心の自動車部品株。PER5.5倍、時価総額15億円は情けないがこれが現実。

NJ/4.23/8798/アドバンスC/4万/9.6万/10万/4.8万/5.68万
 コメント:保険代理業でまだ理解不足。上場後の株価低迷もこのためか?但し本当に収益が上がることには大方が疑心暗鬼

J/4.23/4359/ラック/30万/82万/86.5万/59.0万/63.0万
 コメント:インターネットセキュリティ関連として人気化したが、上場後は下落歩調。PERが121倍と高いのが難。

J/4.24/4358/TYO/360/430/430/220/260
 コメント:上場日に高値をつけてその後は株価低迷。220円でようやく下げ止まりの気配

J/4.25/2300/きょくとう/250/280/365/230/257
 コメント:低価格クリーニング業者 イメージが余り良くないことからPER10倍割れで公募価格近辺での推移が続く

NJ/5.01/4357/ラ・パルレ/26万/27万/34万/18.4万/20.7万
 コメント:エステ業界初の上場企業 上場直後に公募価格を上回ったもののその後は低迷。ただ、ここに来てようやく反転の兆し

M/5.10/4310/ドリームI/23万/28万/30.9万/20.8万/21.0万
 コメント:社長はテレビでお馴染みの堀紘一氏。上場時人気化したがその後は低迷。やや過大な期待感が先行した分がはがれてきた格好。

J/5.24/2735/ワッツ/30万/45万/51.1万/34.0万/34.5万
 コメント:上場後の高値から一貫して下落。PER12.5倍、時価総額14億円で反転の機をうかがう。

J/5.31/2301/学情/700/800/800/580/620
 コメント:上場初値が天井に。その後580円まで下落して反転の兆し。PERは8.5倍と低い

 

以上、6−7月分のIPO銘柄については次回チェック致します。(炎)

 

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15
2002/07/15 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 暑中お見舞い申し上げます。
 台風一過も束の間、またまた台風接近でまた大雨に注意しないとならない状況になってきましたが、皆様のところはいかがですか。
 このメールマガジンは日本全国いや世界中で読んでいる方がいるそうですから、東京や日本の天候など余り気にならないという方もお見えかとは思いますが、天気も株式相場も変化していく点では同じこと。大雨があってまた素晴らしい青空の到来もあるのですから、株式相場がいくら大雨だとしても、いつまでも続くことは有り得ないですから、ここは冷静に夏のすかっとした青空を待つことに致しましょう。

 とにかく株式相場も早く梅雨明けで、すかっといきたいものですが、NY株が下落歩調を強めるなど、先行きの不透明感は相変わらず続いております。 本日も日経平均は大幅に下落。再び10000円割れが懸念される状況になってきましたが、相場展望でもそうした懸念をお伝えせざるを得ない状況にあります。
 まあ、そうした季節(相場)の中ではしばしの雨宿りも必要。冷静に対処していくことに致しましょう。
 さて、今回も皆様への暑中見舞いを兼ねて株式相場展望をお届け致しますのでご賞味願えれば幸いです。なお、このレポートは弊社の有料購読者向けにも配信させて頂いております。(炎)


【先週の株式相場を振り返って】

 週の初めは、前回想定した通りに日経平均が11000円台に一旦は乗せるなど強含んだものの、その後はNYダウの続落から反落に転じ、木曜日には10500円を割れる場面が見られたが、下値では年金資金などの買いも待っており、一気の下落とはならず週末は多少の戻りを入れて終えた。想定した通りに高値トライをした後は再び下値模索となり、6月安値に対する2番底形成に向けての動きが見られるようになってはきたが、景気の一部に持ち直しの動きが見られると政府がコメントするなど、景気回復に向けての期待感もなお、底流にはあるため急落には至らず、むしろ個人投資家を中心に個別銘柄を物色する流れに関心が向かっている点は、なおも株式相場の今後の行方にとって一縷の望みを託す明るい動きでもある。
 円高の進展、NY株安から電機・精密などの輸出ハイテク株が下落したほか、不動産、証券などの内需・金融関連株も下落歩調を強めた。この中で建設、保険、非鉄といったセクターは比較的堅調に推移。銀行や小売などのセクターも全体相場の下落歩調の中にあっては比較的値を保っていた。なお、個別に見ると重電3社や三井不動産の下落が目についた。
 一方で、全体相場が停滞する中で個別銘柄への物色気運が底流には流れ、ブラザー、群栄化学、東海染工、ツムラ、奥村組、キッコーマン、近畿車輛など中低位材料株が人気を集めていたのが目についた。
 また、安治川鉄工が週末にかけてもストップ高を演じるなど急騰を演じており、つれて東邦アセチレン、日本医薬品工業といった大阪2部銘柄や沢井薬品、マンダム、ハマキョウレックスといった出遅れ2部銘柄への関心が高まっていた。東証マザーズではCCCが上値追いしたほか、JASDAQでもハードオフ、赤城水産、東和薬品、八千代工業などが個別に人気を集めた。

日経平均週末株価
 10601円  前週末比▲225円 (▲2.1%) 直近ボトムからの値上がり率 5.4%

TOPIX
 1019ポイント 同▲23ポイント(▲2.2%) 同 3.7%

日経店頭平均
 1218ポイント 同▲4ポイント(▲0.3%) 同1.8%

【今週の株式相場展望】

 今週は海外株安の影響が懸念されることから、週前半の日経平均は6月26日の安値(10060円)に対する2番底形成に向かうことになろう。日経平均を週足の動きで見ると、昨年9月の9382円に対して5ヶ月目の本年2月に9420円の安値をつけて、今回その5ヶ月後に再び安値をつけるパターンが現状において考えられる理想形と言える。また、日足ベースでは理想的には引け値ベースで10300円を維持してほしいところだが、この水準を維持できないと底割れの懸念も台頭することから、注意深く見守るところだろう。
 相変わらず米国での会計疑惑が、株式市場に悪い影響を及ぼしつつある点は衆目の一致するところであり、株価の下落が米国の財政悪化に影響し、それがまた為替面に影響するといった悪循環の中に入りつつある点は注意深く見守る必要があろう。ただ、米国の景気そのものはまだそれほどの悪化が見られないことや中国、台湾、韓国を中心としたアジア経済の堅調さが日本の景気を下支えしている点を考えると、ここで余りに悲観視し過ぎても後で悔いを残す結果となり兼ねない。
 NYダウは週末において8684ドルと大きく下落するなど、確かに調整の過程にはあるが、昨年9月21日のテロ後の安値は8062ドルであり、一部の企業に足を引っ張られて下げている段階ではあるが、これを2番底形成の動きと捉えることも可能だけに、これも余り過度に悲観視する必要はないだろう。
 日米間の株式相場の形成過程が異なる点を勘案すれば、今週においての下値模索が底割れに繋がる懸念はないと私は思うが、皆さんの相場感はいかがだろうか。
 なお、NY株のボトムからの現状の位置は+7.7%、日経平均の2月ボトムからの現状の位置は +12.5%。仮にNYダウと同じ位置なら10145円となるが、この水準は6月のボトムとほぼ同水準となる。(以上は先週末段階のコメントです。)

*本日の日経平均の終値は10375円でほぼ安値引け。6月安値10060円まであと315円まで迫ってきた。果たして10000円割れがあるのか、本日のNYダウ、NASDAQ相場の動向を固唾を飲んで見守りたい。(炎)

 

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14
2002/07/12 最近、為替マーケットで噂になっていること
生涯遊人

 

 かつて粉飾決算といえば、日本企業のお家芸だったが、最近は、日替わりで米国企業のスキャンダルがでてくる。
 先週ぐらいからマーケットは、かなり$のダウンサイドのリスクを気にしだした。

 ちょっと前までは、結局は日本経済の不振によって、130−135円あるいはそれ以上の円安にもどる、あるいはもどってほしいといったコメントが多かったが、先週ぐらいからは、110円、100円 あるいは来年には80円までドル安が進むというコメントまで出だした。
 専門家と称する人たちのコメントはこんなもんである。

 米国の株安によって米国からの資金流出が止まらないという予想から、$のさらなる下落が加速するのではないかとみている。アジアが、米国からの資金を吸収するためのセーフへブンになるという考え方だ。韓国のインデックスは、先月の700割れの水準から800近くまで10%以上上昇している。
 しかし、アジア市場といっても日本以外のマーケットは、大きな資金の受け皿になるような規模ではなく、そのために日本株に資金がまわり、それが円高を加速させるのではないかという観測がながれている。

 しかし国外資金の流入で自国の経常赤字をまかなっている米国は、いずれかの時点で資金の米国還流をほどこす手を打ってくるのではないだろうか。
 米国株の下落が止まらずに、ドル円が100円を切るようなことになれば、協調介入ということもありえるだろう。(生涯)

 

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13
2002/07/12 ダイエットの本質
小野小町

 

 全く進捗がみられない…それは構造改革、ではなく私のダイエット。毎年正月になると「今年こそやせる」と決心し、年末になると「ダイエットは来年から」とクリスマスケーキを頬張って実現した試しがありません(ブリジット・ジョーンズ?)。

 テレビの「あるある大辞典」などでそれらしき特集がやっていると、そのときはインスタントな知識を習得するのですが、実行しないため体重計の針はウンともスンとも動きません(というか年々基礎代謝が落ちてむしろ増えている)。
 「今年の夏こそは」とこの1ヶ月ダンベルを振り回していましたが、先日見た番組で基礎代謝をあげるには、相当重いダンベルを使用しなくてはならないと知りショックを受けました(しばしやけ食いに走る)。しかしそれでも懲りずに再挑戦するあたりはアニメ「タイムボカンシリーズ」の悪玉トリオさながらです(何だか永久にやせない気が…)。

 2000年の厚生労働省の国民栄養調査によれば、男性は30〜60歳の3割、女性は60歳代の3割が肥満だそうで全体で見てもその比率は増加傾向にあるそうです。ちなみに基準はBMI(体重/身長(m)の二乗)で、18.5〜25の範囲を正常と位置づけそれ以下をやせ、それ以上を肥満と定義しています。

 ダイエット先進国(?)のアメリカでは成人の6割が肥満であるとされており、ダイエット関連商品の市場規模は400億円ドル超、年率8%以上のペースで拡大しているそうです。
 日本でも、例えばサプリメント(栄養補助食品)の市場規模は推定で4000億円超、内ダイエット関連市場は700億円といわれています。医薬品、食品、化粧品など異業種同士の参入もあり競争は激化していますが、食の欧米化や女性のやせ願望もあり今後も更なる市場拡大が予想されます。

 しかしこれら商品に頼らずとも、やせる原理そのものは簡単で要は摂取するエネルギーが、消費するエネルギーより少なければいいわけです。ダイエットというのは本来「食餌療法」という意味で、食べ方など生活習慣を見直すことで健康な身体を目指すものです。ですから「○○は絶対ダメ」など非日常的で続かないものはその本質から外れているといえます。
 楽してやせたいというおこがましい発想を持つと、つい錠剤やら塗り薬やらに投資したくなります。確かにそれがきっかけでやせることもあるでしょうが、生活がそのままならいずれリバウンドしてしまいます。よく雑誌の広告等で、1ヶ月で10kg減など魅力的な宣伝文句が謳われていますが、健康上の観点からも月に1〜2kg減が望ましいようです。

 要は根気よく日常生活を改善するしかありません…しかし自らの足元を改革するというのはダイエットに限らず実に難しいことではないでしょうか。それが証拠にアブトロニック(10分間で腹筋600回って…)やその他類似品のヒットをお考え頂ければと思います。また化粧品業界では今年は「香りで痩せる」を合言葉に資生堂がグレープフルーツの匂いのするボディ用美容液「イニシオ」、カネボウがラズベリーの香り成分「ラズベリーケトン」を配合したパックやサプリメントを展開しています。
 いずれも販売は好調なようですが、ダイエットや健康関連商品は「これがいい」となると一気に類似品が出るため陳腐化も早く、発売しても1〜2年で廃れてしまうのが特徴です。

 12日の読売新聞にダイエット食品で女性が死亡した記事が掲載されていましたが(やせるためなら死んでもいい?)、健康に支障をきたさない程度に試行錯誤しながら自分にあった方法をみつけるのが一番かと思います(それもまた難しい…)。(小町)

 

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2002/07/12 帝人(3401)のパテント−2
両津勘吉

 

 前回、ゼオンのゼオネックス及び、ゼオノア製品について若干ながら触れさせて頂いたが、もし技術的に優れているとしても、JSR製アートンを凌ぐことになるかどうかはわからない。
 一製品だけでなく、総合力と士気の高さがJSRの特徴である。帝人側も同様で、会社側がアナウンスするほど期待はできないような気がする。しかしそうすると帝人の新事業には成長製品がないのか?

 会社側は証券界にもう一つの期待製品を紹介している。名前は超高分子ポリエチレン高性能フィルム:ソルフィル。既に松山に1ライン導入しており、サンプル出荷中のこの製品が帝人の見方を変えるかもしれない。
 エアーを大量に含むフィルムに、セラミックスを混合させる。これを積層させることでコンデンサーを作るというシロモノ。これをセラミックコンデンサーメーカーにサンプルを入れており、実用化されれば溶剤不要、キャリアテープ不要、グリーンシート不要と、セラコンメーカーの前工程が全く不要になってしまうばかりか、既存のセラコンに比べ容量も大きくなるという。本当に普及すれば、セラコンメーカーのポジションが大きく変わる可能性を秘めるだけに、末恐ろしい製品である。

 しかし、実際の売上の立つ時期はまだ3〜5年先と、位相差フィルム同様どうなるかわからないとの意見が一般的。しかしこの根本技術は帝人ではない。オランダのDSM社がパテントを握っており、帝人はこの企業と50%ずつ合弁企業を設立している。1980年代に出されたパテントだけに、もう20年近く研究を重ねてきた技術であるようだ。唯一、この新技術だけは今後も追っかけていきたい。

 最近では帝人を弱気にしているセルサイドアナリストも見受けられるが、私も同感であり、安い位置で拾ってもあくまでトレーディング対象銘柄と割り切るべきと考える。
 フィルム、PC樹脂など化成品事業がシクリカルグロースではなく、単にシクリカル。おまけに前回記したように、海外での出資が必ずしも成功したわけでなく、国際戦略というカッコ良い言葉に引かれて買ってしまった気がしてたまらないからだ。 説明会では、役員が堂々と質問に対して応対している姿を見ると、経営陣はしっかりしていると思ってしまいがち。

 しかし某氏が教えてくれた。
「従来、シェアの高かった製品がシェアダウンしている。帝人という企業は儲かっていると何の手も打たないし、何にもしない」と。
「現に在宅酸素を見てください。10年間何にも変わってないでしょ」と…。

 国際戦略の元、フィルムに手を出したとはこの方が教えてくれたものだ。

 昨年度を底として増益トレンドに入ると思われるが、帝人の復活を確認するには相当の時間が必要と思われる。

 400円台を買って440〜450円売りの短期スタンス。(両津)

 

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2002/07/09 連載 負けない投資 その5
大原部長

 

 =企業の実績経常利益率と投資リターン=

【利益率に投資をする】

 連載初回では企業の競争力と売上高利益率との関係を述べた。バリエーションの議論をとりあえず省略してみよう。

 たとえば実績の利益率。決算が出る。出た決算の数字を見る。利益率を見る。高い利益率の会社の一群をそのまま購入したとする。

その後、10年間放っておく。

それはまずまずの成果を生んできた。
とりあえず、ほんの10年間の実績を比べてみたらどうか。

【経常利益率の上位銘柄と下位銘柄の株価比較 1992〜2002】

●TOPIXの今年3月時点の時価総額上位200社をピックアップ
●その200社の10年前を見る。1992年3月期の実績の売上高経常利益率の順に並べる
●1992年の3月の利益率下位50社に投資して10年保有する。なんと買値の2割になってしまった
●逆に利益率上位50社に投資する。TOPIXのリターンを上回り買値の77%になっている
●利益率の高いグループと低いグループとのリターンの差は10年で50%以上開いた。

 利益率の高い銘柄の代表選手はキーエンス。10年前は8000円だったが、いまは2万円を超えている。
 村田は10年前、2000円だった。いま、8000円だ。
 10年前のSMCは2800円、HOYAは1500円だった。どちらも4倍以上になっている。

 利益率の低い下位銘柄の代表は、日本航空やNKKだ。株価は10年前の半値以下に落ち込んでいる。

利益率に投資をする。
それが長期投資の基本である。

【1972年、1982年からのバックテスト】

1972年〜2002年 30年間
●1972年から2002年までの30年間の投資スパン

 1972年当時を振り返る。
 当時の時価総額上位100社のうち利益率が10%以上の企業に投資をし、そのまま現在まで保有していたら年率7%で運用ができて、資産は7.7倍になった。

 利益率が3%以下の企業に投資をしそのまま継続保有していたら年率5.3%の利回りで、資産は4.7倍にしかならない。

●1982年〜2002年までの20年

 利益率が10%以上の企業への投資利回り年率平均で6.1%で資産は3.3倍。
 利益率が3%以下の企業への投資は2.4%の利回りで資産は1.6倍。

●1992年から2002年までの10年間

 当時の時価総額上位100社のうち10%以上の企業への投資 年率1.4% で資産は1.15倍
3%以下の企業への投資 年率マイナス3%で資産は0.74倍に

【バリエーションは不要か?】

 企業の実績に投資する、利益率に投資するやり方は、過去を検証すれば正しいということがわかる。

 その理屈は簡単である。 株価の理論は、企業は永遠に続くという前提で算出される。しかし、実際はそうではない。

 30年間生き続ける企業と20年間生き続ける企業がそれぞれ年間100円の配当を続けるとき、理論では100円が永久に配当されるという前提をとる。
 要求利回り10%なら購入希望価格は1000円(100÷10%)となる。
(注:参考:購入希望株価の算出方法を参照のこと)

 さて、永遠につづく企業を「永遠企業」とすると10%の利回りがほしければ1000円が希望価格だ。
 20年続く20年企業なら850円まで粘らないと10%で回すことができない。
 30年続く30年企業なら940円出すと年率10%で30年回せる。

 ならば5年しか持たない危ない「危険企業」は1−d^−5=0.38→ ああ、380円でやっと利回り10%だ。
 つまりPE4倍もPE10倍も大体要求利回りが同じようになるように株式市場は機能している。

 ちまたでいわれているPE(注)20倍以下、PE10倍以下というバリエーションの教条主義とはおさらばしたほうがいい。
(注)PE(株価と収益との倍率:株価収益率)

 バリエーションが語っていることに耳をすませよう。それらは大体において正しい。聞こえるだろうか。

「利益率が高い→企業の資産効率がいい→資産効率がよいから収益の成長も高い→長年の積み重ね→株価のリターンが大きい」

ところが、市場の大多数の参加者は、教条主義的なPE論者だ。
「PE20倍以下しか買いません」。
よって、PE40倍以上の銘柄は評価不足になっている「かもしれない」。
PE20倍以下の銘柄はよくよく吟味され、投資家の目が行き届いている「かもしれない」。

本当の長期投資は、企業の質を見極めるところからスタートすることになる。
企業の質や寿命をイメージできないのならば、教条主義PE議論は、温室育ちの投資家を大量に育てることになりかねない。

温室で育った投資家はリスクがとれない。
リスクのある世界でリスクがとれないなら、本当の感動は味わえないだろう。

企業の質を捉え、強さを理解し、製品の成長性を捉え、成長性を理解し、ようやくPEの議論が活きてくる。
投資家としてPEを語るには10年かかるといっていいだろう。

→PEは奥が深い。安易に用いるな。
→株をよく知っている人に向かって「割安」という言葉を吐くな。「割安」は禁句だ。ブロイラーのような大量生産される温室育ちの投資家でとどまってはいけない。

 負けない投資の技術論の第一弾は、「経常利益率、株価リターン、企業の寿命、バリエーション」の関係を述べた。

(連載第5回目のまとめ)

1)負けない投資には、負けない企業を選ぶこと。負けない企業とは存続できる企業である。
2)存続できるかどうかは利益率が物語れる一面もある。
3)「永遠企業」と「危険企業」のPEはそれぞれ10倍と4倍であるが、PE(株価と収益との倍率:株価収益率)が安いからいいとは単純にいえない。
4)利益率への投資はバリエーションの議論が抜け落ちているが、投資の基本線は外していない。

→さらにバリエーションの議論を正しく導入すれば投資リターンを改善していけるだろう。
→さらに企業の成長性の議論を導入すれば負けない投資が完成するだろう。


【演習】
連載武富士の過去の資産の増加率を以下に示す。
88年から02年までの純利益額を推定せよ
株主の持分(BPS)は何倍程度になっただろうか?
以下の数字だけから導け。

表:武富士の総資産の成長の推移(88年〜02年:単位億円)

88/3  5433.5
89/3  6052.0
90/3  6825.8
91/3  7577.6
92/3  8123.8
93/3  9878.4
94/3 10402.2
95/3 11913.3
96/3 13183.0
97/3 14162.9
98/3 15598.6
99/3 17288.5
00/3 18991.7
01/3 20180.6
02/3 20170.7

資産の成長率年率 9.8%

答えヒント
 02年の資産と88年の資産との差が利益の累計、02年資産と88年資産との比がBSPの成長


【演習】
 あなたがサラ金から25%でローンを借りたとする。そのおカネでこの「危険企業」に投資をしよう。
 要求利回りを40%として、サラ金から1000万円をかりて、40−25=15%、年間150万円の利ざやを取得するためには、この危険企業をいくら以下で買わなければならないだろうか?
(※危険ですから真似をしないでください)

 銀行から3%でローンを借りたとした場合は、どうか。
利ざやを5%程度で欲張らないなら、この危険企業はいくらで買うべきだろう。

「危険企業」のキャッシュフロー

0年   購入 ▲???円
1年後  配当 100円
2年後  配当 100円
3年後  配当 100円
4年後  配当 100円
5年後  配当 100円
6年後以降 ゼロ

答えヒント
100×{1−(1/1.08)^5}/{1−(1/1.08)}=?
100×{1−(1/1.08)^5}/{1−(1/1.08)}=?


(参考:購入希望株価の算出方法)

購入希望株価= 将来の毎年の配当の現在価値(PV)の合計
↓合計する            割り引く率(d)
1年後 1年目配当100円 ÷(1+10%)
2年後 2年目配当100円 ÷(1+10%)^2 ‖1.21 で割り引くとPV82円
3年後 3年目配当100円 ÷(1+10%)^3 ‖1.331 で割り引くとPC75円

合計すると
1)希望価格=D(配当)(d^−1(割り引く率のマイナス1乗)+d^−2+d^−3+…d^−n)
2)1)にdをかけると 希望価格×d=D{d+d^−1+…d^(n−1)}
3)1)−2)で、さらにlim(n→∞)で整理すると、希望価格は 配当÷(1−d^−1)

ここでd=ディスカウント率、PV=プレゼントバリュー
(参考:危険企業のバリエーションを考えよう)

「危険企業」のキャッシュフロー
0年   購入 ▲380円
1年後  配当 100円
2年後  配当 100円
3年後  配当 100円
4年後  配当 100円
5年後  配当 100円
6年後以降 ゼロ

 この危険企業の市場のバリエーションはどうだろうか。
仮に380円で取引されているとする。
5年後は倒産するかもしれない。
配当利回りは、26%となっている。(100円÷380円)
配当100円、簡略化のためにEPSも100円とすると、PEは約4倍。

まあ、世の中、そんな配当を出してくれる会社はない。
だからEPSを代替的に使っているのが現実だ。でも、基本は配当。それが株である。

(余談)
 生活習慣からキャッシュフローを生み出すためには、やはりレバレッジをかけないと難しいだろう。
 貯金500万円を年率10%で回しても、年間50万円。これをコツコツと積み立てるのはつらい。
 それならば、貯金500万を頭金に投資用不動産を買うことが望ましい。地震などリスクがあるが、不動産の利回りは金融商品より高い。
 たとえば5000万円の古いアパートを買う。利回り10%。ファンディング3%。7%の利ざやだが、年間350万円のボーナスとなる。月々30万円を継続的に株式に投資していくことができる。
 リスクヘッジとしては、土地代が回収できそうな古いアパートを狙うことだろう。
もちろん、競売なんかは当然の選択肢だ。(大原)

 

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2002/07/09 海パン刑事のIPO 新規公開銘柄紹介
海パン刑事

 

 〜エプコ(2311)高収益高成長企業〜

【驚くべき高収益率】

 今回は今度の7/12に公開するエプコ(2311)を紹介します。
 この会社の登録申請会社概要に記載されている事業内容には「水道給排水設備の調査・設計・積算及び官公庁への申請・監理とそれに伴う設備部材・流通の企画・開発・コンサルティング事業等」と書いてあります。
 パッとこの事業内容だけ見ると「ナンだ成長性のない配管工事会社か?」と思わせる書き方です。多分、新規公開概要の1ページのみを見た人は「投資対象外」と思った人が結構いたのではないでしょうか?
 実は私もそう思いました。
 しかし!!!!!
 中身を見ると利益率の高さに驚きました。

 2002年1月期の業績は連結売上高6.65億円に対して連結の経常利益は2.28億円、経常利益率で34.3%となっています。

【事業の内容 〜CAD/CAM給排水設備設計がカギ】

 この会社の事業内容を一言で言えば、低層住宅の給排水設備にかかわるソリューションビジネスを行っている会社。また、さらに言い換えれば、低層住宅向けのプレファブ給排水設備を提供する会社です。ただ、この会社は給排水設備も作っているわけではなく、販売や工事をしているわけでもありません。
 CAD/CAMにより低層住宅の給排水設備を設計、この設計図にもとづいて協力工場が給排水設備をプレファブ化し、「お届けパック」にして工事業者に届ける仕組みを提供している会社です。
 こうした低層住宅向け給排水設備のプレファブ製品の商品開発から、設計、工事施工まで一連の過程の中で収益(手数料)を得ている企業です。

 この会社の主な収入源としては、
1)住宅施工会社からの排水設備の設計料
2)排水設備器具メーカーからのロイヤリティー
3)住宅施工会社へプレファブ加工した排水設備器具を納入する協力工場から情報提供料

 などがあげられ、これら収入は2002年1月期連結売上高の80.2%を占めています。
 更に、その設計した新築住宅がメンテナンス時期にきたとき保存していた設計図を使用して設備工事会社から情報提供料を再び得ることができるようになっています。

【98年水道法改正の恩恵を受け急成長路線へ】

 エプコは1998年の水道法の改正という規制緩和に伴い急速に成長してきました。
 というのは以前の水道法では、こうした給排水設備工事は市町村ごとに部材や工法が決められていたほか、市町村が指定した設備工事業者しか施工できなかったからです。住宅では部材をあらかじめ住宅メーカーの工場で生産し、現場で組立てるプレファブが進んでいますが、その住宅の給排水設備はこうした水道法があるため、プレファブ化が進んでいなかったわけです。
 更に品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)において新築住宅の基本構造部分について住宅メーカー側に10年間の瑕疵担保責任が義務づけられました。こうした点からも、排水設備を設計図化、パーツを標準化にする必要が生じてきたわけです。
 尚、従来給排水設備の製品は部材メーカー→卸→管材小売店→設備工事会社(地元)→住宅メーカーという流れで中間業者が多く介在していました。しかも、水道法改正前の給排水設備は地場の工事業者がその新築の住宅に設備を設置する際、職人感覚で穴を開けて排水設備を作っていたそうです。そして、配管の長さもそこで調整したりするため、設備を設置するのに3〜4日かかったり、しかも、上述のとおり、製品の流通ルートが複雑なことからコスト高となっていました。

 一方、エプコが提案している方式では、部材メーカー→部材加工会社→設備工事会社→住宅メーカーといったルートとなり、卸や小売店が中間に存在していません。従いまして、その分コストを安くできるほか、プレファブ化されているため、設備工事会社は単に設計図通りに届いた配管工事セットを組立て、工事すれば完了してしまうため、1日でできてしまうそうです。
 従って、ユーザー側としてはコストと工期が短くなるメリットが生じ、部材メーカーにとっては流通の簡素化によるマージン率の改善や販売量の拡大といったメリットがあり、エプコに手数料(設計料)やロイヤリティーを支払ってでも利益を享受できる仕組みとなっているのです。

【ユーザーは誰? ライバルは誰? ライバルに対する優位性は?】

 ユーザーは一条工務店、住友林業、積水ハウス、旭化成、アイフルホーム、東栄住宅など主要な企業が揃っています。部材メーカーとしてはINAXやブリヂストン、積水化学などあります。
 ライバルとして、会社側では特になしとしていますが、ミサワホームなどが自社の住宅向けにこうしたサービスを提供しています。
 ただ、エプコの場合は既に複数の住宅メーカーからの受託で設計を34,000件/年ほどこなしており、データベース(ノウハウ)の構築やコスト(1件当りの平均単価は11,000円程度なので外注したほうが有利)などを考慮すれば高い競争力を持っていると判断できます。
 今後、同社では利益率を更に向上させる施策として設計を海外で行うといった構想を持っているようです。

【業績とバリエーション 〜いくらなら安いの??】

 公募価格は34万円 予想PERで12倍です。住設関連で予想PERが10倍強、しかも、今期経常利益伸び率が+6%程度とやや割安感がなさそうに見えます。
 しかしながら、2001年低層住宅の新設住宅着工戸数は65万戸程度。うち、大手住宅メーカー上位50社のシェアは42%程度の27万5000戸あり、同社が昨年度設計した戸数3万4000件を考えれば、成長余力はまだ大きいと思います。足元、住宅メーカーの施工期間短縮とコストダウン要請からして会社計画が保守的に見えますし、マーケットが成長しない中、規制緩和を追い風に成長できる企業として考えれば割安ではと思います。
 マーケットでは7/11日(木)公開予定のバルスに人気が集まるとされていますがこちらを買うよりもむしろ、エプコ(7/12)が穴場で面白いと思います。

<2002年1月期連結>
売上高 665百万円、経常利益227百万円、当期利益122百万円

<クイック予想2003年1月期連結予想>
売上高739百万円、経常利益239百万円、当期利益129百万円、EPS 28044.8円
(海パン)

 

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2002/07/08 株価低迷するこの株をチェック!!
炎のファンドマネージャー

 

 7月11日開催の店舗見学会を前に、株価低迷するこの株をチェック!!この日、私も今話題の長野まで行くことになりました。(炎)

●トップカルチャー(7640・東証2部)時価 595円

時価総額 27億円
今期予想連結EPS78円
同PER 7.6倍
配当利回り1.7%
ROE11.7%
事業内容
 書籍・CD・DVD・文具販売、ビデオ・CD・DVDレンタル
設立1986年
代表取締役 清水 秀雄(1954年生まれ)
本社 新潟
店舗 新潟県 22店舗 長野県 13店舗 蔦屋書店 32店舗 HIE’S 3店舗
従業員数 206店舗
連結対象子会社 トップブックス(中古書籍・中古CD等の販売)2店舗
発行済み株式数 468万4000株

【ビジネスコンセプト】
 創業時より大型複合店舗(約400坪)を展開。書籍、レンタル、CD、文房具などを組み合わせた業態でこれまでにない全く新しい業態作りを行ってきた。モノではなく時間と空間を提案。つまり映画、書籍、音楽、文具などをワンストップで揃えることが可能な「日常的エンターテインメント」を提案。更にこれらにリサイクルが加わり、戦略的アイテムミックスが可能となった。

【ビジネス戦略】
1.戦略的ミックスによる新鮮なエンターテインメントの提供と利益率向上
2.IT駆使の情報管理と販売促進
3.出店戦略:既出店エリアのドミナント化と、より大きな商圏(関東エリア)への進出
4.店舗戦略:出店コストを抑えて大きな収入を生む、より効率的な店舗の追求(標準店を400坪から350坪に変更し、リターンの改善を図る)
5.人材育成:日常業務を行いながらの人材を育成・成長させる

【業績】
<2002年10月期中間実績>
書籍・レンタル好調―――業績向上に寄与、戦略子会社トップブックスの黒字化 ロス対策費用や前倒し新店経費で販売・管理費比率は増加(25%→25.5%)したが、ロスが大幅に減少し、粗利率は向上(29.2%→29.7%)したことで営業利益率は横ばい。ロス対策費用は上期で完了。

連結 売上高 85億3300万円(+8.8%)、経常利益3億7000万円(+9.3%)、税引利益2億300万円(+26.3%)

通期見通し
連結 売上高 169億2000万円(+10.7%)、経常利益6億6000万円(+17.6%)、税引利益3億6100万円(+19.1%)

新店舗
上期 2店舗 下期3店舗

既存店動向
 上期の既存店(29店舗)売上高は97%(全店は109%)、書籍販売は103%と同業と比べても伸びており、堅調であったが、CD・DVDの販売については87%でCDの落ち込みが大きく、これをカバーできずに終わった。レンタルはDVDの普及で102%と伸びている。文具・雑貨販売、ゲームはそれぞれ94%、85%で不調。トータルでは97%となった。
 5月は書籍105%、CD・DVD販売118%、レンタル112%、文具・雑貨96%、ゲーム71%、トータル107%と堅調。
 下期計画は既存店102.3%と見ており、5月はこの計画を上回るペースである。
 通期では100%を計画。下期計画はやや堅めであることや、ツタヤリサイクルを11店舗でスタートしており、粗利率の向上が期待できる。

中期計画
 2002年10月期 38店舗 売上高169億円 → 2005年10月期 70店舗 (うちトップブックス 10店、関東エリアへ拡大)へ
 ITを駆使した情報管理と、効率的な業務オペレーションを図り、サービスの質の低下を防ぐ財務戦略

1.株主還元 長期安定的な利益成長:配当+株価成長で報いる/ROE、EPSを継続的に高めていく
2.資本構成 株主資本と負債のバランス:財務の安定性を維持
3.投資効率 新店への投資は営業キャッシュフローの範囲内が基本 在庫回転率向上、ROI目標値を厳しく設定し管理
4.その他 IR活動の推進 7月11日に店舗見学会を開催

【株価の動向・投資タイミング】
 5月の既存店売上の伸びは7%と大きくなっている点から、通期業績見通しの上方修正期待がある。今後も関東圏進出や、リサイクル事業への参入から安定した業績の伸びを期待できる。その割に株価は上場時の水準を大きく下回っている。2月20日をボトムにして3月29日の680円までの上昇はあったが、その後は再び低迷。ただ、6月17日の572円という安値から、ここに来て少し上向きつつあるが上値は重い状態である。
 東証2部で不人気なことがマイナスに働いている可能性があろうが、5月1日からは貸借銘柄にもなっており、100株単位でもあることから個人にも買い易い銘柄となっている。2000年12月の800円から2001年6月の1720円高値まで株価倍化したこともあり、現状は株価に大きな変動の兆しはないが、今期予想EPS78.4円からして中期的には1000円を目標に取り組むことが可能。但し、この業態一般に低PERなので着実に来期の利益成長が見込める段階が本格的な投資タイミングとしては望ましい。当面はPER10倍の780円がターゲットになるだろう。

*このコンテンツはアイリス・ジャパンの有料メルマガから転載しております。

 

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8
2002/07/08 株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【先週の株式相場】

 週の初めこそややもたついたが、NYダウが一時9000ドルを割れるなど海外株安にも関わらず、週後半にかけては堅調な動きを見せ、日経平均の先週末終値は前週末に比べ205円高となった。これで2週連続の陽線となり、6月26日の安値がひとまずの底との見方が出てきた。ただ、上値も依然として重く、11000円を抜けないまま週末を迎えた。
 セクター別には前週の地合を引き継ぎ、建設、食品、繊維、医薬品といった内需関連が堅調。ゴム、窯業、非鉄、その他製造、商社、小売、不動産、倉庫なども押しなべて堅調に推移した。
 更に銀行、証券中心に金融セクターも前週まではややもたついていただけに、先週は全体相場をリードする格好で上昇した。
 一方、海外株安や円高の進展を受けて電機株は伸び悩み。自動車、精密などもやや頭重い展開となった。

日経平均週末株価 10826円 前週末比△205円 (+1.9%)
TOPIX 1042ポイント 同△18ポイント(+1.8%)
日経店頭平均 1222ポイント 同△10ポイント(+0.8%)

【今週の株式相場展望】

 今週前半の日経平均は11000円前後へのチャレンジが予想されるが、10900円を超えたあたりに強力な節目を形成しており、このあたりでは戻り売り圧力も高まるだろう。そうした上値チャレンジ後は一旦調整場面も想定される。その際の下値目途は10300円。つまり今週の相場レンジは10650円を挟んだ上下350円。6月26日の安値10060円に対する2番底形成場面があることも念頭に入れておきたい。
 企業会計への懸念から、NY株式は相変わらず先行きが不透明でグローバル資金(特にヘッジファンドなど)は日本株に流れることも想定。
 この先の円高の行方を見守る展開が続くことから、電機・自動車などの輸出関連株については取り組み難いが、その分は内需株人気が続くことになろう。
 ただ週末において大日本土木が会社更生法の申請を発表するなど、有利子負債の大きな銘柄については再びリスクが感じられる地合となってくる可能性もあり、内需関連株物色にも多少影響を及ぼす公算もあろう。
 主力株は概ね戻りを試しにきているが、今週の更なる戻り場面では売り圧力が高まると想定される。相場には意外性もあるため、11000円を一時的には抜けてくることもあろうが、本格的な反騰相場のためには引値ベースでの11000円台乗せが求められる。いずれにせよ、今週から来週にかけては今年後半の相場を占う上でかなり重要な時期となりそうだ。主力株の戻りが一巡した後は再び個別株相場となる。
 トーメンデバイス以降、IPO銘柄の上場が途切れていたが、今週は11日にインテリア及び雑貨の販売を手掛けるバルス(2738)がJASDAQに上場。12日に上場してくるエブコ(2311)は官公庁関連で妙味はなさそうだが、バルスの方は成長性あることから久しぶりの上場でもあり、人気を集めよう。その他でも割安株への人気は継続しよう。

*以上の見通しは週末に作成されたものです。
 本日はNY株高を映してザラ場で日経平均は11000円台に乗りましたが 引けは10769円。ほぼ安値引けとなりました。(炎)

 

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7
2002/07/08 大原部長へ、
炎からのメールDEパフォーマンス報告
炎のファンドマネージャー

 

 1年前に大原部長にお願いしたエクセレントカンパニー選びで、選定された10銘柄の株価変動を1年たった今、改めてチェックしてみました。


【炎 → 大原部長のメール】

 かなりインデックスをアウトパフォームしましたが、ご感想はいかがでしょうか?
 こうしたエクセレントカンパニー選びからの結果が成果をもたらすことが、読者にとって理解して頂けるのなら結果とは言え、これまでの活動の一助となるでしょう。参考までに・・・。
 なお、マイナス成果となっているものの中にインデックスよりアンダーパフォ−ムしている企業があります。このあたりをどう捉えるかになりますが、ご意見をお聞かせ下さい。


【大原部長からの返事】

 ありがとうございました。
ちょっと荏原を入れたのはやりすぎたったと反省しております。荏原の経営はスロー。時間の概念がありません。この会社のある特定の分野だけに注目したのが本音であり、全体的にエクセレントとは到底思えずお恥ずかしい限りです。
TDKもサラリーマン経営者で物足りません。この会社を選んだのは間違いだったかもしれません。確かに特定の技術には強いかもしれませんが、経営の甘さを実感しています。
難しいですね。
いまならHOYA、日東電工あたりを入れます。


【エクセレントカンパニーチェック】

選定日:2001年7月11日 → 時価 2002年7月8日

インデックス
 日経平均  12005円 → 10769円(▲10.3%)
 TOPIX   1227 →  1033 (▲15.8%)

エクセレント10 6勝4敗 平均上昇率 +6.8%
 さすが大原部長!インデックスに勝利したぞ!!

1.太陽インキ製造(4626)
 ソルダーレジスト世界シェアトップ。PDPやOEL向けにペースト材料など、新規市場への取り組みが楽しみ
  株価 3900円 → 時価 4300円 +10.3%

2.KOA(6999)
 抵抗器トップ。M/Aで工場買収続く。子会社でEMSへの取り組みも。セラミック薄膜技術強化。デジタル機器での受動部品使用量増える
  株価 1322円 → 時価 983円 ▲25.6%

3.日本ファウンドリー(6939)
 半導体プロセス量産技術で台湾勢を追い抜いた。品質とコストを両立できるすごさ。
  株価 65万円 → 時価 33.0万円×4 +103.1%

4.エンプラス(6961)
 プラスチックだけでなく、ガラスレンズにも強み。光学系の量産製品を支える立役者。
  株価 2485円 →  時価 3690円 +48.5%

5.アイワ(6761)
 セットメーカの原点に立ち返る。映像と音響の技術融合は、知恵の勝負。ユニークな存在として、世界市場に君臨する。
  株価 531円 → 時価 304円 ▲42.7%

6.オリンパス(7733)
 世界の医療費高騰問題に決着をつける。内視鏡シェアトップ。
  株価 1990円 → 時価 1675円 ▲15.8%

7.村田(6981)
 回路設計、ノイズ処理技術など、新しいビジネスモデル構築が可能。高周波設計サポートビジネスが立ち上がる。
  株価 7590円 → 時価 7670円 +1.1%

8.TDK(6762)
 村田と同様、高周波設計サポートに強み
  株価 5350円 → 時価 5760円 +7.7%

9.東京エレクトロン(8035)
 Low k塗布プロセスが新規に立ち上がる
  株価 6700円 → 時価 7540円 +12.5%

10.荏原製作所(6361)
 半導体ウエット工程を統一 Cu配線CMPに期待
  株価 964円 → 時価 661円 ▲31.4%


 過去1年を見る限り、勝者は日本ファウンドリーとエンプラスであった。ここから1年間においてこれらのエクセレントカンパニーの中で勝利する企業は果してどこになるでしょうか?

 私はズバリ!!KOAだと考えております。その理由をお知りになりたい方は、近く配信予定の私の有料メールをご覧下さい。7月中旬あたりまでには特別レポートとしてお届けしたいと思っております。(炎)

 

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6
2002/07/08 この時期なぜこれほど上がるのか!?
炎のファンドマネージャー

 

 =安治川鉄工(5926・大2部)の謎に迫る!!=

 1ヶ月前にわずか60円台の株価だった安治川鉄工(5926・大2)は、本日180円という高値で終えた。取り敢えずはこの株の存在を私に教えてくれた明光ナショナル証券のKアナリストにはこの場を借りて大いに感謝したい。
 それにしても短期で3倍化を果したことは凄い。しかも大商いとなっての上昇であり、この時期大変な資産を作った方もお見えだろう。
 私は私の有料メルマガにて、この銘柄について以下の内容で紹介した。更に取材を敢行してより詳しいレポートを書いておいた。その際の評価ポイントは以下の通りであった。
 なお、時価総額は本日ようやく22億円となったが、今後の投資判断は皆さんの手に委ねられていますので宜しくお願いします。


【評価ポイント】

1.連結対象子会社である株式会社エー・ジーで手掛ける車輪付きスニーカー(ヒーリーズ)の販売が急速に伸びている。
2.この結果、連結EPSは今期20円以上に拡大が見込まれること。
3.ヒーリーズはまだこれから全国的に販売される予定となっている。
4.大人用から、近くヒーリーズブランドではない小学生低学年用が発売される予定であること。
5.リストラ効果で単体も業績の回復が見込まれる。
6.株式会社エー・ジーは将来公開の可能性がある。
7.まだ、こうした点を株価が織り込んでいないと考えられる。

【リスク】

1.有利子負債が140億円と多い。
2.無配株
3.短期に上昇した後の反動安
4.ヒーリーズが一過性のものに終わる
5.ヒーリーズによる事故の恐れ


皆が気がついていない意外な企業再生銘柄 (6月20日付け有料メルマガより)

●安治川鉄工建設(5926・時価66円・大2部)

 全体相場が調整を余儀なくされる中で、たまには意外性のある銘柄をチェックしてみるのも面白いだろうと、アナリストなどからも様々にヒアリングをかけてみたところ、本当に意外にも上記銘柄が浮上してきた。
 同社は大阪に本社を置く送電鉄塔の大手。電力設備投資が先細りとなる中で、本体はリストラを推進。早期退職制採用で人員を300名に削減するなど努力を重ねている。

 事業そのものはさほど魅力のないものなのだが、同社の子会社には(株)エー・ジーというホビーの会社があることは意外と注目されていない。
 この会社只者ではない。ヒーリーズというスニーカーを販売している。単なるスニーカーではない。このスニーカーにはかかとに小さな車輪がついていて普段はスニーカーなのだが、車輪を出して滑ることもできる。米国ではブーム状態となって、これを同社が総代理店となって販売することになったというのだ。
 同社ではこのヒーリーズを昨年4月から販売しはじめたとのこと。当初はあまり売れていなかったが、ここにきてそれがジャニーズ系がはいていたとか、ディズニーのミッキーがはいていたとかで売れ始め、4月、5月と1.3万足、1.4万足売れているとの話である。特に神奈川での人気は凄いらしい。

 (株)エー・ジーでは通期で14万足の販売を見込む。これによって同社の売上高は20数億円、経常利益2億5000万円を見込む。
 単体を含めた連結決算では売上高143億円、経常利益6.5億円、税引利益2.5億円となる見通し。
 販売しているムラサキスポーツなどに行くと判るが、入ってすぐのところに置いてある。機会があれば皆さんも一度ご覧になって下さい。一足平均で約14000円。使い方のビデオも販売している。エージーという会社は実は以前にもゲイラカイトの大ブームを演出したこともある。
 今回のヒーリーズブームが全国に飛び火すれば、親会社の安治川鉄工(5926)にとっても更なるリストラ推進が可能となって、企業体質が強固なものとなるとの期待がある。

 今期の連結EPS20.7円、新四季報では来期の連結EPSを41.4円としている。果たしてここまでいくのかは不確実であるが、仮に今期予想ベースでもPER3.2倍。有利子負債は確かに大きいが、株価66円(時価総額8億円)は見直しの対象になるのではないだろうか。
 7月から同社は社名を安治川鉄工建設から安治川鉄工とするが、いっそのこと株式会社エー・ジーにしたら良さそうだ。リストラによる企業再生が果せるか注目しておきたい。

 株価は昨年12月14日の32円から時折急騰を演じながらも、すぐに下落を見せるなど基本的にはジリ高パターン。1月28日に100円の高値をつけたのち、4月25日にも87円の高値をつけた。現状は66円。
 32円の時の時価総額はわずか4億円だったことになる。(炎)

 

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2002/07/05 帝人(3401)のパテント
両津勘吉

 

 最近は自動車企業ばかり掲載していたが、テクノロジーリサーチの観点からは面白くないセクター。調べてみてやりがいのあるのはエレキ、素材企業。しかし億近執筆陣にとって素材は超素人。数ヶ月前から某ケミカルカンパニーのエンジニアであった2名の方のアドバイスを受けて、今回は帝人についてコメントを書いてみる。

 株価は400円前半でヒストリカルに見ると買いたくなる水準だが、ここ数ヶ月の動きを見ると変化が出てきているようだ。2月に説明会が開催された時、前の期に170億円ほどの営業利益を叩出していた化成品事業が、30億円程度の赤字転落との説明があり、アナリストの間では同事業に対して否定的な見方が広がった。会社側ではリストラによるコストメリットが期待できるとしているが、収益は戻ってくるのであろうか?

 前期の化成品事業の営業赤字は約30億円、その内訳はプラスチック40億円の黒字に対して、フィルムが約70億円の赤字。今期はフィルムの赤字が15億円の赤字に縮小し、プラスチックは50億円の黒字、差し引き35億円の黒字としている。
 フィルムはデュポンと組んでおり、コンデンサーメーカーなどの高機能と、単価の低い一般とに分かれている。単価の低いものは回復しているが、高機能向けは若干の回復に止まっている様子。この事業はもともとデュポンが買収した子会社に出資し、合弁化した企業で、日・米は当社、欧州、アジアはデュポンが主導権を握っている。ライバルは三菱化学や東レだが、皆96年頃に売りに出された事業を日本企業が買った訳だ。どうもこのフィルム事業は構造的な問題を抱えているような気がするのだが・・・。本当のところはババを掴んだような気がしてたまらない。
 成熟と判断し、海外企業は主導権を日本メーカーに握らせるべく過半数の出資をさせ、自らはリスクが少なく、より確実に儲かる原料供給に回った可能性を考える。日系企業は国際戦略という言葉に酔い痴れていたのか?

 次にポリカーボネット樹脂(プラスチック)だが、今年度の市況がどうなるかだ。会社では市況は弱含みとしているものの、数量拡大を見込んでいる。しかしながらこの分野では、トップのGEプラスチックやバイエル、ダウケミカルなどの攻勢などから、原料上昇時の価格転嫁が可能かどうか気になるところ。シェアは1割程度だが、売上の約半分はディスクが占めており、高機能分野では強い。DVD向けでは7割とトップシェアを確保しており、CDでは音楽分野中心にシェアを落としている様子。ローエンドで勝ち目のない帝人が、ハイエンドから落ち込んだら一体どうなるのか?

 会社の想定利益は、若干ながらショートする可能性があると読む。化成品事業はリストラによる利益回復はあろうが、成長という面では素直に評価出来ない。繊維事業は買収した蘭企業の連結効果で、前期70億円もの大幅増益となった。しかし同社の主事業アラミド繊維は光ファイバー用途が多く、利益増額となってもあまり強気になれないなあ。

 医薬事業は、オイシかった在宅酸素事業が診療報酬16%カットのパンチを喰らい、大幅減益。会社側では骨粗鬆症治療薬ボナロンの下期増収に期待しているが、あまりにも酸素事業のマイナスが大きい。

 もし会社側の想定通りの利益が出たとしても、EPSは7.5円。ここには特別損失が含まれているが、特損を除いたとしてもEPSは12〜13円程度で、株価400円として来期2割増益となったとしても割安とはいえない。株価低迷を脱するには、短期的に500億円程度までの水準が見えてくるか、それとも画期的な有望製品がないと株価の上昇トレンドが描き難い。

 では帝人株は当分、低迷するのだろうか?
 この答えを出すには少しばかり調査が必要だ。
 億近産業調査部は時間をかけてこの迷路を解いてみたい。

ポイント:新事業なる名称の事業に新製品あり。


【公開日】平成13年2月16日(2001.2.16)
【発明の名称】位相差板及びそれを用いた液晶表示装置
【出願人】帝人株式会社
【発明者】内山 昭彦
【発明者】串田 尚
【課題】 本発明の目的は、単独に液晶表示装置の液晶セルが持つ光学特性を 補償し、画質を向上できる位相差板を提供することにある。
【解決手段】 ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなる1枚の高 分子ブレンドフィルムからなる位相差板であって、波長400〜700nmにおいて、位相差値が正になる波長帯域と負になる波長帯域とを有している ことを特徴とする位相差板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなる1枚の高 分子ブレンドフィルムからなる位相差板であって、波長400〜700nmにおいて、位相差値が正になる波長帯域と負になる波長帯域とを有している ことを特徴とする位相差板。
【請求項2】 波長400nmでは正の位相差値をとり、700nmでは負の位相差値をとる請求項1記載の位相差板。
【請求項3】 高分子ブレンドフィルムのブレンド比率は、ポリスチレンが全体の61〜75重量%、かつポリフェニレンオキサイドが全体の39〜25 重量%である請求項1または2記載の位相差板。
【請求項4】 波長400〜700nmにおいて位相差値が正であるかまたは負である位相差板が積層された請求項1〜3のいずれかに記載の位相差板。
【請求項5】 測定波長400〜700nmにおいて位相差値が正または負である位相差板がポリカーボネートフィルムからなる請求項4記載の積層位相差板。
【請求項6】 波長550nmにおける位相差値が1/4波長であることを特徴とする請求項4または5記載の位相差板。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の位相差板と偏光板とを積層させてなる位相差板一体型偏光板。
【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の位相差板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】 請求項7記載の位相差板一体型偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】【発明の属する技術分野】本発明は新規な位相差板に関する。特に詳しくは、液晶表示装置や防眩フィルム等の光学素子において有用な、新規な光学特性 を有する位相差板、及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
【0002】【従来の技術】位相差板は液晶表示装置のSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式等に用いられ、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられている。一般に、色補償用の位相差板の材料としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン等が用いられ、視野角拡大用の位相差板材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、デイスコチック液晶等が用いられている。
【0003】位相差板の一種である四分の一波長板は、円偏光を直線偏光に、直線偏光を円偏光に変換することが出来る。これは、液晶表示装置特に観測者側から見て裏面側の電極を反射電極とした偏光板一枚型の反射型液晶表示装置や、偏光板と四分の一波長板とを組み合わせたことからなる反射防止フィルム、また、コレステリック液晶等からなる右または左回りのどちらか一方の円偏光のみを反射する反射型偏光板等と組み合わされてに用いられるよ うになっている。
【0004】上記した偏光板一枚型の反射型液晶表示装置や反射型偏光板において用いられる位相差板は、可視光領域である測定波長400〜700nm好ましくは400〜780nmにおいて直線偏光を円偏光に、円偏光を直線偏光に変換する作用を有する必要がある。これを位相差板一枚で実現しようとすると、測定波長λ=400〜700nm好ましくは400〜780nmにおいて位相差がλ/4(nm)となることがその位相差板の理想である。
【0005】理想的な四分の一波長板のように測定波長が短いほど位相差が小さくなるフィルムを得るために、特開平10−68816号公報には四分の一波長板と二分の一波長板を適当な角度で貼り合わて用いるといった技術が開示されている。この方法によれば、このフィルムに直線偏光を適当な角度で入射した場合に、ほぼ可視光領域の波長範囲で良好な円偏光が得られるとされている。
【0006】また、特許第2609139号公報には透明な延伸プラスチックフィルムからなる複屈折性フィルムの2種または3種以上を、複屈折による位相差の波長依存性が異なる組み合わせで積層してなり、かつ2種の複屈折性フィルムの積層体からなる場合には、配向複屈折の正負が異なるものの組み合わせでそれらの面内屈折率の最大方向が非直交関係にあること、または 配向複屈折の正負が同じものの組み合わせからなることを特徴とする積層位相差板が開示されている。
【0007】【発明が解決しようとする課題】特開平10−68816号公報の方法では四分の一波長板と二分の一波長板の貼り合せ角度を、それぞれフィルムの面内 方向の遅相軸を直交または平行では無い角度に貼り合せる必要がある。一般に、位相差板は延伸工程によってロールツウロールで作られるため、延伸方法やフィルム材料の屈折率異方性に依存するが、フィルムの面内方向の遅相軸は、フィルム流れ方向に対して平行または直交に存在している。従って、フィルムの面内方向の遅相軸を直交または平行では無い角度に貼り合せるということは、この貼り合せ工程を、例えば液晶表示装置に使用する場合には、目的のサイズに切断した後、貼り合せることとなり、切断歩留まりの低下やロールツウロール等の連続的に二枚のフィルムを貼り合せるといったことが実質的に不可能であるため、生産性の点で好ましくない。
【0008】さらに、特許第2609139号公報の方法でも位相差制御はある程度可能であるが、正または負のフィルムを複数枚用いる必要がある。
【0009】本発明の目的は、単独に液晶表示装置の液晶セルが持つ光学特性を補償し、画質を向上できる位相差板を提供することにある。
【0010】【課題を解決するための手段】従来、測定波長400〜700nmにおいて、位相差値が正になる帯域と負になる帯域を有していることを特徴とする位相差板はその存在が知られていなかったが、本発明者らはそのような位相差板を与える材料を鋭意検討したところ、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとをブレンドしてなるブレンドフィルムが有効であることを見出し本発明を完成するに至った。そしてかかるフィルムからなる位相差板は、他の位相差板と積層して用いることにより、他の位相差板の位相差波長分散を制御することもでき、その結果、液晶表示装置等の画質向上に寄与することが出 来ることが判った。
【0011】すなわち本発明は、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなる1枚の高分子ブレンドフィルムからなる位相差板であって、波長400〜700nmにおいて、位相差値が正になる波長帯域と負になる波長帯域とを有していることを特徴とする位相差板によって達成される。
【0012】本発明によれば、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとからなり、1枚で、測定波長400〜700nmにおいて、位相差値が正になる帯域と負になる帯域を有していることを特徴とする位相差板を、例えば、液晶表示装置に用いることにより画質を向上させることが可能である。特に該フィルムを測定波長400〜700nm、好ましくは400〜780nmにおいて位相差値が正または負である他の位相差板と積層させて使うことにより、該他の位相差板の位相差波長分散を制御することができ、その結果、液晶表示装置等の画質向上に寄与することが出来る。


 JSRのアートンが競合となろうが、一つ気になる製品がある。
 原油⇒ナフサ⇒芳香族系⇒ジシクロペンタジエンから製造される樹脂だ。ナフサから排出可能なC(炭素)にはいくつかの種類があるが、C4など偶数系のものは比較的製造が楽。対して奇数系は製造が難しいのが特徴。しかしながら奇数から生み出される樹脂に特徴的なものがあるようだ。

 日本ゼオンのシクロオレフィンポリマーだ。おまけにゼオンは通常の樹脂加工メーカーが行うキャスト法を行わない。キャスト法とは溶剤に溶かした後、溶媒を取り出す方法である。この場合、溶剤はアセトンなどの有機溶剤に溶かすわけだが、ご存知の通り有機溶剤はシンナーと同様、吸っているとラリってしまうシロモノで、産業廃棄物処理となりコストもかかる。

 しかしながらゼオンは溶融押し出し法だ。この製法は何も新しいものでなく古くから知られているのだが、誰もこの製法を満足に行うことが出来なかったようだ。何が難しいかというと樹脂を均一に溶かすのが難しい上、溶かす際に酸素が混入していると燃焼してしまうため、燃焼しない程度の温度で溶融をしなければならない。また樹脂なので粘性が高く押し出しが非常に難しいとの技術的な壁をクリアーしなければならない。ゼオンの作り出したフィルムは0.01%の低吸収性に加え、低屈折率な特徴。おまけにゼオノア(製品名)では163度の耐熱性と半端じゃない性能。

 誰が勝者になるか目が離せない。

来週に続く(両津)

 

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2002/07/05 円高と購買力
生涯遊人

 

 夏休みがもうすぐやってくる。
 たぶん世の中のおとーさん達はご家族の方にせがまれて、夏休みにどこに行こうかと悩まれているのではないだろうか。

 7月の25日を過ぎると(子供たちの夏休みの開始とともに)、航空運賃も値上がりし、旅行のパックの料金もとっても高くなってしまう。8月のお盆の季節ともなると、目の玉が飛び出るほど高くなってしまう。
 私はいつも疑問に思っているのですが、あの旅行代金の値付けというのは市場原理とはいえ、かなり無理があるのではないかと。トップシーズンとオフシーズンだと2−3倍料金のちがいがでてくる。
 これには、日本人が休みがとれないとか、子供の休みに合わせるとかの要因があるのだろうけど、業界としても機会損失になってしまうのではないだろうか。

 たとえば沖縄のツアーをみると、親子3人のツアーで高いものだと50万円、安いもので20〜25万円といったところだろうか。やはり国内旅行は海外旅行と比べるとまだまだ割高感がある。
 これはまだ円高の恩恵をうけているということだろう。

 日本の物価を海外と比較すると、一番競争力のある製造業の工業製品は安く、サービス、不動産、インフラがらみの製品が高くなっている。競争力のない産業の価格が高止まりしているわけだ。
 これだけ世界的に工業製品の供給があるなかで、デフレになるのは、世界的な構造変化が起こっているためであって、決して日本だけの特殊事情ではないと思う。
 中国の工業製品の供給力を考えると、むこう3−5年は、すくなくとも工業製品に関しては、大幅な価格の上昇はおこらないのではないだろうか。戦争による石油価格の急上昇などの特殊要因がなければ。

 このように、日本人は高い競争力のある工業製品が安く買えるというメリット、さらにデフレによって通貨の価値が上がっているために、強い円を海外で使えるまたは、海外のよい製品を強い通貨で安く買えるというメリットがある。
 名目的な為替レートが130〜135円と円安方向に向かっていたときでも、国内ではデフレが進行し、通貨である円の価値は上がっていたため、国内で円で生活する日本人にとっては円高と同じことだったのではないだろうか。(生涯)

 

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2002/07/02 連載 負けない投資 その4
大原部長

 

 【世界観を培い、長い人生を大きな夢と気概を持って着実に歩こう  ⇒夢を数字に!】
〜「感」から「観」へ。揺るがない世界観で世の中を見ること〜

⇒世界は常識で動いている。いや、地球は常識で回っている。地球上の物理法則の世界がニュートン則ならば、世の中の法則は、強者が持つ常識である。

 金持ちが、貧乏人のことを考えて、慈善事業でおカネを使い果たすということはない。
 ならば、実現不可能な世界をユートピアとして崇めて目指すのは効率が悪い。世の中を改善したいなら、「よい」強者の力を借りるのが効率がいい。

 金持ちは、設備を買い、事業を起こすことができる。なにが生産性が高い事業かを本質的に理解する。その事業の将来の見通しが保てるから、リスクを背負って人を雇うのである。そして、よい事業ならば、人を雇うコストは、その事業からの見返り(売上)と比べると20%程度かそれ以下が基本になる。それ以上なら、儲からない。
 実は、金持ちは、社会全体的に見れば、事業立ち上げに必要な初期費用や事業のランニングコストすら負担しない。
 1億人が暮らす社会では、4000万世帯が存在し、平均的には、月額で1世帯30万円ほどあれば、なんとか生活はやっていける。そういう社会全体のランニングコストは、月額で12兆円である。社会の構成員全員に12兆円払い、それはまるまる生活費として、きっちり12兆円使ってもらう。
 つまり、貧乏人に渡したおカネはその月の内に回収できるからだ。貧乏人には、全額を消費してもらわなければならないだろう。いや、好ましいのは、貧乏なのに、さらに借金をしてもらい、無理に消費してもらうことだ。そうすれば、貧乏は貧乏のままでいる。それが金持ちがますます金持ちになるカラクリである。

 逆に、賢い貧乏人が倹約をして、貯蓄を50年間続ければ、おカネの面で賢い貧乏人は将来の強敵になりうる。その賢い貧乏人は、小さな事業を始めることができる。その事業を成功に導くことも可能であり、そうなると貧乏人が将来は現状の金持ちのライバルということになる。だが、実際は、なかなかそうはならない。なぜなら、私たち貧乏人は、金持ちがかけた呪縛に囚われて、消費するように呪われているからだ。その呪縛を解くのが、まずは、投資を始める際のイロハだ。

 生活習「慣」を律し、「感」性を磨き、常識を使い、世界を「観」るのである。この3つのKANを環で結べるか否かが投資で成功できるかどうかの境目である。3つのKANの環の中で生きることである。そして、やりたいことを成功に導く。投資は戦いであり、負けても許される投資などない。3つのKANをそろえて、「負けない投資」をするための準備運動がようやく整ったに過ぎない。

⇒習慣(継続)と感性(常識)と世界観(人生の目的)の3つの環

 今までの簡単な復習だ。
 資本家から見た場合、日本津々浦々4000万世帯をまるまる雇うにはたった12兆円で事足りる。その12兆円はコストであるが、その月内にそのコストは回収できる。貧乏人はすべてを消費に回し、生活費ぎりぎりの生活を続けるにすぎない。資本家は、12兆円を毎月後払い。労働者は、12兆円をまず生活費として月内に資本家に払って、製品やサービスを消費せざるを得ない。毎月、毎年、死ぬまでそうである。金持ちが失うものは、マクロ的にはない。金持ちは、その12兆円の労働力を使って、海外に製品を輸出することができる。原価数円のシリコン原子が、ウエハーに変わり、半導体に変わり、原価数円のシリコン原子がガラスになり、原価数円の油が樹脂になり、プリント基板になり、デジタルカメラやDVDに様変わりする。DVD1億台、デジタルカメラを1億台、それぞれ輸出すると、投資家は、他国の社会の構成員からおカネを得ることができる。将来、例えば、DVD1億台、デジタルカメラ1億台を生産するには、数十万人の雇用者で十分だ。4000万世帯の1%程度がよい事業に従事するだけで、そこそこのリターンが得られる構図になる。

 そうして、この人類誕生以来、とくに産業革命後、加速度的に蓄積された資本は、局地戦では、失われることもあるが、大局的には、徐々に増えていく。

 おカネは増殖する。資本の蓄積は、生産性を大幅に向上させるイノベーティブな機械を人類に与えた。資本があれば、生産性が大幅に向上する。

 そしておカネがおカネを稼ぐ。

 さらに金持ちが稼ぐために、従業員を雇い入れる。そのマージンが、人口の増加余地である。

 悲しいことに、いまもどんどん地球の環境が破壊されていく。しかし、どんな環境になろうが、生への執着が本能的に勝り、その世界の構成員の命を月々ぎりぎりの生活費で補わせることができる。貧乏人は、2人子どもがいようと、3人いようと、10人子どもがいようと、月々に支払う基本的なギリギリの給料の中で、給料を全額消費してくれるだけでなく、さらに将来の貴重な労働力である子どもを育ててくれる。資本家は、従業員に感謝しても感謝しきれない。貧乏人が人口を増やし、ギリギリの生活費で子どもを育ててくれる。一方、結婚しない連中は、どんどん消費してくれる。なにもかもが資本の蓄積を後押しするように出来ている。環境までも犠牲にしながら。地球も我々貧乏人も借金まみれというわけだ。

 おカネは本質的に増える。そから利子が払われる。利子の本質は、事業利益率の1−3割と考えればよい。生産性の低い国では、事業利益額が低水準になってしまう。低所得の国では、飢餓が起こるようになっている。自然淘汰が起こる。技術と資本の蓄積がない国では、病気になっても治療もできない。

 おカネは自然に増えていく。だから、おカネに働いてもらうのが一番いい。

⇒金持ちにおカネは集中する宿命になっている
⇒貧乏から脱出できないのは消費するように呪われているからだ
⇒投資の出発点は、消費の呪縛から脱することだ

【投資の世界も弱肉強食】

 世界は、弱肉強食が基本になっている。弱いものは、ギリギリの生活費で生活する。そうなると、弱いもののための真理を求め、弱者の哲学を選び取る。強者は、強者の哲学を選び取る。それが平等と自由と、微妙なバランスを醸しだす。しかし、弱者は自国の強者に勝ってもらわないと、経済的にますますジリ貧になる。だから、過激な弱者というものは、抹殺されてきた。弱者はキリスト的な博愛主義者にならざるを得ない。

 環境と経済成長の問題も間違えてはならない。環境に負荷をかけてはいけない。そういう経済成長がありえない。そう主張するものがいる。それは間違っている。資本は獰猛であり、利益が得られなくなるで地球を酷使するだろう。たとえば、人口が100倍になっても、食料の生産性は100倍にできるだろう。そして、100階建てのマンションができるようになるだろう。あるいは、人口が1000倍になっても、なんとか、人間はそう生きていける社会を作り出せる。そういう性がある。それが世界観である。

 そうでなければ、朝の満員電車など、監獄と変わらない。100年後、高層ビルの上階に住む人たちが、午前8時ごろのエレベーターが極端に込み合っていて、地上に降りるのさえ、数十分かかる、そういう時代が来るかもしれない。しかし、変わらないのは、貧乏人は、そういう滅茶苦茶な苦痛を当たり前のことと思って受け入れてしまう、ということである。生活がギリギリ。それは、地獄の通勤電車も乗らなければならない。ギリギリの生活だから、嫌な仕事もしなければならない、そういう有無を言わさぬ仕組みが古来、ずっと続いているのはどうしてなのか。

 どうして労働者は団結して権利を守りきれないのか。 世界的な賃金の水準が違う以上、世界的な連帯を目指すのはなかなか困難だろう。
 ある国が勝ち、ある国が敗れる国際社会では、負けた国が勝った国に金銭をチャラにすることを要求できない。
 富む国では貧者であっても、彼は、貧しい国の一般的な国民よりは、ずっと金持ちだ。

⇒歴史的に強くなった通貨円があるなら、海外の物件にも目を光らせる事業センスが必ず生きてくるだろう。

【まず 支出を押さえるか、副業で収入を増やすかして、投資できる体勢を整えよう】

 奴隷のような連鎖を断ち切るのは、利口で賢く、まじめでやる気にあふれた人間であり、今の惨状を乗り越えていける生命力と使命感がなければ、この連鎖は断ち切れない。

⇒事業センスのある賢いものほど本来は借金をすべきだ しかし、現実は、サラ金のところでも触れたが、消費しまくりの愚かな人々が借金をしている。
⇒バカが借金をして、利口が借金をしない。これは国としては悲劇だ。

【まとめ】
⇒物事の本質は、人口と資本で説明できる。資本獲得のチャンスは、強い国で生活することである。
 北朝鮮の人々が命をかけて亡命するのも、中国人が米国へ移民するのも、それは米国には這い上がるチャンスがあるからという理由だけではない。
 米国は世界のどの国よりも強い、そう思わせる何かがある、だから、ニューヨークは、人口流入が止まらない。流入がとまらないから、経済は成長していく。中国の一番豊かな層が移民としてジェット機にのってやってくる国、それが米国だ。
 移民を受け入れている米国の成長率が移民を受け入れない日本を下回ることはありえないだろう。人口の増加率をよほど補う技術革新がなければだめだ。

⇒常識を身につける。株式投資の本質は、世の中の理解にある

 海でただで取れるはずの魚の値段がなぜあるのか、どうして給料は生活費ギリギリなのか、そういう基本的な世界がわからないと、株式投資どころではない。
 一生、負け組の中の、負け組思想をまとうだけであろう。トレーディングで今日は勝った、明日はわからない、そういう不安定な生き方になる。よい資本家は絶対に負けないように最大限の努力をする人間を雇う。

 人類の歴史は、資本の蓄積の歴史であり、そのことからも、資本家が勝利し続けているということがわかろう。

⇒ゲームの理論は、金持ちの団結の理論
⇒資本主義は勝者の理論だ
⇒われわれにできることは、消費の呪縛から逃れ、生活を律し、支出をコントロールし、十分利口になり賢くなり、夢のための借金をガバッとすることである
⇒その夢を実現するために、もっとも生産性の高い資産とはなにかをよく理解してから最適な資産を購入することである。リスクを楽しむ余裕だ。

 夢と金銭とが有機的に結びつくときに、本当の株式投資の成功の話が始まる。今後50年間、とにかく、夢を持ちつづけること。
 夢を持ち、賢明に努力する。どうしてもやりたいことがあり、そのためには寝る間も惜しむ。そういう人間が消費の呪縛を解くことができる。

 語学を勉強するために、いい先生や教材やパソコンがあったらいいのになあ、そう思う人間は語学で大成しない。
 仲間がいれば、やれるんだけど…そういう人間にはチャンスは訪れない。
 運動がしたいけど、ジム入らないとエクササイズが出来ないという人間は、健康は管理できない。

 あれがあったら、これがないから、そういう言い訳をその場その場でずっと一生言いつづける人間のなんと多いことか。
 強烈な意思を持ち、黙々とやるべきことをやる、それが投資家が投資家でいられるための条件だ。
 そして、そういう人間こそが投資を通して自分の夢の階段を駆け上ることができるのである。

 どんな世界も違わない。プロ野球も、サッカーも、囲碁も将棋も。ビジネスも。そして投資もまったく一緒なのだ。

 精神論はここまでだ。 「負けない投資」の技術論が、これからようやく始まる。

−−−つづく−−−(大原)

 

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2002/07/01 今週の株式相場展望
炎のファンドマネージャー

 

 【今週の株式相場展望】

日経平均は1万割れ寸前でようやくひとまず反転の動きを示したことから、今週についても一旦は戻りを試す場面があると思われるが、エンロンに続いてワールドコムの巨額粉飾決算など米国における企業会計への不信感払拭には時間がかかりそうだ。このため、NY株式は相変わらず不安定な状況となるものと予想され、日本の株式市場においても主力銘柄に対しては戻り売り圧力が強く、上値は限定的となるだろう。
 短期リバウンド狙いの買い一巡後の相場展開は、模様眺めの動きにならざるを得ないと考えられ、今週の相場レンジは10600円を挟んだ上下400円程度を想定。今年もはや後半戦に突入するが、週前半に一旦の戻り場面があるとしてもせいぜい11000円まで。下値も今回のボトムとなった10000円どころが意識されることになろうが、先週の動きを勘案すれば突込み場面があるとするなら10200円程度でしっかり買いが入ってくると考えられる。ただ、これもNY株次第。テロ問題の再燃など不安定要因も見え隠れする状況下では運用スタンスは慎重にならざるを得ない。

 リバウンド買いの主役は京セラ(6971)やソニー(6758)、東京エレ(8035)、村田(6981)などの値嵩ハイテク株。これらの銘柄は先週それぞれ直近ボトムから10%程度の値上がりを演じたが、これらがどのあたりまで戻るのか注目される。今週は3000円割れでほぼ底をつけたと見られるトヨタ(7203)や800円割れを演じた日産自(7201)のリバウンド相場にも期待。為替相場の動向も気になるところであるが、全体相場の反転の原動力になるこれら主力銘柄の動向が、機関投資家にとっては最も関心の高いところとなろう。
 個別に堅調な動きを見せていた非鉄や化学、造船などのセクターでは、先週末にかけて反転を見せた三菱マテリアル(5711)、住友化学(4005)、三井造船(7003)などの動きに注目が寄せられる。

【炎のファンドマネジャーよりひとこと】

 ワールドカップサッカーの決勝戦も終わり、今週は2002年の後半相場がスタートする。山あり谷ありの相場展開で投資家にとっては相変わらず先行きが見え難い状況が続くが、ここは冷静な態度で環境の好転を待つことだ。
 余り周囲の言葉に振り回されることなく、相場の展開を冷静に眺めながら銘柄分散、時間分散に努めてリスクを限定し、着実に投資成果を上げて頂きたい。
 個別銘柄の選定次第では、いつの時代も高い成果が上げられる可能性があることは、弊社の有料レポートなどをお読み頂いても判るだろう。また、相場の下落局面こそ投資のチャンスと考える方が、結果としては高いリターンを上げて頂いているに違いない。日本の株式市場を支える勇気と情熱のある皆様の投資行動にこそ、リターンがあると私は信じて止みません。

 先週お知らせした通り全体相場の動向とは異なり、高いリターンを求めてコツコツとリスク分散しながら成果を高められることを願っております。

【JASDAQ市場展望】

 主力銘柄を中心とした全体相場は、米国株式市場の低迷や政策対応への不信から、5月27日の高値をピークに調整色を強めるとともに、堅調だったJASDAQ市場も日経店頭平均で見ると6月6日の高値1270ポイントを頭に調整局面入り。6月27日のボトム1198ポイントまで5.7%の下落を見せた。
 日経平均が高値から直近安値まで16.7%、TOPIXが同じく14.1%下落したのに比べれば小さい。それだけJASDAQ銘柄への人気が高いことの証でもある。
 今回の調整が仮に6月6日から6月27日までで完了したとすれば、前回の1月10日から2月20日までの期間よりも短く、調整率(前回は9%であった)も小さいことになる。丁度昨年11月の高値1197ポイント、今年1月の高値1195ポイントの水準で下げ止まった格好であるが、仮に前回並みの調整ならば1155ポイント程度まではありうることになる。
 ただ、全体相場がもたつく中でJASDAQ銘柄は比較的個別の業績動向によって動くことが多いことや、持合解消売りなどの需給不安がないこと、自社株買いによって下値が堅くなっている銘柄が多いこと、今後の成長性が高いと目される銘柄が多いこと、PER10倍以下の銘柄や高配当利回り銘柄が多いことから、下値が堅くなっていることも事実。ただ、中には業績の下方修正も想定される銘柄もあるので、慎重に銘柄選定をすべきタイミングには来ている。

 最近のIPO銘柄もJASDAQへの上場が多く、需給の良さから値動きが荒く、大きなリスクとリターンが同居しているが、少なくとも株式市場にとって重要かつ不可欠なダイナミックさは残っている。
 JASDAQ市場が今後も注目されるとすれば、流動性の確保が1部市場と同様に確保されるかという点である。この点では47のJ−Stock銘柄がその役割を果たしている。

 この中には日清医療食品など、いつ1部に昇格してもおかしくない(実際は親会社がディスクローズしていないため東証への上場はできない。)安定成長銘柄も存在する。JASDAQ銘柄に対しては流動性の無さから敬遠される向きも多いだろうが、今後の成長性、事業の発展性を吟味することによって中期的な株価の行方も多少は見出せる筈だ。
 事業主体の株主を思う意識やIRへの対応、地道な業績向上努力など投資家が見抜くいくつかのヒントで、今年後半のJASDAQ株式相場でも高い成果を上げていきたいと願っている。なお、今週はIPO銘柄がなく寂しいが、今年上場の大型銘柄の一つであるイオンモールが上場を発表。決して内容的にすばらしいとの評価ができるわけではないが証券会社にとってはビジネスのネタとなるだろうから、関心は高まるだろう。

 

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2002/07/01 今年前半相場を振り返って
炎のファンドマネージャー

 

 ワールドカップサッカーに雌雄がつき、気づいてみると今年もはや折り返し地点に到達。サッカーではここで15分のハーフタイムが入り、テレビ番組では前半戦を振り返っての解説がなされる。そうしたサッカーにならって、今年前半の株式相場の動向をチェックし、後半を展望してみたい。

 まずは、数字で結果を見てみよう。

【日経平均】
 1月4日大発会の初値 10631円
 6月28日 終値   10621円(▲0.09%) (昨年12月28日 10542円)

 キックオフされた大発会初値との比較では若干のマイナスとなったが、昨年の終値との比較では若干プラスに。結果としては上げ下げで4対4の引き分け。
 高値 12081円(5月27日)
 安値  9420円(2月6日)

・各月の高安
 1月 高値 10979円 安値 9843円 終値 9997円 終始劣勢 陰
 2月 高値 10798円 安値  9420円 終値 10587円 前半劣勢 後半挽回 陽
 3月 高値 12034円 安値 10540円 終値 11024円 前半優勢 後半劣勢 陽
 4月 高値 11812円 安値 10896円 終値 11492円 前半劣勢 後半優勢 陽
 5月 高値 12081円 安値 11250円 終値 11763円 前半劣勢 後半優勢 陽
 6月 高値 11905円 安値 10060円 終値 10621円 終始劣勢 陰

【TOPIX】
 1月4日大発会の初値 1040円
 6月28日 終値   1024円(▲1.5%) (大納会 終値 1032円)

【日経店頭平均】
 1月4日 初値  1139ポイント
 6月28日 終値 1212ポイント(△6.4%) (大納会 終値 1138ポイント)

【サッカー風の解説】

 以上の通り結果は日経平均、TOPIXともに試合中盤には攻めたものの、終わって見るとスタート地点に戻ってしまい、4対4で後半戦に突入することとなった。ただ、後半にかけ押されたものの、小柄で勢いのある日経店頭平均の個人プレイが目につくなど、日本株チームの方が全般的にはまだ有利に試合を運んでいる。
 キックオフ直後は3月期末に向けて危機感が各マスメディアで伝えられ、1−3月の株価低迷を予測する声に押され劣勢に立たされ1点を失ったが、サポーターの応援が効いたのか2月6日の9420円をボトムに優勢に立つようになり、連続2ゴールの快挙。
 劣勢をはねのけ選手、サポーターが一体となって株式市場全体が盛り上がった時期があったが、相手もなかなかのもの。3月11日には12000円台にまで上りつめたが、その後は点の奪い合いとなり、一進一退の動き。
 5月27日に再び12000円台に乗ってきた時はサポーターの声が高鳴るなど応援にも熱が入り、誰しも勝利を確信したが、前半終了までの残り10分というところで選手にイエローカードが続出。中にはレッドカードをもらって退場する選手が出る始末で、日本株チームは押されっぱなし。相手に立て続けに2点を入れられ、結果は4対4。サポーターの間からはため息が漏れる始末。
 それでも試合終了間際に何茂ナカタが執念のシュートをはなち、サポーターの熱い声が市場に響いた。そこで前半終了のホイッスル。果たして後半は挽回できるのか…。

 サポーターの皆さんも大いに盛り上がり、応援をお願いします。日本の選手を信じて、日本チャチャチャ!日本株チャチャチャ!!
 後半はこうした前半株式相場の流れを引継ぎ、なおも一進一退の攻防が続くと見ています。選手達にも多少疲れの色が見られますが、これは相手とて同じこと。後半のポイントは選手それぞれがこれまでの練習成果を粘り強く発揮して、相手攻撃に耐えること。ディフェンス陣が相手の攻撃をうまく耐え抜いてゴールチャンスを伺う作戦でいきたいと思います。相手チームも為替攻撃、海外株安攻撃、会計疑惑攻撃とこれまで仕掛けてきましたが、これに屈してはなりません。ゴールキーパーも9400円のゴールラインを割らせることがあってはなりません。ここは鉄壁の守備を行ってほしいものです。

 前半活躍した主力の背の高いハイテク選手たちが立ち直ってくれることが希望ではありますが、相手の円高攻撃はこうした長身選手にとっては堪えます。ここでは前半戦の一方の立役者であったJASDAQ選手など、小柄だけどフットワークの軽い選手たちに頑張ってもらうしかありません。彼らにも結構いい技が備わっています。海外でも活躍する世界に通用するテクニックが評価される時が訪れようとしています。

 皆さん方サポーターは、選手の特徴ある技もよく研究して、大いにご声援下さい。感動をあなた方にお届けする日本株チーム選手に後半も熱いエールを!!
 前半は点の奪い合いでしたが、後半は耐える中に光明作戦で参りたいと思います。どこかのTV番組ではありませんが、母のような愛で見守りたいと思います。そして結果は10対8を予想します。7月〜8月にかけて日柄関係により調整完了。本当に耐えられるかどうかですが、相手の攻撃もそろそろ限界です。NYダウは昨年のテロ事件後の安値8062ポイントに対してまだ1000ポイント上にあって、下降トレンドが続いている状況ですが、3月高値から直近安値まで既に16%の下落となり、テク二カル上のリバウンド局面到来もありえる場面です。

 エンロン、ワールドコムと続く会計疑惑で混乱を生じている点はなお気懸かりですが、米国の信頼が揺るぐ時に支えられるのは日本と欧州です。日本よりも今は韓国の方が勢いがありそうですが、冷静にまじめに技を磨く日本にも勝機はあります。選手がそれぞれにこれまで磨いてきた匠の技を世界にアピールする時、自ずと勝機が訪れると信じています。日本株チームを率いる監督も、もっと早くそうしたフォーメーションを作って後半戦の勝利に導いてほしいものです。

 ズバリ!!年末の日経平均は12500円。高値は13500円までと考えます。それでは後半戦もお楽しみ下さい。
(実況・解説は炎のファンドマネジャーでした。)

 

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