上村工業(大4966) 2000/09/06更新

2000/9/06(水)


 
上村工業(大4966) ☆☆☆

  同社株価が最近堅調に推移し、前場段階で2500円を付けてきた。昨日、一昨日とヤリ(売り)気配で終了していたのに、本日はいきなり2500円台。

 なぜ急に上昇したか? 材料は2つ。

 まず、日経金融新聞に業績に関する観測記事が出ている。これは上村工業の台湾子会社の業績が急拡大している内容だ。情報通信機器メーカー向けにメッキ薬品が急増し、今期の経常利益は当初予想の5億円を大きく上回る9億円になりそうというもの。4月から7月までの4ヶ月間で、当初計画した通期の利益を稼いでしまったらしい。
 このため、連結純利益は前期比9%増の12億円になる見通しと出ている。

 次に、日経産業1面に大きく新商品のことが掲載されている。これは液晶用ガラス基板に関するもので、大阪市立工業研究所との共同開発したもの。
 現在、ガラス基板上への導電膜形成はスパッタリングを用いており、装置の関係上、大型のガラスを処理することができない。しかし同社の発表した技術では、酸化亜鉛溶液にガラスを浸ける。つまりあくまでメッキする方法であり、スパッタリングのように真空にする必要もなく、大きなガラス(3m四方)を一度に安価に処理できるという優れたものである。
 気になるところの売上だが、会社側ではまだ開発or準備段階ということで2002.3期に売上が立つかどうかもわからないという消極的なコメントであった。

 しかし、気になって特許を見たところ色々出てきた。この方法が大型の液晶ガラス向けに対し、小型用をターゲットとして発明の名称「透明酸化亜鉛皮膜及びその製作方法」として2000年1月11日に特許公開されている。
 対象は液晶の透明電極及び、太陽電池などの透明半導体電極だ。これはなんと松下電産との共同出願になっており、会社側ではこの件に関して何の発表もしていない。先行き松下と提携などの発表をするのかな?

 他にもある。HDD用メッキ液ではアルミ一辺倒の同社と思っていたが、ガラス、セラミック基板用を開発し、2000年4月4日に公開されている。現在ガラス、セラミック基板はメッキを用いておらず、将来メッキが使われだした時の為に準備したものだという。
 また、燃料電池用金属セパレーターを単独で開発したようで、固体高分子型燃料電池に用いられるものらしい。

 これらはいずれ、順に何かしらの発表をしていく様であり(うまく開発できればの話だが)、一時、弱気に陥いった私だが首を長くして待つことにしよう。上述の特許を以下に記します。(長くてすみません。読まれなくてもOKです)

☆☆☆とします。

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【公開番号】特許公開2000−96252
【公開日】平成12年4月4日(2000.4.4)
【発明の名称】ハードディスク基板へのメッキ方法
【出願番号】特許出願平10−263829
【出願日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】【氏名又は名称】上村工業株式会社
【解決手段】ガラス又はセラミック製ハードディスク基板を無電解ニッケルメッキするに際し、上記基板を表面調整処理した後、水溶性パラジウム塩とアミン系錯化剤とを主成分とし、錫塩を含まないキャタリスト液で処理し、次いで上記基板を水洗、乾燥した後、無電解ニッケルメッキ液に浸漬して無電解ニッケルメッキを行なうことを特徴とするハードディスク基板へのメッキ方法を提供する。
【効果】ガラス及びセラミック製ハードディスク基板にピット等の欠陥なく、密着性の良好な無電解ニッケルメッキ皮膜を形成することができる。

利用分野
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス又はセラミック製ハードディスク基板に無電解ニッケルメッキを行なう方法に関する。

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【公開番号】特許公開2000−36309
【公開日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【発明の名称】燃料電池用金属セパレーター
【出願番号】特許出願平10−219659
【出願日】平成10年7月17日(1998.7.17)
【出願人】【氏名又は名称】上村工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区道修町3丁目2番6号

【要約】
【解決手段】正極、負極及びこれら正負極間に介在された電解質を備えた燃料電池モデュールの両側に配置され、ガス流通用の溝部が形成された燃料電池用金属セパレーターにおいて、少なくとも上記溝部表面にフッ素樹脂又はフッ化黒鉛粒子が共析した貴金属複合メッキ皮膜を形成したことを特徴とする燃料電池用金属セパレーター。
【効果】本発明の燃料電池用金属セパレーターは、従来公知のセパレーターと同様の態様で使用することができ、特に固体高分子電解質型の燃料電池のセパレーターとして好適であるが、本発明のセパレーターは、接触抵抗が低く、また溝部の撥水性に優れ、良好なガス流通性が確保され、しかもマトリックスが貴金属であるため、耐食性にも優れるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】正極、負極及びこれら正負極間に介在された電解質を備えた燃料電池モデュールの両側に配置され、ガス流通用の溝部が形成された燃料電池用金属セパレーターにおいて、少なくとも上記溝部表面にフッ素樹脂又はフッ化黒鉛粒子が共析した貴金属複合メッキ皮膜を形成したことを特徴とする燃料電池用金属セパレーター。

利用分野
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池、特に固体高分子型燃料電池に用いる金属セパレーターに関する。

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【公開番号】特許公開2000−8180
【公開日】平成12年1月11日(2000.1.11)
【発明の名称】透明酸化亜鉛皮膜及びその作製方法
【出願番号】特許出願平10−188292
【出願日】平成10年6月18日(1998.6.18)
【出願人】【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願人】【氏名又は名称】上村工業株式会社
【住所又は居所】大阪府枚方市出口1−5−1上村工業株式会社中央研究所内

【要約】
【解決手段】厚さが0.01μm以上であり、光透過率が60%以上、比抵抗が0.2Ω・cm以下であり、湿式メッキ法により作製されたことを特徴とする透明酸化亜鉛皮膜。
【効果】本発明によれば、電気導電性と透明性の優れた酸化亜鉛皮膜を作製できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】厚さが0.01μm以上であり、光透過率が60%以上、比抵抗が0.2Ω・cm以下であり、湿式メッキ法により作製されたことを特徴とする透明酸化亜鉛皮膜。
【請求項2】光学的透明性を有する不導体基材を銀イオンを含有する活性化剤で触媒化処理した後、酸化亜鉛析出溶液に浸漬して無電解法により上記基材上に酸化亜鉛皮膜を形成し、更に上記酸化亜鉛析出溶液で該酸化亜鉛皮膜を陰極として電解して、厚さ0.01μm以上の透明酸化亜鉛皮膜を形成することを特徴とする透明酸化亜鉛皮膜の作製方法。
【請求項3】上記基材を2価の錫イオンを含むセンシタイジング溶液でセンシタイジング処理した後、上記銀イオンを含有する活性化剤で触媒化処理を施すようにした請求項2記載の作製方法。
【請求項4】活性化剤で触媒処理した後、強酸溶液への浸漬処理を行い、その後酸化亜鉛析出溶液への浸漬処理を行うようにした請求項3記載の作製方法。

利用分野
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイの透明電極、太陽電池用などの透明半導体電極などとして有用な透明酸化亜鉛皮膜及びその作製方法に関する。

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【公開番号】特許公開2000−54196
【公開日】平成12年2月22日(2000.2.22)
【発明の名称】電着塗装方法
【出願番号】特許出願平10−220374
【出願日】平成10年8月4日(1998.8.4)
【出願人】【氏名又は名称】上村工業株式会社

【要約】
【解決手段】電着塗料を1.23V以上20V以下の電圧で電解して、上記電着塗料中の樹脂を1μm以下の厚さで基材上に析出させることを特徴とする電着塗装方法を提供する。
【効果】本発明によれば、ナノサイズの有機皮膜を電着塗装によって容易にかつ工業的有利に製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電着塗料を1.23V以上20V以下の電圧で電解して、上記電着塗料中の樹脂を1μm以下の厚さで基材上に析出させることを特徴とする電着塗装方法。

利用分野
【発明の属する技術分野】本発明は、電着塗装により有機樹脂のナノ構造膜を形成する電着塗装方法に関する。

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【公開番号】特許公開2000−192283
【公開日】平成12年7月11日(2000.7.11)
【発明の名称】メッキされたセラミックス/金属複合材料およびその製造方法
【出願番号】特許出願平10−371643
【出願日】平成10年12月25日(1998.12.25)
【出願人】【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願人】【氏名又は名称】上村工業株式会社

【要約】
【課題】セラミックス/金属複合材料に対し、均一な厚さでかつ密着性に優れるようにメッキ皮膜を形成する。
【解決手段】メッキ皮膜18が形成されたセラミックス/金属複合材料10は、還元剤22を表面に吸着させるセンシタイズ工程と、前記還元剤22と触媒金属20とを置換するアクチベイティング工程と、少なくとも前記触媒金属20上に第1のメッキ皮膜18aを形成する電気メッキ工程と、少なくともセラミックス12上に第2のメッキ皮膜18bを形成する無電解メッキ工程と、全体を酸化性ガスが存在しない雰囲気下で乾燥する乾燥熱処理工程とを含む製造方法により製造される。触媒金属20を直接吸着させてもよく、または、還元剤22の吸着とともに該還元剤22と触媒金属20との置換を同時に行ってもよい。

利用分野
【発明の属する技術分野】本発明は、メッキされたセラミックス/金属複合材料およびその製造方法に関する。

従来の技術
【従来の技術】半導体のヒートシンク材としては、熱伝導度が高いことから、CuあるいはAl等が従来から使用されている。しかしながら、これらの熱膨張率の値は、半導体回路の基板であるSiあるいはGaAs等の熱膨張率の値とは差があるため、回路が高温となった場合には基板とヒートシンク材とが剥離することがある。したがって、剥離が生じないようにするために、熱伝導度が高く、かつ熱膨張率の値がSiあるいはGaAs等のそれの値と近いものをヒートシンク材として使用することが本来は望ましいが、セラミックス単体あるいは金属単体でそのような条件を満足する材料は知られていない。
【0003】そこで、SiC多孔質焼結体の気孔にCuを含浸してなるSiC/Cu複合材料をヒートシンク材として使用することが試みられている。SiC/Cu複合材料は、高熱伝導度を有し、かつ、熱膨張率の値がSiあるいはGaAs等のそれの値に近いからである。したがって、回路が高温となった場合においても、基板から剥離することがないからである。

2000/08/01(火)

上村工業(大4966)

  6月の状況をお知らせしていなかったので報告いたします。
売上
18億円
単月の計画対比-12.9%
前年同月比-11.5%
営業利益
98百万円
単月の計画対比+33.9%
前年同月比-52.4%

<部門別売上>
メッキ
564百万円
単月の計画対比+4.8%
前年同月比-17.0%
内HDD用
104百万円
機械
283百万円
単月の計画対比-31.1%
前年同月比-34.8%
パッケージ
209百万円
ほぼ計画線


 7月は昨日閉めたばかりなのでNAだが、6月と変わらない状況らしい。HDX(HDD用メッキ)が遂に今期計画の月平均1億円まで減少、海外もまだうまく立ち上がってきておらず、あとはデジタル家電が頼みだが…。
 パッケージ用は台湾中心で、イビデン向けを期待したいところだが、今期は大きなサプライズは無さそう。この商品も来期からのようだ。

今期は期待できそうもないと判断し、☆☆☆☆ → ☆とする。

2000/06/12(月)

上村工業(大4966) ☆☆☆☆

  上村工業の株価が先週末軟調であり、5月の状況が気になり連絡してみた。

 HDX(HD用メッキ薬品)が1.3億円台となり底バイ状態が継続しているが、これは単体の計画1億円よりは上である。パッケージも2億円台と4月とあまり変わらない状況。しかしながら、営業利益は4月の1.75億円から5−6千万円へと激減しており、これを嫌気した売りが出ていると思われる。
 この営業利益減少は、メッキ用機械の赤字販売が5月にあったためであり、この赤字幅は約5千万円である。この分も今期予算に組み入れており、5月の状況は単月予算ベースで計画以上になっているという。

2000/06/02(金)

上村工業(大4966) ☆☆☆☆

 先だって、説明会開催後再度フォローすると書きましたが、説明会に参加したところ、調査しなければいけない事項が出てきましたので少しお時間下さい。

2000/05/30(火)

上村工業(大4966) ☆☆☆☆

  6月1日決算説明会があるが、その前に軽くヒアリングしてみた。

 単体は10%減収・14%経常減益、連結は2%増収・5%経常減益で予想を出している。

 単体はアルミディスク(HD)メーカーが撤退もしくは海外生産シフトをしているため、HD用メッキ液は足下1.4億円台の底バイ状態が続いているものの、今年度更に厳しい月平均1億円の売上計画で、トータル減収予想をしている。
 連結は2%増収予想、国内から海外へシフトが進み、単体の売上が海外連結子会社の売上に変化してきている。

 過去2期間減益になってしまった同社は今期かなり慎重であり、HD用は今期単体が50%減、連結が20%減と見ている。しかしながら足下4月・5月ともネックになっているHD用は1.4億円の売上、更に来年浮上してくるAVのデジタル家電の発注分も全く予算に入れておらず(ガラスが用いられる可能性を指摘していた)、相当堅めの予想をしている感じであった。

 「もしAVにアルミのHDDが多用されるなら、粗利益率は落ちるがかなりの数量がでて、数字(決算)は変わるよ」とおっしゃっていました。(過去勤務債務は単体で4.5億・子会社0.5億の計5億を今期に一括処理の予定)

 詳細は1日の説明会に参加してから報告します。 

2000/05/10(水) 
上村工業(大4966) ☆☆☆☆
 昨日同社を取上げたが、4月の売上状況が発表されましたのでフォローさせて頂きます。

メッキ薬品
621百万円
(前年比−14.9%)
内HD用メッキ
149百万円
( 〃 −51.8%)
トータル売上
1906百万円
( 〃 +11.9%)
営業利益
175百万円
(変らず)

 HD用薬品がこの3ヶ月140百万円台と低いレベルであるが安定してきており、底入れ感が出てきているようである。昨日記述したが、4月から同社のユーザーである日軽金が、アルミディスクから撤退しており、状況的には良くない現状ではあるものの、PC用HD枚数の底入れ、そしてデジタル家電離陸に期待したい。
 なおパッケージは堅調そのものである。

2000/05/09(火) 
上村工業(大4966) ☆☆☆☆
 昨年7月高値5500円から直近2000円と調整充分。本日大原部長がフジミインコの買い宣言の上、「上村工業も同様」とのコメントを出しておりましたが、私が目茶苦茶簡単ではありますがフォローさせていただきます。

10月
11月
12月
1月
2月
3月
メッキ薬品
650(-7.9)
680(+9.1)
583(-13.8)
475(-26.7)
578(-15.0)
611(-55.5)
内HD向け
200(-32.4)
213(-10.1)
146(-48.2)
120(-58.0)
144(-44.6)
147(-55.5)

 上記数字(月次表は関連Web「億の近道on the Web」に掲載)がメッキ薬品全体及び、その中に含まれるHD用メッキ薬品の去年下期からの売り上げ動向である。

 HD用が足を引っ張っているのが良くわかるが、これは、一昨年のHDD(ハードディスクドライブ)1台あたり搭載ディスク枚数平均2.4枚に対し、昨年は平均1.4枚(サーバー含み)まで減少、ローエンドPCのみで考えれば、平均1枚まで減少しているのがモロに響いた結果である。昨年の松下寿がいい例であるが、HD関連メーカーは単価の減少に悩まされていたが、上村工業に関して言えば、単価ダウンは例年と変らずの5%以内の減少と、ほぼ減収要因は枚数減に起因しているのである(ディスク1枚になればそれを読み書きするヘッドの個数も1個ないし2個と、HDDのコストダウンにはヘッドの個数減効果が一番大きい)。当然ディスクは平均枚数1枚を下回ることはないのだから、枚数減少には歯止めがかかろう。

 ここでもう一度足許までの状況に戻るが、同社のHD用メッキは12月から底入れの感が出てきているが、昭和アルミがマレーシアで生産開始による国内空洞化、住友メモリーマレーシアが米国企業へ仕入れ変更(同社が入れていた)、4月から同社ユーザーである日軽金がアルミディスクから撤退(ピーク時月間1億、昨年15百万円の売り上げ)と、同社にとっては向かい風が吹いていたのも事実である。

 2.5インチHDDは、ほぼ100%アルミからガラス基板に置き換わったが、デスク用3.5インチは現状IBMがガラスを検討(一部搭載しているかも)している以外特段動きもなく、2年位前からガラスと言われてきたが、さほど影響が出ていない模様。及び、大原部長が指摘していたHDの記録密度向上によるアルミの延命はありえると私は思う。

 また、今後続々出てくるであろうデジタル家電に、いきなりハイエンドHDDでもないであろうし、主力はアルミローエンドHDDが本命となり、昨年懸念された枚数減はそろそろ底を入れ、離陸に向う可能性はあるであろう。

 最後に、同社は3月15日に修正を行っているが、この数字よりは若干上の数字で決算を締めることになろうかと考える。
5月23日決算発表、6月1日説明会。

あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
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