日産化学工業(東4021)

2001/06/13更新
2001/06/13(水)

日産化学工業(東4021) ☆☆☆☆

 フォローです。

 今年上市の高脂血症治療剤「NK104(イタバスタチン)」を手がかりに、株価は堅調な展開となっています。6月4日には年初来高値1039円を示現しました。

 昨年12月8日の「イチオシ」銘柄として掲載しておりますので、ご参照いただきたいのですが、この会社は1887年に日本最初の化学肥料製造会社「東京人造肥料」として設立されて以来、常に柔軟に収益構造を転換してきました。肥料・酸アルカリから高級アルコールやアルキルベンゼン、ポリエチレンなどの石油化学事業、農薬を中心とするファインケミカル事業、液晶材料など電子材料、そして医薬品事業です。シクリカルな要因などから一時的に業績が落ち込むことがあっても、新たな収益柱の構築により、成長を続けてきました。まず、この点は評価したいと思います。

 「NK104」の上市は今年末となるようですが、成長余地はかなり大きいとの見方に変更はありません。同薬は、当社が原体製造を担当、興和が製剤し、三共と興和が国内販売を担当します。
 今月8日の日本動脈硬化学会で、新しい動脈硬化診療ガイドライン案が発表され、これによると、「高脂血症患者が半減する」との見方も出ているようですが、それによって治療薬の売上が減少するような影響はないようです。食事の西洋化、高齢化の進展による潜在的患者数の増加という傾向に変化はないと判断します。

 引き続き、注目いただきたい銘柄です。(☆☆☆☆)(駄洒落商会会長)

 

2000/12/08(金)

日産化学工業(東4021) ☆☆☆☆

 沿革からご紹介いたします。

 1887年、日本最初の化学肥料製造会社「東京人造肥料」として設立されました。1920年代には肥料と酸アルカリを生産する国内最大の化学会社に成長しています。37年に日産化学工業(株)に改称。64年には富山工場で自社開発技術による高圧法メラミン(合板用接着剤などの原料に使用)製造を開始。65年に日産石油化学を設立し、高級アルコールやアルキルベンゼンの生産を開始。70年にはポリエチレンを手掛けるなど、高度成長期に石化事業が順調に拡大します。その後、2度にわたる石油危機、公害問題から石化事業の収益悪化に直面、農薬事業を中心とするファインケミカル事業の強化に転じます。84年には輸出向け畑作用除草剤「タルガ」(原体自社開発)発売。同年、液晶配向膜用ポリイミド「サンエバー」を発売。85年には消炎鎮痛剤「エパテック」を発売し、医薬品事業に進出しています。

 ファインケミカル事業の伸長により、96.3期〜98.3期まで経常最高益を連続更新するなど業績は順調に回復しますが、減反政策、輸入農産物増加などから農薬事業が伸び悩み、99.3期は一転して大幅減益に見舞われます。
 しかし、代わって上記「サンエバー」など電子材料を中心とする機能製品と医薬品事業が伸長することにより、再び収益は拡大基調を取り戻しています。

 今2000.9期(中間)連結業績は、売上高で616億円(期初予想585億円)、経常利益で27億円(同6億円)と予想を大幅に上回る伸びとなりました。
 牽引役は電子材料で、売上高77億円、前年同期比35%増と伸長。「サンエバー」が同40%増、エキシマレーザ用反射防止コーティング剤「ARC」(シリコンウェハー上へフォトレジストを塗布する前に使用、照射される紫外線の基板面からの乱反射などを防止し、正確に微細パターンを形成する)が同2.5倍、シリコンウエハー研磨剤「スノーテックス」が同13%増とそれぞれ順調な伸びを示しています。
 下期も、液晶関連の市況軟化があるものの、「ARC」のフル操業が続くなど、引き続き電子材料が業績を牽引する見通しです。

 また、中期的に拡大が見込まれるのが医薬品事業です。来2001.3期には、高脂血症治療剤「NK104(イタバスタチン)」が上市されます。「NK104」は当社が原体製造を担当、興和が製剤し、三共と興和が国内販売を担当する予定です。
 わが国の高脂血症治療患者は約450万人ですが、潜在患者数は約2,500万人と推定されており、成長余地はかなり大きいといえます。治療薬としては、三共の「メバロチン」が98年に内外での売上高3,300億円に達するなど、国内最大の医薬品に成長しましたが、今5月に国内で山之内製薬が「リピトール(アトルバスタチン)」(米ワーナー・ランバートが開発。97年より米ファイザーと共同発売。99年の売上高は全世界で約37億ドル)を発売。格段に高いコレステロール低下作用が高評価されて順調に売り上げを伸ばしており、今8月には米国でのシェアは、リピトール50%に対してメバロチン14%と逆転するに至っています。

 ただ、「NK104」は、「リピトール」に比べ、1回の投与量が5分の1で済むうえ、毒性が低い、などの優位性も確認されており、三共は興和と合わせた国内販売目標800億円を標榜、失地挽回をはかる意向です。原体を供給する当社には、売上高の15%、利益の50%が寄与する見込みであり、当社の利益水準を大きく押し上げる見通しです。

 なお、欧州では2003年、米国では2004年に発売される予定ですが、三共の海外での販売力が劣る点はリスク要因のひとつと言えましょう。(☆☆☆☆)(駄洒落商会会長)

 

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