富士写真フィルム(東4901) 2000/12/04更新

2000/12/04(月)

富士写真フィルム(東4901) ☆☆☆

 売上高及び構成比(中間)
イメージングシステム     2364億円 33.4%
フォトフィニッシングシステム 1790億円 25.3%
インフォメーションシステム  2918億円 41.3%

【注目点】
1)インフォメーションシステムの10%を占めるLCD材料が、前年比25%の伸長率を見せており第3の収益柱になりそう。タックフィルム、ワイドビューフィルム、トランサーの3種類の内、ワイドビューフィルム及びトランサーはマーケットシェア100%を誇り、新しい発想による方式が発案されない限り同社の寡占が続く可能性有り。タックフィルムは新規にコニカが参入したことによりシェアは60‐70%。価格下落については会社は楽観的だが、シビアに見ていた方がよさそう。但しLCD材料全体としては成長路線をキープしよう。
  売上高(予想)
          2000.3  300億円
          2001.3  400億円
          2003.3  600億円
          2005.3 1000億円
  生産能力増強に動いている。

 同事業の3割を占める印刷業界用フィルム機材は前年比5%減で、国内設備投資及び宣伝広告費抑制の煽りを受けている。25%を占める医療向けは前年比5%増であり、CTやMRIなどの発達により今後も着実な成長を見せよう(国内は薬価改定と同様な点数削減の影響をうけるが)。
 LCD、印刷、医療はインフォメーションシステム事業の営業利益率13%を大きく超える利益率を確保している模様。同社では米国で500億円の投資をし、医療用フィルムの生産を来年開始する。

2)イメージングシステム中のデジカメが増加してこよう。営業利益率は部門の9.6%に及ばないものの、今後のマーケット拡大に伴い恩恵を享受しよう。
 国内は今年350万台が来年500万台に、ワールドワイドでは1350万台が1800万台にジャンプすることが予想され、現在の同社シェア国内25%、ワールドワイド20%を各々30%、25%へアップを目論む。
 世界初のハニカムCCDやレンズといったキーパーツを自社グループ内で一貫製造しているのは世界で同社のみであり、他の周辺回路も含めて内製化によるコストダウン及び技術力が優位性を発揮している模様。
 同事業の6割を占めるフィルム事業が海外で伸長の可能性有り。国内は数量ベースで1‐2%の微増だが、海外、特に米国向けに伸長を見せている。
 為替の影響を被り金額ベースでは1‐2%のマイナスだが、数量ベースでは前年比12%の数量アップを記録し、足元米国でのシェアは25%まで高まっている様子。
 世界で唯一の第4感色層技術による忠実な赤色再現技術や、世界3極生産体制など他社との差別化がいずれシェアに現れてこよう。
 営業利益率は同事業の9.6%を上回る。

3)フォトフィニッシングシステムの売上高の内、45%を占めるカラーペーパー、薬品などが海外中心に伸びている。国内はペーパーのみ扱うサプライ業者がおり、微減を余儀なくされているが、海外は数量ベースで14%の伸長。
 同事業の2割弱を占めるデジタルミニラボが前年比30%増と、好調裡に推移。新技術に関して敏感な海外に出荷台数を牽引している形となり、99年6月初出荷で前期は累計2千台、2001年3月期には累計6千台(日本1500台、海外4500台予想)、来期累計1万台に達するとの予想を立てている(1台=1200万円、OP込み1300万円)。
 コンペティターはノーリツ鋼機やコニカ。

【ネガティブポイント】
1)海外でのフィルム事業拡大をすれば、かなりの確立で問題が発生するのでは…。コダックが黙って見てはいないのでは? 出る杭は打たれる。

2)米国ゼロックスと協議中である富士ゼロックス出資比率引き上げは、ポジティブに捉えて良いものなのか? デジタル技術の取り込み及び相乗効果を言っているが果たして?
 同社は既に20年前から東芝とデジタル技術のアライアンスを組んでいる。東芝の社員がデジカメの設計協力をしていたのですから!

【終わりに】
 3年間続いた減益路線が増益路線に変化しよう。輸出比率が高く為替の影響を受けるものの、現在の為替水準がキープされるなら、間違いなく着実な成長を遂げよう。
 しかしながらいつも高いプレミアムがつかない同社株であり、現在の株価を考えれば深追いはしない方が無難。目標株価は5千円台が良いところであり、中小型成長株投資の方が期待するパフォーマンスは無理があろう。だがこれは第4の収益柱が当分発表されないとの前提です。(両津)

☆☆☆

 

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