古河電工(東5801)

2001/08/30更新

2001/08/30(木)

古河電工(東5801) ☆☆☆☆☆

 今年度に会社側が計画する連結業績は、昨年と比較し減益になる可能性を予想する。WDM関連が想定以上に悪化している他、伸銅品、銅箔などマテリアルも顧客の生産調整の影響を受ける。

 一方、フジクラの上期業績が好調なことを日経新聞が報道していたが、同社の光ファイバー&ケーブルについても同様である。しかしながらWDMやマテリアルの減少分を光ファイバー&ケーブルで補うことは不可能だ。このため同社の今期業績は会社側が想定する営業利益610億円を大きく下回る可能性がありそう。

【WDM】

 7月そして8月に入り、工場稼働率は一層落ちてきている。特に同社が得意とするポンプレーザーの落ち込みが激しい。アンプは何社からオーダーが入り、7月まではフル稼動であったが、8月以降は稼働率が低下、ラマンアンプは4月からテスト用に月100台ずつ出荷している。パッシブはアクティブほど減速していないものの、減速は明らかである。

 このため会社側では、今期WDM単体売上を700億円としているが、30−40%程度のショートの可能性もあろう。7−12月まで全く期待されないが、いつ底が入るのかが株価を占う面でのポイントになろう。本来ならラマンアンプが立ち上がってもいいはずだが、どうも顧客側のEDFA部品が相当あるようで、ラマン投入によるEDFA陳腐化を嫌う動きがありそうだ。

【マテリアル】

 今年の夏は暑かったこともあり、アルミ缶向けの売上はまあまあ。しかしながら電子部品関係向けの伸銅品が減少である。昨年400億円の売上高が今期はたった100億円に陥る新光電工を見れば、如何に環境が悪いかご理解いただけるかと思うが、リードフレーム、銅箔共減少。また下期は上期比アップする予想であり、下期に大きくショートしそう。

 光ファイバー&ケーブルは、下期に単価の下落がどこかで起こると想定し、ファイバーの売上に影響がでるかもしれないが、今期は軽微であろう。それ以上に国内のケーブルが好調であり、来期も伸び率こそ鈍化するものの、堅調な展開を予想。但し予想が難しいが、来期のファイバー単価の動向次第ではこの部門の収益が必ずしも増益を維持できるとは限らない。マーケット需要次第。

 来年度の業績は、今期比横ばいもしくは若干の微増益を予想する。米国でのWDM投資が冷え込んだままであるが、来年度の下期まで投資が冷え込むことは億近テクノロジーチームでは想定しない。

 モルスタ長井氏のレポートにあったように、北米の光ケーブル使用率35%と想定し、データトラフィックが毎年100%増なら、来年一年間WDM投資が冷え込んだままなら、再来年には米国の通信インフラはパンクしてしまうのではないか。

 現在WDM投資がストップしたわけではありませんが、今のペースでの投資では、少なくとも増強投資とは言えず(明確な数値をもって言っているわけではございません。あくまでヒアリングしたうえでの感覚的なものです)、通信インフラに問題が発生する可能性もありましょう。

 ですから工事期間を考えれば、来年の上期までには調整も終了することになると読む。しかしながら通信企業の財務状況や資金調達状況はバッドの状況。どこか大きい企業が倒産するのか? もしくは政府の梃入れが入るのかわからないが、このままの状況が来下もずっと継続するとは考え難い。

【古河電工の経営者は偉い。素晴らしい。】

 JDSを利喰って、その資金でルーセントの一部を買収する。ルーセントといえば昔のベル研である。10年以上前に買収していたら米国の感情を逆なでしていたかもしれない。その前に絶対買う事は出来なかった筈。そのベル研を買ってしまうとは!!!! オーナー企業だけあって、判断が素早いのであろう。以前なら1兆円ほどの買収資金が必要であったかもしれないが、ファイバーが緩みそうなこの時に適切な価格で見事な買収を成功させた。住友やフジクラ他、雇われサラリーマン社長には絶対出来ない芸当である。

 大体、日本の大企業のかなりの取締役は「とりしまりやく」ではなく、「とりしまられやく」であろう。社長はベンツかクラウン。仕事もろくすっぽしないで、お抱え運転手は必要ない。行き帰りの通勤と銀座、六本木に出向くのがメインで、顧客先を丁寧に回る社長が大企業にどれほどいるのか? 日本電産の永森社長のようにやれ!
 遊びの飲み代は経費が当然。時には旧赤線の代金も。しかしながら会社では真っ当な社長を演出しているように見せかけ、業績悪化は部下の責任。自分の交際費が減らないように、業績悪化時は管理職以下の交際費を大幅に削減。時にはモノを衝動買い。当然経理の連中に小切手を切らせ、高価な絵画が社長室に飾られる。しかし社長退任後にその絵画がない。どこにいったか? 社長の自宅にある。社長は経費豊富である。自分の愛人の経営する高級クラブに出入りし、接待もそこを使う。しかし支払った金額の何割かが社長の懐にキックバック。税務申告なんてする良心的な奴は絶対いない。
 そんなアホ社長が日本の企業には腐るほどいる。
 この程度のことは部長クラスでも平然と行っているのが実状だ。しかし表面的にはわからず、知らず知らずの内に猫の皮を被った悪徳役員がいる企業に投資している。愛人くらいならカワイイもんだ。ストレスもたまろうし、それくらいのプライベートは誰でもやっていよう。
 しかし会社の金=株主の金を、既得権益保存のためにアホ議員にばら撒いたり、夜の銀座で無駄な豪遊をすることは許せない。

 日本のあほ社長は、古河電工の社長を見習うべきだ。

 こんなにインデックスが下がってくると安い株に飛びつきたくなる。しかしながら大原部長はいつもこう言う。

「こんな局面だからこそ日本でトップクラスの経営の良い企業を買う」…と。

(両津&億近テクノロジーリサーチチーム)

 

2001/07/12(木)

古河電工(東5801) ☆☆☆☆☆

 【古河電工の株価は「こつん」といったようだ】

 古河電工の株価は昨10月に3710円の高値をつけた後、5分の1にまで背筋も凍るような調整を行ってきたのは周知の事実である。北米通信キャリアの設備投資抑制の影響は、世界シェア80%を握る古河電工といえども避けられなかった結果、期待値への大幅な修正が行われたためである。

 しかし、ここからの一段の下げは限定的と考えている。

 その主な理由は、来期以降の回復シナリオとバリュエーション面からみた下振れリスクの低下にある。
 古河電工のWDM関連製品の回復は、何をおいても励起レーザーの需要増、しいては光増幅器の需要増にかかっている。しかし、残念ながら、現在前年比3倍という勢いで伸びているメトロ市場では、伝送距離が短いことから光増幅器フリーのシステム設計がなされている。従って、長距離伝送路での需要回復が大前提となるわけだが、この回復時期を2002年中、早ければ2001年後半と考えている。これは、まさに通信インフラ投資の大前提となるトラフィック需給動向から導き出せる。

 ちまたではBandwidth Glut などという議論がよくなされており、現在では伝送容量がじゃぶじゃぶにあまっており、今後しばらくは設備投資の必要はないといわれている。しかし、これは光ファイバーはライトアップをしなければ稼動しないということを無視した議論といえる。つまり、ライトアップのために端局に光源レーザーをつけることや、光増幅器をラインにいれる必要がある。

 これを前提に北米の伝送容量を試算すると、確かに現在のトラフィック需要では4割程度しか稼動していないことになる。しかし、トラフィック需要が現在の伸び率で伸びた場合、このまま投資がなされなければ2002年中に確実に足りなくなるのは明白である。

 従って、2002年中にはライトアップのための投資が回復する可能性が高い。また、実際の投資の実施時期としては、需給がクロスする数ヶ月前に先行すると考えられる。となれば、はやければ2001年の後半から2002年春にかけて投資が回復してくるとみられる。

 これに伴って、アンプ需要が喚起されると考えており、中核部品でもある励起レーザの需要の回復につながるとと思われる。このため、励起レーザーの販売額も2001年度は2割以上の前年度割れとなる見込みだが、2002年度には同2.2倍と急速な回復に転じる見込みだ。利益面でも2001年度は会社予想の610億円を1割程度下回る可能性があるが、2002年度には3割増と、急回復が期待できよう。

 このように、回復シナリオからは現在の株価水準は十分すぎるほど調整しており、中期的に買いのタイミングにあるといえる。しかし、下振れリスクがまだ残されているのではないかとの懸念がくすぶっているのが、現在の株価低迷につながっているようだ。

 これに関しても、現在のPERは会社業績に対する下振れリスクを考えても、過去15年間のマイナス1標準偏差を割りこむ水準にまで売られこまれており、ファンダメンタルズでは説明のつかない水準にきていると考えられる。

 純資産価値で考えても(JDSUの含み益を除いたベース)でPBR1倍割れの水準と買収価値にまで下がってしまっている。 従って、ここからの下げは需給要因によるものがほとんど考えられる。直近では、コーニングの業績ワーニングがなされた次の日に7営業日ぶりに反転するなど、弱気材料に対しても耐性ができつつあるといえる。

 7月の半ばからは通信セクターの決算シーズンになるため、注視していく必要があるが、JDSU、ノーテル、コーニングと大手どころはワーニングを既に発表しており、そこからの一段の悪材料はすくないと考える。従って、無事に決算シーズンを過ぎれば本格的に反転を狙いにいく可能性は十分にあろう。

 「こつん」といった可能性は極めて高い。(億近テクノロジーリサーチチーム)

 

2001/07/10(火)

古河電工(東5801) ☆☆☆☆☆

 <株価上昇は最高の妙薬 (苦汁の日々からの開放はいつ?)>

 古河電工の株価がガンガン下がっていることを読者の皆様はご存知だと思う。
 株価は約800円まで下がり、高値の3710円から見れば半値8掛け2割引き以下まで下がったことになる。
 「WDMはダメ。来期も期待できない。」といったムードが充満し、もうパニック状態。下げの局面でも反発らしい反発が見られない(大原部長)なか、投資家の心理状態はどんどん不安になっていたに違いない。

 1株当たり純資産が前期1042円でPBRは1倍割れ。これは3月末時点、つまり1.27億株保有しているJDS株の株価が18ドル(為替は約120円)の時点であり、現在の11ドルを当てはめればもう少し低い純資産になる。

 1200円から時々同社の売買手口を見ていたが、いつも外資系及び日興SB、大和SBなどの機関投資家の売りがほとんどを占め、反対に買いはリテール証券がほとんど。
 つまり、機関投資家は全くと言えるほど買っていなかったことになる。しかしながら、先週位から機関投資家の買いが見られるようになったのだ。

 機関投資家主体の売りに対し、買いは個人投資家と機関投資家に変化してきた。
 この買っている機関投資家の手口には、今まで空売っていた分のショートカバーも散見されるようだが、かなりの手口はペンションを主体にした実需買いの模様。

 WDMの再浮上がいつになるのか? まだ明るい情報は期待できない。
 しかし、バリューで見た古河の株価は、メタル電線を扱う頃の水準まで売られた上、三菱電線など下位グループと同じ水準まで売られてしまったのだ。
 まるでWDMは二度と来ない、また同社の持つ要素技術を無視するような水準まで売ったことになる。

 セルサイドアナリストには、人の何倍も努力している方がいる。こうした方が根性で「買い」と言っても、バイサイドには同社に対して悲観的な見方が多かったようだ。
 しかし色々な方にヒアリングしてわかったことは、
「WDM投資が今後どうなるかわからない。わからないものには触れない。なぜこんなに下がるか理解できないが、とりあえず怖くて外す」であった。

 先日、モルガンスタンレーの長井さんのレポートの表紙を見てとても感動した。1面に大きくこう記してあった。

 『ここは我慢のしどころ 人の行かぬ道に花あり』

 よっしゃ、誰も通らぬ真っ暗な畦道をガニマタで大きく歩いてやる!
 ワシにあるのは根性のみ!

 米国の電力インフラが問題になっている。この上、WDM投資を長い期間再開しないと、米国の伝送容量余力が急低下する(長井さんのレポートに記載されとります)。
 もし再開しないと、電力及び通信インフラの弱い米国になんの魅力があるのか?それが米国の国益に繋がるのか?強いドルが国益なら、インフラの弱さからドル安に繋がるのでは? これは私の最終的に得た回答でした。

 しかしその後も古河電工の株価は下がっていく。
 そしてあまり酒を飲んだわけでもなく、メシを大食いしているわけでもないのに、最近やけに腹の調子がおかしい。食事を取ると胃袋が痛む上、空腹時でも膨満感が続き、先週からは胃薬を飲む毎日。

 昨晩、大原部長と深夜のロイヤルホストで、

大原:両ちゃん、証券界に入って勧めた銘柄で、こんなに下がったの初めてじゃない?
両津:勧めて1度も利喰うタイミングなしで、こんなに下がったのは初めて。
大原:一皮剥けたな!
両津:メチャクチャ痛かった。

 大原部長や○○○セルサイドアナリストの暖かいご支援があったからこそ、ここまで粘ることが出来た。大原さん、○○○さんありがとう。

 WDMやファイバーの先行きは楽観視できない。コーニングの通信設備投資のネガティブなコメントが出たにもかかわらず、本日は株価が上昇した。

 寄り後、古河の株価がプラスになっているのを聞き、いつの間にか胃袋の膨満感が消えていた。(両津)

 

2001/04/19(木)

古河電工(東5801) ☆☆☆☆☆

 フォローです。

 今年に入ってからWDM関連の株価下落が激しい。ポンプレーザー大手の古河電工は高値から3分の1まで下落し、ケーブルメーカーとしての評価になってしまったようだ。ルーセント、ノーテル、JDSなど米国のWDM関連企業群が昨年では考えられない業績下方修正やリストラを発表し、通信キャリアの設備投資削減や信用問題が背景にある。

 悪材料が出やすい環境の中、古河電工に対する評価は強気からホールドへの変更が相次いでおり、株価が安くなったこの局面で証券会社の言う通りのスタンスを取った方が得策なのだろうか?
 株価が高い局面でも買いを継続していたが、この安い局面ではホールドを宣言。しかし内容を聞くと売りに近い事を言う。でも中長期は買いだと、何を言っているのかサッパリわからない。弱気な見方が台頭する中、私は同社に対し信念をもって強気を継続している。

 大原部長曰く、昨年はセルサイドアナリスト10人中10人が強気をしていたという。しかし現在では10人中かなりの方がトーンを下げ、強気な買いを継続しているのはほとんどいないのでは? 私が知っている限りではHSBC証券の中尾さんくらい。

 昨年異常に強気な数字を作り上げ、この軟地合な局面で減額修正し、合わせてレーティングを修正。つまり先見性がなかったということなのか?

 中尾さんは大変な努力をされており、WDMには詳しい。私がWDMを調べるに際しては中尾さんにかなりご指導を頂き、大変お世話になった。またモルガンスタンレー証券の銀林氏と長井氏の化合物半導体レポートが非常に役に立ち、かなりの時間短縮に繋がった。この場を借りて御礼申し上げます。

 さて古河電工についてだが、果たして弱気を継続した方が得策なのか考えてみよう。

 同社はレーザーダイオード(LD)で高いシェアを得ており、今回はこのLDのみについて考える。
 LDは主に光増幅器として用いられるポンピングレーザーと、光源や受光素子に分けられ、ポンピングとそれ以外の同社製造比率はおよそ1:1。その内ポンピングレーザーは980nmと1480nm帯用に大別され、同社の製造比率は1:9と1480nm帯の比率が高い。つまりLD全体の内、約半分が1480nm帯。
 1480nmの内、出力220mW以上の高出力品はハイエンドに分類され、相当な増加を示すであろうラマンアンプに必要不可欠なものである。ローエンド品の1モジュール10万円に較べ、ハイエンドは大口ロットで15−20万円、小口だとかなり高い価格のようである。

 このLDが昨年絶好調であったとされるが、昨秋に較べ1−3月も数量ベースでは横ばいと、ピークが継続している。しかし4−6月は落ち込むとの話題から株価は更に売り込まれた。何社かの外資系証券トレーダーにヒアリングしたが、ヘッジファンドの空売りが1300円台でも出ていたそうだ。

 4−6月は数量ベースでのマイナス幅は定かではないが、10%以上は確実。20−30%程度かもしれない。同社では部材供給先にオーダーを減少させているというが、果たして20−30%程度の発注減をしているのであろうか?同社は980nm帯ではGaAsを、1480nm帯ではInpの化合物半導体基板を外部から購入し、自社でエピタキシャル加工を施しているが、LDの出荷数量が落ち込んでいれば化合物基板の購入量も落ちているはずだ。

 GaAsのインゴット引き上げメーカーは多い上、同社の980nmの比率が低いため割愛し、メインの1480nmに的を絞る。Inp基板メーカーは3社しかない。住友電工、ジャパンエナジー、昭和電工だ。
 住友電工は同社を訴えているほどの良い関係???をもっており、同社が住電工から買うはずが無い。となるとジャパンエナジーか昭和電工だが、同社はほとんどを1社から購入している。

 どちらの企業かはさて置いといて、Inp基板メーカーの4−6月生産量は1−3月に較べ減少していないのが実情。当然InpはWDM以外の用途もあるわけだが、WDM用のみでも4−6月の生産数量は1−3月期比較横ばいである。Inpミラーウエハーの単価もエピ加工の単価も下がっていない。ちょっと不自然な気がしませんか?
 WDM用レーザーダイオードモジュールの出荷数量が20−30%も減少するのであれば、Inpミラーウエハーの生産量も落ちるはずですよね。しかし現実には落ちていない。なぜでしょう?

 LDメーカーはたくさんありますが、ほとんどの企業はミラーウエハーの発注量を減少させてはいないようです。古河電工のようにシェアを保有していない、新興キャリアを相手にしていたLDメーカーで一部、悪影響を受けているところがございますが、Inpミラーウエハーメーカーにしてみれば、1社くらい受注が減少したとしても他のLDメーカーからのニーズで吸収してしまっているようだ。つまり、需要旺盛のようだ。

 ところが、4月に入りLDモジュールの出荷数量は減少。これはローエンドを中心に出荷が調整しており、在庫も減少傾向にさせている。LDは製造するもののモジュールの生産を落としている、つまりLD在庫は上昇傾向のようだ。

 機器メーカーからの受注は、まず年間の内示が出る。この内示に沿って半年、3ヶ月、1ヶ月単位で発注が行われるようだ。以前は出荷まで2ヶ月ということがあったが、最近では2週間といったケースも出ており、受注してから即座にモジュール組み立てを行う必要性がでているのだ。だからLDの在庫を大幅に減少させることはできない。

 同社は横浜でエピ加工を施し、千葉県市原の工場でモジュール組み立てを行っているが、このモジュール工場に特徴がある。アンリツや住友電工などコンペティターはモジュール工程のほとんどを人手による組み立て作業に対し、同社ではほとんどの工程を機械化している。唯一人手に頼っているのは最後のパッケージ工程の一部であり、自社設計のスペシャルマシンが2週間の納期を可能にしている。

 LDモジュールといっても標準化されているわけではないのだ。波長、出力、閾値など顧客の要望は様々であり、その要望に沿ったLDを短期間で製造できるからこそ同社のシェアは高いのである。

 話が前後しますが、同社の顧客からの今年度受注内示は前年比プラスです。しかもそのプラス幅は20%を超えているようです。キャンセルがあるのではないかと疑う人もいますでしょうが、現段階ではキャンセルは出ておらず、納期延期が発生しています(先行きキャンセルになるリスクはある)。

 新興キャリアの倒産が新聞に掲載され、ルーセントが倒産するといった噂まで出ている。日本にいると全くわからないが、偶然、NYで証券会社に勤務する先輩から電話があった。
 NYではルーセントがチャプター11(日本でいう会社更生法)を申請しても驚くことではないそうだ。日本とNYでは通信株に対する温度差がかなりありそう。
 免許の取得価格が高騰し、自由化競争で通信代は下がり、おまけに設備投資をしなくてはならない。今後どうなるのだろうか?しかしながら米国のケーブル使用率は過去最高水準まで来ており(古河電工曰く)、WDMの投資を絞ると言うことは何を意味するのか?

 AT&Tはルーセント、MCIはノーテルをメインにシステムを組んでおり、WDMシステムといえども中身は違い、ルーセントが本当に潰れたらそのメンテはノーテルは出来ず、誰がやるのか?(潰れてもチャプター11で借金棒引きになるかな?)
 WDMの投資が本当に冷え込めば通信インフラ全体の問題となり、米国企業全般に影響を及ぼすことになると私は想像する。昨年の証券界は耳が痛くなるほど、IT、ITと叫んでいたが、通信インフラが満足できるものでなければ、そのITもどうなるものか。

 一時的な投資の減少はどんな成長産業でも良くあることであり、WDM投資も間違いなく上昇傾向を示すと私は考えている。

 7−9月まで調整が長引く可能性は覚悟の上で同社を強気にしているが、他にも理由があります。

 台湾の企業がCD−Rで儲け、有機ELや化合物半導体のエピ加工に手を染めるケースがでています。しかしエピはそんな簡単なものではありません。日本酸素やエムコアのマシンを買ったから満足なエピ加工が出来ると思ったら大間違い。昭和電工は化合物の生産を秩父工場で行っておりますが、飯塚工場長曰く、LEDは可能としてもデバイス、レーザーは無理だそうです。インゴット引き上げは更に無理。

 古河電工は、かつてInpのインゴットを自社で製造していたのです。その上、エピまで手掛ける一貫メーカーであり、その技術が今のLDに活かされています。
 インゴット引き上げのみを考えると赤字のため撤退し、ミラーを購入するようになりました。そのインゴット引き上げマシンは今何処に???
 埼玉県秩父で元気に活躍し、同社にミラーウエハーを供給しております。但しマシンのオーナーは昭和電工ですが・・・。

 私は、同社が化合物半導体のプロフェッショナルだということを評価したいのです。
 古河と言えば電線メーカーのイメージが強いですが、この化合物の技術を使えばちっぽけなWDMマーケット以外でも商売ができる。この可能性を追求していただきたい。

 しかし同社ではその可能性を追求しはじめていると思われる。会社側はなんのコメントも出していないが、直近から約1000件ほどパテントを見ればご理解いただけると思います。(両津)


2001/02/20(火)

古河電工(東5801) ☆☆☆☆☆

【ポイント】
●世界シェア8割を握る励起レーザーダイオードが、今後も同社の業績を牽引する。200ミリワット以上の高出力ハイエンド品はほぼ同社の土壇場である。
 ラマンアンプが今秋から本格出荷され、製造ラインの稼働率は一段と上昇しよう。製造はパッケージング工程が難しく、同社はほぼ機械による自動化に対し、他社は顕微鏡での人的作業。最近の短納期化にアンリツ、住友電工は対応できるのか?
 3月17日に行われる展示会で次世代品の製品発表を行う。

●次世代携帯システムは、現在より短波長で距離が飛ばない。このため電波の届かぬところが多発すると考えられるが、同社はそれに対応した製品を保有。
 地上波放送も2011年で放送終了となるが、デジタル基地局用大型アンテナでは、電気興業に次ぐ2番手でシェア3割を誇り、2004年から地上波デジタル投資の恩恵をフルに受けよう。

●ローエンドのルーターでヤマハとは競合関係にある。

●現在の銅箔月産1200トンを来期上期に引き上げる。
 こうした事を背景に、WDMを除く情報通信事業も毎年5−10%の着実な成長を示すものと考える。

●電池事業:連結子会社である古河電池が対象で、当分成長は無理であろう。

●電線事業:既存メタル電線をどう展開するのか。他社とアライアンスを組むのか?光ファイバーは好調持続。

●アルミ事業も事業再構築の効果が出てきた。スカイアルミとは営業統合だが、更なる展開があるのか?

【リスク】
●WDMマーケットの4−6の状況、及びどこまで尾を引くか?
●住友電工から1480ナノメーターFBG付き励起レーザーダイオードで訴えられる。けれど住電工は裁判に勝てるかな?FBG付きにこだわる理由は?
 980ナノメーターのFBG付きパテントは、ルーセントが保有しているよなあ!
 これはパテント性がないと言われているようだが、1480ナノメ ーターは果たしてどうなの?

【投資判断】
 押し目買い・・・はずれたらごめんなさい。(両津)


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