東北パイオニア(東6827) 2001/12/25更新

2001/12/25(火)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 【状況】

 コダックと三洋電機の合弁のニュース以来、東北パイオニアは大丈夫かなあと心配している方も多いと思います。コダックは有機ELの構造特許を有しており、基本特許が切れるものの、周辺特許で特許の延命を図っています。

 そこで三洋電機に上手く生産してもらえば、恩の字ということで今回の合弁がなされるのですが、基本的にアルバックを含めた三洋、コダック連合の動きは以前から変わっていません。

 今回の発表では、いち早く量産したいということで春を目処としている点がサプライズとなりました。春に量産が始まれば、アクティブ基盤で有機ELを量産する世界ではじめての会社になるからです。

 有機ELを取り巻く状況で、前回の報告から大きく変わった点は、有機EL事業の収益性の低下です。当面は儲からない。
 小型液晶の急激な価格低下があるためです。とくにSTNは、今後も大幅な値上がりは期待できません。となると、問題は、有機EL事業が本当に立ち上がるのかという点になります。
 三洋が上手く量産に入れば、EL陣営は第一関門突破となります。

【現状 儲からないからといって、将来も儲からないわけではない】

1)材料が高価→EL材料だけではなく、電流制御という点でTABやガラスに特殊な加工が必要です。こういう問題は量産が本格化すれば数年以内に解決できましょう。

2)値段が厳しい→これは液晶の代替を狙うなら、液晶と同等の価格を実現しなければなりません。今後は価格が大きく下がることはありませんが、一度、落ちてしまった利益率はなかなか元には戻りません。

3)アクティブ基盤であれば、採用したい顧客は多いのですから、アクティブ・フルカラーを量産し、コストダウンへ結び付けられるかが課題です。


【三洋の課題 SEL基本特許と蒸着】

 三洋はわたしは個人的にまずいことになっていると思っています。

1)コダックとの特許は構造上のものですが、周辺特許へ移行していき、効力は薄れていくと思われること。

2)コダックの特許以上に強力な基本的なアクティブ基盤特許がSELが牛耳っていること。三洋はSELとの交渉は難しいでしょうから、量産時に訴訟となるでしょう。

3)訴訟となれば三洋の侵害は明確。
 SELはトランジスタで電流を制御するという基本的な特許を持っています。これは誰も逃れられない。大手各社が納得してライセンス取得に向けて動いているとき、唯一、三洋は特許戦略のミスで対応を間違えています。だから三洋は自社の製品しか搭載できないはずです。顧客に迷惑です。

4)三洋はリスクヘッジで自社製品に搭載するしかない(もちろん、それでも権利侵害の危険が高い)

5)三洋はデジカメねらいだろう。デジカメバネルは一日2時間使うヘビーユーザーでさえ年間700時間しか使用しない。半減期5年で3500時間。1万時間程度の寿命で十分だろう。

6)ということは、三洋は携帯電話への搭載はたぶん難しい。パネルの寿命が持たないでしょう。

 

【三洋の課題 有機ELの蒸着とアルバックのミス】

 どうして、有機ELの蒸着が難しいのでしょうか。
 有機材料なので低温で温度をじわりじわりとナイーブに管理しながら上げていき、一定の温度を保っていると仮定しています。
 真空度は固定していると仮定しています。
 そして、基本に忠実な蒸着をやっていれば小型基盤であれば蒸着はできそうなものです。
 そこには多くのノウハウがあるのでしょうが、東北Pの強みをよく考えれば、多分、それはFA技術ではないのかと推定できます。
 具体的にどうしているのかわかりませんが、FAである程度、物理的な制御をしているかもしれない。その制御ソフトウエアが東北Pの真髄です。

 技術の筋からいえば、大型基盤で一気にコストダウンを狙うのがよいでしょう。しかし、蒸着はそれができない。なぜならば、蒸着は点源だから大型基盤になればなるほど膜圧制御ができなくなるからです。
 面で蒸発を狙う発想があればある程度の大型基盤まで対応が可能です。そういう発想は技術の筋として当然です。

 その発想で大きく狙っているのがアルバックです。しかし、アルバックにはFAの制御技術に乏しい。よい真空をつくることはこの際、問題ではないようです。
 というのは、真空装置メーカとして名高いアルバックですが、高温の真空は難しい。しかし、低音で真空をつくるのは技術的な難易度は低いからです。
 多分、アルバックは蒸着源を上手く面蒸発とするために悪戦苦闘しているはずです。

 しかし、本当に面光源が有効なのか、膜厚さえコントロールすれば、上手くいくのか、それはそうともいえないのではないでしょうか。
 「技術の筋」論からいえば、インクジェットでできる高分子がいいに決まっている。これはどんな大画面だろうが関係ない。だから東芝は一発ねらいでがんばっています。

 技術的な難易度が高いのがインクジェット、その次に三洋、そして基本的なやり方がパイオニアといえるのかもしれません。
 蒸着という手法でしかできないのなら、EL市場も拡大できない可能性もあります。各社のアイデアでなんとか脱「蒸着」とならなければ市場拡大に弾みはつかない可能性も指摘しておく必要があります。

【ELDISという会社】

 CGSが低温ポリよりも一段上をいく特性であることは周知の事実ですが、このCGSを量産するエルディス(ELDIS)に日本を担う若手が集いました。80人の平均年齢が20才後半という若い会社です。いまSELで研修を受けています。1月に竣工式、秋に量産です。ビジネスは、このように、一から立ち上げた方が上手くいきます。

 25才程度の若手のみの100人規模の活気ある会社を想像してください。全面的なSELとシャープの支持を得て立ち上がります。

【CGS】

 問題はないと思います。シャープはすでに天理のCGSパネルの受注を取っています。レーザーアニールの後に一工夫して性能は驚くほど上がっています。

【すっきりと勝ち組を形成できなかったコダック】

 三洋・コダックは、当初、基本特許が切れる前に、三洋とパイオニアとコダックで連合を形成したかったはず。しかし、SELの存在があった。コダックの特許は現在でも構造上回避できる可能性がある一方で、SELの特許はどうしても回避できない。

 しかも、まずいことにコダックと三洋のベンチャーとなれば、これまでパイオニアとコダックはクロスライセンスとなっているものが、三洋がベンチャーを作ってしまったので、いままでコダックや三洋が使える見通しだったパイオニアの特許は使えなくなるリスクが出てきてしまった。特許の重要性でいえば、コダックの次に重要な位置を占めているパイオニアの特許を逆に三洋ベンチャーが供与を受けなければならないでしょう。そこまでやるのは、やれるものならやってみろという三洋の戦略上の対抗措置でしょう。しかし、コダックはパイオニアに対して高圧的な態度はとれそうにない。

 しかし、唯一量産をしつづけているパイオニアにSELが肩入れして、今月も先月も毎月のように大量の特許を取りに来ている。どれも実用上の優れたものだけに、ELの特許勢力図は実はもう決着がついていると考えた方がよい。そして、SELは60人のロイヤー及び知財スタッフをそろえて、実力行使を待ち構えているでしょうね。

 賠償金が跳ね上がっている昨今、パテントの意識の強烈なSELとシャープとパイオニアが組むのは思想的背景があるからだ。特許侵害に厳しく敵対するという基本戦略を経営主導で3社とも推し進めたい。なぜなら、そうする以外に外国勢とグローバルに対峙して圧勝する見通しがない。

 パイオニアが蒸着を担当、エルディスが基盤を担当するのは、多くのアナリストがいうようなプロセスだけの判別ではない。パテント状の戦略も色濃く反映されている。
 エルディスはCGSと有機EL基本特許をSEL・シャープから受ける。
 パイオニアはすでに蒸着のライセンスをコダックから受けている。アクティブになれば、また、ライセンスが必要かもしれない。
 ところが、三洋・コダックはSELからライセンス供与は受けられない危険がある。また、三洋・コダックはパイオニアのライセンス供与を受けなければならない。

 しかし、全面的な戦争を避ける妥協点の基地としてもエルディスは使える。非常によく考えられているといっていいだろう。
 コダックはライセンス供与のビジネスがメインだから妥協せざるを得ない。エルディスの競合は、TFT基盤メーカで兵ぞろいだから、SELはライセンスで簡単に妥協するはずがない。特許だけでなく、CGSの画面の質で敵を圧倒しようとしている。

 絶対に勝たなければならないという決意が、三洋とコダックにはない。なぜなら、コダックは基本的にライセンス料ねらいだし、アルバックには有機ELは100あるうちの1つの分野にすぎない。どうしても勝たなければならないパイオニアとSELとシャープ。
 要するに、どんなビジネスも雌雄を決するのは最後は必死さだけだといっておこう。

【東北パイオニア】

 2002年は明るい話題が多いので、業績は冴えませんが、株価は持ちこたえるでしょう。
 フルカラーのラインは搬入が始まっています。 新規採用の話がユーザーサイドから出てきます。

【日本を支えるんだという気概のあるグループ】

 こんな小さな街の会社が世界ではじめてELを量産してしまったことに最初は驚きました。
 バレーボールが強い。地元では有名です。
 米沢の駅前にみよしという焼肉屋があり、狂牛病騒ぎのなか、米沢牛を食べてきました。
 ビールは最初の一杯無料にしてくれます。
 焼肉屋のみよしさんのお嬢さんは東北パイオニアに働いています。

 わたしが「お嬢さんは世界一の企業にお勤めなんですよ。知ってましたか?」と聞くと、「そういうことをいってもらると本当にうれしい」とおかみさん。
 でも、おかみさんはELってなに?っていってました。

 韓国や台湾や中国には負けないぞという気概で、SELやパイオニアやシャープはがんばっている。無論、三洋もアルバックも負けじとがんばっている。
 わたしは国粋主義者ではないですが、やはり、「日本に産業を残そう!」という気概なしに、大きなリスクをしょって事業なんかできるわけない。
 エルディスの小笠原社長は随分とやつれてしまって、そのご苦労は大変なものと察しました。(大原)

 

2001/05/08(火)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 同社の前期決算及び今期業績見通しが発表された。

(単位 億円)

【連結】
売上高
営業利益
経常利益
NET
EPS
00.3
660.9
36.7
33.5
20.8
129.2円
01.3
757.1
48.1
55.2
29.2
145.9円
02.3計画
770.0
35.0
21.0
105円

 

【前期業績】
 北米カーオーディオ向けや携帯端末用スピーカーが好調で、スピーカー事業の売上高は390.4億円と前年比12%の伸長を見せた他、北米向けCDメカニズムの販売が増加し、メカトロ事業の売上高も245.5億円と前年比17%の続伸。
 有機ELはパイオニアカーオーディオ向けに新規採用が増えた他、モトローラの携帯電話向け出荷が始まり、有機EL事業としての売上高は45.5億円と前年比倍増以上の135%増となった。
 なおFA事業は予想外の検収ズレから51.9億円の売上高に止まり、前年比12%減少となっている。
 このため、トータルでの売上高では757.1億円と前年比14.6%の好調な伸長率を示し、円安の影響と原価低減も手伝い、営業利益で前年比31%増益、経常利益で65%増益を達成した(為替は110円でフィックス、為替差益4.8億円、売上原価は前々期の86.6%から85.3%に低減)。

 なお有機ELについては、パイオニアカーオーディオ向けが月間5万枚レベル、携帯電話向けが昨秋5万枚程度、12月が30万枚、1−3月は約20万枚のペースであり、2月単月では償却を含め有機EL事業としてほぼ収支トントンまできたが、01.3月期ベースでは約20億円の赤字事業と、前年並みの収益に終わった。

【今期の会社計画】
 今期の会社見通しは、堅めな予算を組んでいる。
 対外的には有機EL事業の懸念を思い浮かべるが、減益見通しの要因はスピーカー事業と今期の償却負担にある。

1)スピーカー事業
 前期連結のスピーカー事業売上高390.3億円に対し、今期は376.8億円と3%ほどの減少になると会社側では見ている。前期390.3億円の内訳は、自動車向けが270−280億円、非自動車向けが110−120億円。
 詳細までは公表しないが、米国新車販売の懸念とGM向けの出荷減少、非自動車売上の内、約9割が携帯電話向け、かつその内6割がモトローラ向けでその悪影響がモロに出ると予想しているためだ。
 自動車向けスピーカーはメキシコで生産し販売を行っているが、販売単価の面で影響が出ているかもしれない。スピーカー技術では文句の無い同社だが、製造システムを考えた場合には何らかの梃入れが必要か?
 携帯電話向けスピーカーの出荷数量は、昨年のピーク時月間500万個からだんだんと減少し、足元300万個レベルの出荷まで落ち込み、単価も昨年ピーク時より10数%ダウンしている。このため同社では、悲観的シナリオに沿った予算を組んでおり、今回の決算説明会でも社長自らがコンサバティブかつ売上高は是が非でも前期比プラスにすると言う。
 携帯電話の在庫調整や部品の価格競争には注意が必要な他、GM向けの減少を他顧客で取り戻せるかがポイントとなろう。

2)メカトロ事業
 前期は売上高245.5億円、前年比17%増から足元の受注状況を加味し、今期は231億円と6%の減収見通しを立てている。但しスピーカー事業同様、DVDピックアップの着実な成長期待があるものの、相当堅めな予想をしていると思われる。

3)FA事業
 前期売上高は51.9億円と、前年比12%減少に終わっている。検収のズレという会社側の予想外の展開が、減収の要因となった。但し、受注残は50億円ほどあり、この売上や自動車以外の売上拡大により、今期以降も着実な成長を示していくものと思われる。

4)有機EL事業
 前々期の売上高19.4億円から前期は45.5億円と大幅に拡大した。パイオニアカーオーディオ向けの拡大や、昨年末からのモトローラ向けが売上増の背景だ。
 モトローラのタイムポート向けは昨年の年末30万個、1−3月が月産20万個レベルが、足元減速し5万個レベルになっており、今上期中はこのレベルでの推移になりそうだ。
 下期にはタイムポート以外のモトローラ端末や、他の携帯端末業者への納入が開始される予算編成をしており、上期20億円、下期40億円のイメージである。
 同社はスピーカー事業も同様だが、携帯端末向けはモトローラのウエイトが大きく、リスク分散が図れておらず、モトローラ次第の側面が非常に強い。他の案件よりモトローラ向けに技術陣営も傾けているため。しかし同社ではこうした点を見直すほか、有機ELのマーケティング方針を変更する。

【コメント】
 今期は償却負担が前期比較4億円強増える見通しだが、為替の円安を考慮すればある程度相殺できるものと推測する。しかしながら減益要因のかなりの部分がスピーカー事業であることは予想外であった。
 GM向けのダウン及び、世界自動車生産ダウンを背景にした減収だが、前期比若干の減収に収まると見ている。中長期的に数%ずつの成長路線に戻ると見るものの、同事業の売上全体に占める比率は約半分を占めており、リスクファクターとしての認識をする必要があろう。
 有機EL事業の前期赤字は、前々期と同様のレベルである20億円の赤字であった。昨年末からの好調な出荷を背景に、償却を含めた2月の収支はほぼトントンになったものの、この4月からは赤字が継続している。
 私たちの予想では、4月以降黒字転換した上で、下期から新たな顧客向けに出荷が始まると予想していたが、現実には足元のモトローラ向け出荷が5万枚レベルと低調なのが現状。新たな顧客向けに同社では人員を割り当てるが、この新規顧客が仕様の設計などで数ヶ月遅れるリスクも孕んでおり、今期の有機EL売上は慎重に見たい。

 有機ELマーケットが立ち上がる段階であり、顧客側も有機ELを利用した新製品=新たな挑戦、つまり慎重な側面もあろうか。
 同社業績を予想する上で、パネル出荷予想を出さねばならないが、予想と結果が相当な乖離を生じる可能性がある。同社の当初ロードマップによれば、有機ELの今期売上高は170億円であったが、100億円に減額され、今回60億円と再減額された。償却負担を踏まえた収支はパッシブパネルが来期収支トントン、アクティブが10数億円の赤字と同社では発表し、有機EL事業の投資回収という面から見れば、1年もしくは1.5年遅れるという認識を証券界は持っている。

 しかしアクティブフルカラーパネルの設備導入は現在進行中となっており、若干ではあるが計画を前倒しで進めており、投資家から見た将来の期待に応える手立てを着々と打っている。

 先だって、あるブローカーから同社についてのコメントが出されている。半導体エネルギー研究所、シャープとの合弁が発表されるまで、同社は低温po−Si基板を持たないのがネックであると言われていた。それが合弁設立で解決され、その3月後のレポートには「材料としては株価に織り込み済」。
 しかしCGSならではの特徴がある筈だし、そのメリットを生かした応用も他の基板に較べ可能性があろう(昨晩、大原部長は深夜の営団地下鉄内で私に訴えていた。その後、2時まで東北パイオニアの話題で盛り上がり本日は眠いです)。

 でもセルサイドのレポートには、そのような可能性から投資家に夢と希望を与えるような内容はほとんど無い。

 有機ELの応用先はカーオーディオと一部携帯電話のみで、その将来性は非常に有望。その構造から液晶以上の可能性もあろう。ディスプレイの技術革新は我々の生活スタイルさえも変えてしまう可能性があり、そのなかでも有機ELは特に注目されている。

 日本発の世界的技術、正確に言えば山形県から世界で唯一の有機EL量産パネルが出荷される(TDKも量産しているが、有機EL企業としての評価は受けていない)。

 非常に素晴らしいことだ。時価総額800億円ほどの企業が、合弁企業の投資も含めて数百億円を投じて、この日本発の技術にチャレンジしている。
 保守的な企業ならその資金負担や技術困難さから敬遠するはずだが、ちっぽけな東北パイオニアは果敢に挑戦している。

 短期売買も結構だが、この可能性に賭ける方には保有して頂きたい銘柄だ。

 それが本当の意味での投資となろう。(両津)

 

2001/02/22(木)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 本日2001年2月22日は、日本のエレクトロニクス史上、記憶に残る日となろう。世界で初めてのアクティブマトリクスEL専用基板工場建設が発表された日である。

 1ヶ月前、「頭の体操」として、EL専用TFT事業の提携先を勝手に予想した(1/19(金)配信分)。東北パイオニアから提携先の発表があった。やはり、半導体エネルギー研究所とシャープとの連合軍となった。

****OELアクティブ基板専用工場****
1)世界初のEL専用TFT工場となる。
2)低温ポリのTFT基板量産は3社とも未経験である。
3)設備投資は400億円規模
4)シャープは、ELへの足がかりを得た
5)半導体エネルギー研究所にとっては、基本特許に加えて、製造特許への展開を確実なものにする
6)東北パイオニアは、アクティブへのアクセスを得た。また、EL蒸着などのノウハウ流出を防いだ
7)3社すべてにとって意義深い提携である。3社にポジティブな決断である

 しかも、シャープは液晶がメインで、ELには当面出てこない。パイオニアにとっては、TFT量産のノウハウは頂けるが、シャープがEL製造しない限り、そのノウハウは流出しない。
妥協してソニー、東芝、三洋と組むよりは格段によい選択となった。

****特許の活かし方 半導体エネルギー研究所****
 TFT基板中心に1000件以上の特許で収入を得ている日本では稀有の会社である。特許だけで飯を食っている会社。
 今後、プロパテントが世界的な潮流になることを考えるとき、そして、新興アジア勢力との競合状況を鑑みるとき、日本の技術優位を制度的にグローバルに保証する必要があろう。

 東北パイオニアとシャープの経営者は知的財産権の重要性を痛感したのだろう。パイオニアとシャープが、半導体エネルギー研究所の「企業としてのあり方」に触れたとき、単なるエネ研への感心から、実際に「戦う」特許戦略へ方向転換してくることが予想される。特許会社としての半導体エネルギー研究所の存在が、大企業の戦略にまで影響を与えたことが、今回、非常に感慨深い。

 シャープは、液晶分野ですでに5000件程度の特許を出願している(表1)。毎年コンスタントに500程度の出願を継続している。この傾向は1994年から見受けられる。これが登録ベースでみるとよりわかりやすい。94年にわずか31件が近年は年間200件以上の登録となっている(表2)。
 CGS関連の特許は20数件である。低温ポリTFT基板に関しては物足りない。そこで、半導体エネルギー研と組む必要があったのだろう。

 

表1
シャープの液晶関連の公開件数公開年ベース
1993年
292
1994年
560
1995年
473
1996年
477
1997年

490

1998年
225
1999年
227
2000年
523

 

表2
シャープの公告登録件数公告年ベース
1994年
311
1995年
831
1996年
126
1997年
178
1998年
225
1999年
227
2000年
240

 

 今回の東北パイオニアの判断はベストであろう。なぜ、三洋陣営から離脱したのか、特許面でみてみよう。
 EL本命といわれる三洋であるが、意外なのは、EL関連特許の登録が2件だけ。三洋は特許的には非常に弱い。駆動等では出願は多いが、ことデバイス本体に関しての権利化は後手。
 シャープと三洋の違いは、経営陣の思想の差であろう。シャープは会社として、プロパテント戦略を打ち出そうとする局面と推定される。一方、三洋は、特許軽視とも取られかねない戦略をとっている。これでは、東北パイオニアとの提携どころではない。

 さて、今回の3社の発表であるが、事前の活動では、憶測するしかなかった。さすがに3社とも口が堅く、今朝の日経に掲載されるまで、私自身、まったく確信が持てないでいた。情報管理の面でも東北パイオニアはしっかりしていた。小笠原副社長に「シャープではないのか?」と再三にわたってお聞きしたが、「なんでシャープなの?あそこ低温ポリ作れるの?」と絶えずはぐらかされていた。一本とられた大原でした。

【特許戦略】
1)3社は、パテント収入へ貪欲になる。儲けてなんぼの世界である。当然そうなるべき
2)特に、今回のEL専用基板量産に向けて3社は、基本特許をすべて押さえ、さらに製造特許に関しては、特許という特許をすべて押さえ権利化するつもりだろう
3)シャープは、液晶についても特許戦略を真剣に考えているはずである。権利侵害へと行動すべきだ。韓国勢は狙い撃ちにあうだろう
4)NEC、三洋は、あまりにも無防備である。甘すぎるのだ。松下は論外。研究者を評価するために特許はあるのではない

 1月に掲載した時点で、誰よりも正確に「億の近道」は、この3社提携を予想した。短期業績の予想よりも、長期的な提携先の予想のほうが、意味は大きい。われわれ証券業界は、短期の需給や業績動向に興じるよりも、意味のある提携を真剣に議論すべきであろう。生き残りをかけた壮絶な戦いの結果として、将来の業績があるのである。

 株主は、自らが応援する企業に対しては、惜しみない協力をするものである。その意味で、時価総額も手ごろな東北パイオニアは、三洋やNECよりも、株主からの情報提供は格段に良質なものになる。至極当前のことである。
 市場重視というのは、まさに、このことである。企業が本当に市場重視なら、事業リスクをできるだけ単純化すべきであろう。

 専業メーカが資本主義でしぶとく生き延びる理由もここにある。簡単な理屈である。それを無視する限り、大企業再生の道はなかろう。(大原)

 

2001/01/19(金)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 億近で取り上げた東北パイオニアが、1/18、一時、ストップ高となった。しかし、有機EL事業へは、今後も、多くの参入が予想される。東北パイオニアは、まだまだ、乗り越えなければならない課題がある。フルカラー化成功のカギをにぎる低温ポリシリコン基板をどう調達するのか。その確信が得られない。

 そこで、今回は、頭の体操、提携先を大胆勝手に予想した。(不謹慎かもしれないが、ご了承を)。
 先日のCGS液晶の発表が好感された形のシャープ(6753)。そして、シャープがCGSで提携先に選んだ半導体エネルギー研究所(非上場)。
 パイオニアとなにか接点は、ないだろうか?半導体エネルギー研究所とパイオニアは、EL事業で提携しているからだ。

1.半導体エネルギー研究所(非上場):
【長所】
 OELアクティブ駆動方式に関する基本特許を有す。
 TFT専門家である。
 CGS共同開発(シャープ)である。
【短所】
 量産ノウハウがない。
 小規模な会社である。
 多額の設備投資負担が出来ない。
 マンパワーが限られる。

2.東北パイオニア(6827):
【長所】
 世界で唯一、OELの量産を開始できた会社であり、量産に関するノウハウがある。
 すでに、多数の受注を受けている。設備投資の余力はある。
【短所】
 高速TFT基板がない。

3.シャープ(6753):
【長所】
 CGS量産投資を決断した。
 TFT回路技術力がある。
 TFT量産ノウハウがある。
【短所】
 OEL開発で出遅れた。

【提携はありえるか】
 3社を足し合わせると、長所が際立ち、短所がすべて消える。単なる希望的観測である。さて、アクティブEL回路については、コダックに基本特許があるとされてきた。しかし、半導体エネルギー研究所は、すでに、1991年に、アクティブ型ELに関する基本回路特許を出願し、権利化した。コダックの回路特許出願が1995年である。コダック・三洋連合とエネ研・パイオニア連合との戦いになるのか。シャープ参戦で、趨勢が決するかもしれない。
 TDKとエネ研は共同開発をしている。市場は、ELに関しては、三洋の圧倒的優位を信じているようだ。勝負はこれからである。(大原)

 

2000/12/27(水)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 注意を喚起したヒューネット(8836)がなんと400円台に低迷するとは。売りを推奨している豊田合成もよもやこんなにに早く2500円になってしまうとは。世の中は、特許重視の流れ。両者に共通するのは、特許戦略のなさである。

 さて、東北パイオニアがモトローラから大量受注というニュースが日刊工業新聞に掲載され、本日、ストップ高となった(4280円買い気配)。しかし、量産の数字が一人歩きしている感じは否めない。日刊工業記者の憶測も一部入っている。もともと予定されていた受注であり、サプライズは、2モデルの予定が、3モデルに搭載される予定になったことにか。

 昨日、三洋電機(6764)の有機EL事業の現状を書いた。そこでの主張通り、パイオニアは、量産の実勢を盾にして、なりふりかまわずに、早急に、低温ポリシリコンTFT工場の建設に入るべきだ。東芝ならベストで、投資負担はあっても、TFT量産時の当初歩留まりはあまり心配することもなかろう。ソニーであれば、やや心配だ。その他の業者との提携であれば、株は売り込まれるかもしれない。TFT単独立ち上げなら、当面は売り場となる可能性もある。

 技術流出にこだわらないで、早く、有力なパネルメーカと提携してほしい。ここで話をまとめあげ、大型投資に踏み切れば、大きく市場シェアが取れるだろう。目が離せない。(大原)

 

2000/11/21(火)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

【有機EL加速】

 先日、両津さんとアシスタントの中川巡査君と3人で米沢工場を訪問。話が盛り上がり、気がつけば深夜の1時。思いがけず宿泊。2日がかりの取材となった。

・ELフルカラー化は半年早まった。
・モトローラの対応が改善。発売されたELモデルは末端で50〜100ドル高く取引された。
・引き合いがすさまじく、極端な売り手市場になるつつある。
・高分子派からのアプローチもエスカレートしている。
・しかし、やはり、低分子が本命と判断している。
・蒸着工程。どうしても不純物が出てしまう。不純物の処理が量産の決め手だ。
・隔壁の形状、乾燥剤の注入など、製造特許に自信を深めている。
・アクティブ基板は必須。これは供給を受けるというスタンスではすまない。単独でやる技術はない。となると選択はひとつ。
・半導体エネルギー研究所がパイオニアをもっとも評価。
・封止工程。アルミ成形の数十ミクロンの平坦度は従来の小型スピーカーの技術の転用。
・低分子赤の発光効率改善。5V駆動を達成した。毎月のように改善している。
・低温ポリシリコンは有機ELのためにあるようなもの。寿命が劇的に延びる、消費電力が下がり、回路スペースが助かる。
・蒸着ライン2本目は2月稼動。(小型パネル月産50万枚:10cm2換算)
・携帯電話セットメーカのほとんどはフルカラー採用となる。フルカラーは蒸着の3本目のラインで達成。装置の発注は秒読み段階。
・三洋、コダック、日本真空技術の連合と一線。
・懸念は技術陣のマンパワー。複数のセットメーカーに割けるだけの人員がいない。
・設備投資のニーズは大きい。
・量産実績で先行できたことは大きい。広範囲の温度試験など、ユーザーからの要求に対応することが、ELのさらなる新特性を理解することにつながっている。
・また、すべての化学メーカーがパイオニアに集結している。量産している唯一のメーカだからだ。

 

<億近コンサルタント一言コメント>

 有機材料は無機材料に比べて不純物がかなり多いですからね。蒸着が難しい理由。
 精製するにしても限界がある(99.99%程度か)。0.1%以下の精度で純度を決定できないのが原因でしょうか。
 これだとスペックが決められない、結局純度99.9%と言う形でしか出せない。無機材料で出てるスペック99.9999%とかは絶対出ない。
 純度が悪い無機物の真空蒸着の場合、蒸着材料を導入したときは必ず高温でベーキングして不純物を取り除くという作業を行います。真空炉中で再精製をかけてるわけです。これは有機物のカットが主目的でしょうね。
 でも、有機材料の場合はこの手法が使えない、ベーキングしたらそれ自身も分解してしまいますから。ppmオーダーのドービングでも特性の変わる半導体で、この不純物の問題は結構きついですね。OEL最大の壁かもしれません。

 

<バイサイドの皆さんへ、周辺取材される方のために>

 有機ELで詳しいセルサイド→大森栄作さん(JPモルガン)。研究室の大先輩が東北パイオニアにいるからね。
 装置メーカー→トッキ。柔軟な開発姿勢。理論で固まった日本真空技術よりパイオニアの評価は高い。
 装置メーカー→Vテクノロジ。12月IPO。この蒸着時不純物の問題を解決しようとしている。しかも高分子で。パイオニアへのアプローチで活路を見出そうとしているようだ。露光プロセス導入で突破しようとしている様子。
 三洋電。低温ポリシリオン事業保有。コダック、真空技術と陣営を組む。
 コダック。自ら参入表明。パイオニアの特許がクロスされており、量産に一番近いとされている。
 高分子陣営は東芝、エプソン、ダウ、三菱化学など。量産の壁が立ちはだかる。窮地。
 低温ポリ:東芝、三洋、ソニー豊田。どのような連合になるのか。いずれにしても、有機EL専用ラインが視野。(大原)

2000/10/23(月)

東北パイオニア(東6827) ☆☆☆☆☆

 【4000円を割れた21世紀の両雄:エンプラスと東北パイオニア】

第二回 東北パイオニア 目標今後2年間で9000円目処

【有機EL】
◎2.1インチ型のアクティブ・マトリクス方式カラー有機ELパネルを開発。2001年の量産出荷を目指す。開発したパネルは4096色表示で、画素数は176×192画素、RGBの画素の配列はストライプ配列、開口率は約40%である。
◎EL事業は今期50億円来期は100億円の大台が視野。携帯パネル向け本格化及び自動車向け搭載比率アップ
◎アクティブ化。ドライバIC設計では本社が注力。3年後パッシブは基板のプラスチック化(軽い割れにくいフィルム)が進む
◎強力な隔壁形成製造特許。隔壁の形状自体に特許がある。各社が歩留まりを上げるためにはこの特許が壁。隔壁(高さ1μ、ピッチは30μ)の形状はテーパー、マッシュルーム型のため、第1と第2電極がショートしない。
◎膨大なコストカット余力。ICなどの調達、パックエンドの組み立ては手探り状態。試行錯誤のモジュール工程のコストは今後2年で半減できる
◎効率は、Gが15(lm/w)、Bが8(lm/w)、Rが2(lm/w)。ちなみに蛍光灯は無機材料で60(lm/w)を達成している。OELはついこの間まで赤を駆動するのに30Vかかっている。山形大学の城戸先生は、100(lm/w)まで改善したいとしている(しかし、100は理論における最大値であり、無理)。UDCという会社が30を達成して今、世界チャンピオン。東北パイオの当面の目標は赤が4(lm)までの改善。達成できる目標であり、そうなれば爆発的に普及(20V以下の駆動でよいから)。
◎伝導率の悪いニッケルやクロムの代替材料も目処をつけている
◎蒸着ラインは1本8億円程度。封止機械は自社。
◎参入障壁に対する投資効率の高さが際立っている。
◎ドライバICのDMOSは0.5μのプロセス。格段に改善の余地がある
◎必要なところにだけ電流供給できるアクティブが必ず主流になる。20cdを達成するのは、20mWでよい。
◎アクティブだと低電圧でも、デューティが稼げるから、供給電流は確保できる。電圧をかけていられる時間がパッシブより長いため。パッシブだと走査に忙しく、電圧波形が立つ。LCD以上にアクティブへの展開は急に始まる。
◎歩留まりは90%
◎3年で300億円程度の売上になる。現状の赤字から事業利益率10%程度へ改善。東北パイオニアのトータル経常利益は100億円の大台へ。3年後 (2004年3月)のEPSは300円。目標株価は9000円。
◎素子開発は日本化薬などと共同作業。高分子へ実用化も待っている

【LCDとの競合】
◎セットメーカ側は液晶よりELを選ぶ。液晶の部材の多さ、効率の悪さは、根本的に改善されることはない。FS方式でカラーフィルタを省いたり、反射式でバックライトを省いたりするのは、100のコストを70にする局地的な対処療法に過ぎない。
◎一方、基本構造が素子と電極という格段にシンプルなELは低分子から急速に普及し、高分子へと移行し、大画面化を達成していく。ELのコストダウン余地は、材料、素子・隔壁などで5割、ICで8割、TFTパネルで7割、組み立てで7割残っている。液晶の価格の半額でも利益が出せるだろう。
◎ELは今後、さらに高分子化、プラスチック化、アクティブ化が図られる。セットメーカなら、ELを選ぶはず。なぜなら膨大なコストダウン余地が期待できる上、性能の高さ、動画への対応力、消費電力の少なさ、軽さ、薄さ、すべての面で液晶を圧倒するからだ
◎ELに関しては、87年に発見されたコダックの画期的な素子アルミキド(Alq3)は、2003年に特許がきれる。しかし、そのタイミングで参入するようでは遅い。ELはパイオニア、三洋、NEC、シャープ、TDKが大きく先行した
◎日本が多くの特許を押さえる可能性が高い。ディスプレイ分野への化学業界の思い入れは半導体以上だ。高分子、低分子などの素子開発に本腰を入れている。ELの発光効率は心配ない。そして寿命も心配ない。
◎液晶を生かさず殺さずした。そうすればELの価格は安定する。日本勢がEL特許を抑え、日本勢でクロスライセンスをすれば、十分、韓国や台湾に対抗できる。台湾・韓国の追い上げを許した液晶の失敗を繰り返してはならない。

【ELアクティブ化】
◎東北パイオニアは低温ポリシリコンの供給先を確保した模様
◎液晶の代弁者シャープのELへの危機感はすさまじい。業界を混乱させないように、黙って東北にポリシリコンTFTを供給する確率が高い。
◎TDK、三洋を含め日本連合は知的財産権を盾に、結束している。日本が世界を制覇する
◎先行しているといわれる三洋は、当面、パッシブでスタートする。パイオニアは十分追いつける
◎ELのアクティブ基板である低温ポリ陣営に朗報。播磨が発表した低温プロセスの高圧アニール。20気圧の高圧化で加熱。600度Cの温度。硝子基板上でシリコンを多結晶化する際、従来はレーザで幅0.5ミリで断続的な照射していた。
◎レーザの制御(温度にムラが出るため)が難しく、低温ポリの歩留まり(40%)が上がらない要因だった。播磨の機械では歩留まり80%になる

【パイオニア】
◎DVD、PDPに活路がたたれつつある今、パイオニアのリソースは大きくELに注ぎ込まれた。社運をかけて、ドライバICの設計など、パイオニアを挙げてELをものにしなければならない。パイオニア生き残りのキーはELだ

【EL基板のプラスチック化】
◎9/27にパイオニア本体がフィルム基板の有機ELパネルを開発。世界初。基板をフィルムにすることは軽量、割れにくい以外に将来大きな意味を持つ
◎有機ELの弱点は水分に弱いこと。プラスチックフィルムではシールがどうしてもガラスより弱くなる。今までは実用化が困難だった(ガラス基板でもシールは依然として問題)。
◎これらを解決する目処が立った。有機ELが実用化に向けて大きく踏み出した
◎EL製造の東北パイオニアが本社からプラスチック基板EL製造を委託される優先権がある
◎プラスティックでアクティブ化。TFTが作れないか?随分やられてきたが、なかなか難しい
◎半導体プロセスベースのTFT形成工程に、プラ基板が耐えられない
◎もちろん別なプロセスで、という試みもされている。
◎この方面では、半導体エネルギー研究所という会社が、精力的に研究/特許出願をした。アクティブ化とプラスチック化という意欲的に「二兎追う」エネ研とパイオニアが組んでいる意味は重大
◎基板材料側からのアプローチも追い込みに入っている
◎2003年に量産

【高分子EL】
◎高分子ELの特徴は通常の低分子系に比べて、1)加工性がよい(溶液にして印刷することも可能)、大画面化可能、2)耐熱性が高い、3)機械的強度が高い、4)材料の選択自由度が高い、高分子の主鎖や置換基をいじるだけで任意の発光波長を得られる。中期的に本命は高分子
◎特許は日本勢が基本特許を抑える可能性が高い
◎今後、化学メーカも最重点分野は、量の確保が確実なディスプレイに軸足を移す

【モトローラ(優先顧客)】
◎米Motorola,有機ELパネル関連技術を米UDCに供与。米Motorola社は,同社が保有する有機ELパネル関連技術を米Universal Display Corp.(UDC)に供与すると発表
◎EL業界が動き出した。セットメーカは続々と採用を決めるだろう

 (執筆は億近コンサルタントチーム&大原2000年10月20日)

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