デンソー(東6902) 2001/02/15更新

2001/02/15(木)

デンソー(東6902) ☆☆☆

 1999年、2005年に向けた長期ビジョン(ポリシー)を長期構想として発表。昨年4月から事業の評価方法を従来の売上・利益の絶対金額のみから、ROAやフリーキャッシュフローを加味し、投資効率を重視する方向に変更。
 売上高を1999年3月期比で1兆円増やし、2.7兆円の売上を2006年3月期に達成させる計画(ROEは10%を目指す)。対象商品34の内、既に14の商品が世界ナンバーワン商品(1998年)だが、それを22まで増やすとともに、全体のボトムアップを図る。

 この1兆円拡販のその中核を成す物が3つのC。3つのCとはカーエアコン、カーナビゲーションを含むITS関連商品、コモンレール(高い精度の高噴射が可能なインジェクションシステム)。

●カーエアコンシステムの世界シェアは22%−23%で、世界ナンバーワン。日本市場はほぼ全てにエアコンが標準搭載され、日産を除く全てのメーカーに納入。ターゲットは海外市場。米国市場のトラック及び納入率の低いGMや、欧州でエアコン装着率の低い小型車をターゲットにしていく。

●カーエアコン市場は2極化が進む。同社の強い高級エアコンと、小型車が搭載するコンパクトタイプ。同社では技術・信頼性ナンバーワンを目指していた関係上、小型乗用車向けにも高級車向けの技術を応用し、オーバースペックな商品を作っており、そのため他社より高い販売価格となっていたのが実情。
 しかし今後の拡販をする上では、この小型車向けに信頼性を保ったまま機能を限定し、コストを下げた商品を投入していく。 小型車中心に展開しているイタリアのマニェティ・マレッリ社(欧州シェア10%)の買収交渉は、この戦略から来ている。

●燃料系はガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用に大別。

●ディーゼルエンジンはエネルギー効率の観点から、内燃機関最高のパフォーマンスを実現するものの、排ガス中のNox(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)対策が難しかった。ところが技術革新により、かなり改善の見通しが立ってきた。それがコモンレールである。 高い圧力をかけながら自由自在な噴射が可能となるシステムであり、触媒・DPF(NGKIが製作しているものもある)と組み合わせることでかなりクリーンなディーゼルエンジンを作ることが可能となる。このコモンレールに参入している企業は、ボッシュ本体、ボッシュオートモーティブシステム(旧ゼクセル)、と同社のみで、2グループに集約されている寡占マーケット。
 日本では昨年からRV車など乗用車にもコモンレールが搭載され始めた他、2003年から硫黄分50PPM(現状%500PPM)の軽油が登場する前提で、画期的なコモンレール&触媒機構をトヨタと共同開発済み。 前にもお伝えしたが、この機構は車の走行やアクセル開度、負荷に関係なく、触媒の還元状況を見ながら、エンジンの燃焼を瞬間リッチにし一気に還元を行なう、微少な燃料噴射を可能とするシステム。石油連盟は50PPMにと言ってはいるものの、色々な政治的問題がある模様で、このシステムが世に出る時期は石油会社次第。
 欧州マーケットはボッシュがほぼ100%を押さえている独占状態だが、コモンレール搭載車の比率は低く、ビジネスチャンスは大きい。現状赤字部門だが、数量さえ出れば黒字転換は容易。

●ガソリンエンジン用は、リーンバーン化やハイブリッド車の躍進次第。

●新事業に属するITS関連が、将来大きな柱になりそう。前期新事業売上高のうち、自動車通信関連は約250億円と少ないものの、自動車の情報基地化によるカーナビシステムの拡大や、高速道路のETC、道路交通・自動運転システム、非常時自動通報システムなどのインフラ整備や、端末需要など大きなマーケットが見込めそう。

●自動車部品業界を取り巻く環境は、財務・技術面などのトータル力が発揮される局面にきており、むしろ同社にとってはチャンスではなかろうか。

●投資効率の悪いビジネスが存在するものの、評価基準の変更で採算性も向上するであろう。

●米国自動車市場が、今年度数%程度のシュリンクが(1600万台割れ)起きても同社の業績は増収増益を維持できよう。

●但し、売上1兆円拡販が会社計画通りに進むかどうかは疑問が残る。

●来期からは設備投資が減少し、減価償却は今年がピークになり、利益的には拡大局面に入ると考える。今期の売上高は2兆円前後の着地を予想。経常利益は会社が計画する1350億円は楽々クリア。同社をストロングバイで見ているソシエテジェネラル証券の松本氏は、1480億円と超強気。
 松本さん、今期は儲かっていることを会社側も認めていますが、設備に金をかけるようで、松本さんのレベルまでは行かないみたいですね。私は1400億円程度を予想しております。

●バリュエーション株価2320円は今期実質PERは28倍程度。来期は20倍台前半。95年5月以降の株価推移では割安なレベル。但しEV/EBITDAだと7.5倍程度で、グローバルサプライヤーの3−5倍に比べると割高な上、都銀の持つ株式ポートフォリオに占める時価総額の中で、同社株式は上位に位置しており、株価上昇の上値抵抗として働く可能性がある。(両津)

 

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