日産自動車(東7201) 2002/10/26更新

2002/10/25(金) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 中間期及び通期業績修正見通しを発表。
 
売上高
営業利益
経常利益
NET
EPS
02/9
3280
348
323
268
63.2
03/3
6800
720
660
490
108.5
(単位10億円、EPSは単位円、通期EPSは4517千株をもとに算出)

 中間期は、MICRAのモデル末期である欧州販売を除き増加。日本が+12%、北米+8.3%、その他16.5%とトータル+7.5%。新車が売れている他、モデルミックスの改善、インセンティブの削減、コスト削減が功を成し、前年比+84%もの大幅営業増益を達成。通期販売台数7.5%増から9.2%増の283.8万台に引き上げ、従来売上6.5兆円を6.8兆円に増額。

 営業利益率は前下期の9.3%から今上期10.6%と、日本メーカーにおいてトップの利益率。おそらく世界的に見てもトップ企業であろう。通期では利益率10.58%を提示。

 03/3期営業利益7200億円はマーケットコンセンサス約6000億円を1000億円程上回り、大きなサプライズとなっている。日産は1$=125円前提と公表しているが、$での部品購入が130円、完成車輸出での受け取りを115円で設定していると個人的には考える。円高局面に振った際にゴーン社長が”大丈夫”といったのは、為替のバッファーも持ち合わせていたことと推測している。よって現在の為替水準が続けば、7200億円をオーバーし7500億円程度の着地と読む。

 徹底的な購買コスト削減、つまりゴーン社長はあくまでコストカッターであるとの意見を耳にするが、かつての日産の代名詞である”技術の日産”の持つ設計力を活かしたVA、VEによる利益の創出を忘れてはならない。この設計力によるコストカットと、単純な購買コストカットの比率を考えてください。

 これら新生日産の生み出す利益の出る新車が米国中心に成功しており、来期も同様に堅調な推移を見せよう。

 一方、非常に優秀と言われているアナリスト中心に、レポートベースでは買いもしくはそれに近いレーティングを付けてはいるが、口頭ベースでは”日産は止めとけ”とのコメントがいまだに健在らしい。
 なんで目標株価を引き上げておきながら”やめておけ”なんだろう。

 先日、億近メンバーの駄洒落紹介会長から面白い話を聞いた。自動車担当アナリストの中に運転免許証を持っていない方がいると。車の運転の出来ない方がどうして車のコメントを出せるか?
 ちなみに4輪派の私は原付を越えるバイクに乗った事がないため、ヤマハ発動機なんかは真のリサーチはできない。伝説のZ−II、2バルブなのに速いGPZなどKAWASAKI、4気筒は不要、2気筒で充分と宣言して出したSUZUKIのGSX、手曲げ集合が懐かしいHONDAのCBなど、その程度は知っているが、なんせ乗った事がないのだからGP(KAWASAKI)と刀(SUZUKI)、RZ(YAMAHA)とガンマ(SUZUKI)がどっちが良いかなど比較するノウハウを持ち合わせていない。ファンの気持ちがわからない。

 弱気派アナリスト達の特徴は日産の販売が継続しないと見ている点にある。そのアナリスト達が絶対に食いつくであろう悪材料が存在し、その材料から先行き出てくるであろうコメントは、”日産の長期的成長は懐疑的”かもしれない。

 少し説明する。国内販売市況を考えると良い状況ではない。これは新車が出ても3ヶ月程度で息切れを起こすのが何よりの証拠。日産は現に息切れを起こしており、この10月にもきっと良くない数字が出てくるかもしれない。しかしこれは日産に限らず他のメーカーでも同様で、日本市場は景気が悪い上、あらゆる車種が犇めき合うなど、個性ある車を提案するのが非常に難しい状況。その状況において日産の来年度のモデルチェンジカレンダーを見ていただければ理解されるであろう。マイナーチェンジで凌がなければならず、厳しい。3年前の厳しい状況で練られた戦略は、プライオリティを北米ターゲットにしているためだ。しかし海外市場での新車投入で充分成長を維持できよう。

 ブランド力向上には、通常1モデルでは不可能、2モデルは必要。ゴーン社長は成長のための開発費に制限はないとコメントを出しており、莫大に膨れ上がった利益を源泉として、日産の技術力を生かしたブランド力向上に邁進すると考える。

 自動車事業の有利子負債もこの9月には2740億円、来年3月には800億円まで削減することを発表した。驚異的なスピードであるが、B/Sの改善も忘れてはならない。

 株価はベンチマークに対し過去2年以上アウトパフォームしているが、来年度もハイテク株中心にテクノロジー株のパフォーマンスが期待されない状況では、業績好調な自動車、特に日産を中心にウエイトをあげる動きを考える。

 確実に進歩している日産を未だ評価or理解していないアナリストが存在する限り、株価上昇に期待がかかる。全員が買いの判断を示したときこそ、日産株を売るタイミングだ。

 株価は水曜日の発表で大幅上昇しだが、次に投資家に対するサプライズは当面なし。それまでは米国のイラク叩きや全需の減少など悪い材料が出ることが予想され、悪い材料で押した局面を狙いたい。(両津)

 

2002/05/10(金) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 5月20日決算発表予定だが、昨日新プラン180の発表と共に、02/3期業績の上方修正及び03/3期の暫定見通しを発表。
 
売上高
営業利益
02/3期(従来見通し)
6.3兆円
3500億円
02/3(上方修正)
6.2兆円
4900億円
03/3(会社見通し)
6.5兆円
5530億円

詳細は各証券からレポートが出ており、それをご参考にして頂きたいのですが、レポートがゲットできない個人投資家の方もいらっしゃいましょうから簡単に記載します。

 2001年度のグローバル販売台数は前年比1.4%減の259.7万台。しかし上期は3.6%減少ながら下期は0.8%増加となっており、新車効果が出始めている。

 特に米国は、9月初めのアルティマまでモデルチェンジなく、上期販売が前年比14%減少、シェアも4%まで低下したが、下期は前年比9.4%増加し、3月末のシェアは5%まで回復と、たった半年で1%のシェアアップとなっている。前期は、モデル投入が本格化していない段階でも、確実に新車効果が現れ始めている。
 なお、売上高が従来見通しより1000億円未達となっているが、これは連結対象から外れた企業の売上減が1300億円、北米におけるインセンティブ関連費用を従来は販売費に計上していたが、これを売上高から差し引く会計基準に変更したため、この金額が989億円、トータルで2000億円超の減となっていることによる。

 営業利益率は7.9%と前年の4.8%から大幅アップ。しかし上期と下期に分けると、上期6.3%に対し下期は9.3%となっている。9.3%の営業利益率は世界トップクラスのホンダを1%近く上回り、日産は世界的な高収益企業に変身。

 財務面でも特筆できる。ピークの1993年には約2.9兆円、98年に2.1兆円、99年に1.3兆円の自動車事業有利子負債を抱えていたが、ゴーン社長はこれを新プラン終了時にゼロにすると明言。01/3期末9530億円が02/3期には5000億円ほど借金を返済し、残高は4350億円と物凄いペースで借入金を減らしている。3年掛かりでゼロにする方針は1年前倒し達成し、いずれはキャッシュリッチ企業になることであろう。

 03/3期業績の前提は、グローバル販売台数279.2万台と前年比7.5%アップ、為替は1$=125円前提。

 地域別では日本が75.7万台、6.1%増と、全需が弱含む中において強気な戦略。3月にモデルチェンジしたマーチがフル寄与するほか、初参入の軽自動車MOCOや期待のスポーツカーであるフェアレディーZやエルグランド、キューブ、他新セダン、クーペなど投入する。

 北米は、全需が8.2%減少する前提で77.1万台と前年比7.2%アップの計画。NISSANチャンネルでマキシマのフルモデルチェンジ(4〜5リッターのV型6or8気筒エンジンの模様)、フェアレディーZ、他新型車投入。一方、INFINITYチャンネルではG35クーペ、M45、FX45を投入する。ポイントはINFINITYチャンネル。1989年に開始したINFINITYチャンネルだがこの10年間利益が出ておらず、これをどう立て直すかが課題。そのため日産ではINFINITYを重視したモデル投入を今期から開始し、高級チャンネルでの高収益化を目論んでいる。そのための製造拠点がキャントン。なお大型化と3.5リッター強力エンジンを登載したアルティマは実売価格でトヨタカムリと同等だという。

 今年度は全需が弱くとも、新型モデル13車種投入により売上アップが見込める。実売価格の引き上げでミックスが改善していることを考えると、会社側の提示した6.5兆円は1000億円程度上ブレか。

 一方、営業利益は増収効果による限界利益増加が1000億円以上見込まれる上、購買コスト削減(3年で15%)で1000億円、総物流コストの低下が見込まれる。

 反対に商品力向上費用(02/3期は620億円)や、設備投資を対売上比率5%から5.5%にアップさせるなど、競争力向上によりトップライン成長を図るための投資増加が行われる。

 前下期の営業利益率9.3%にはマーチや軽自動車を含まない数字のため、コンパクト&ミニカー台数の増加は今期モデルミックスの足を引っ張るかもしれない。しかしながら日産では、実売価格ベースでの単価引き上げに成功しつつあり、利益率は間違いなく上昇傾向。セルサイドでは6000〜6500億円程度の数字が出始め、日産株式のウエイトが低い機関投資家は慌て始めたようだ。

 最近日産のレーティングを落としたセルサイドも散見されるが、グロース重視の投資家にとって株価1000円はあくまで通過点と思っていることであろう。

 昨年9月のテロ事件後の上昇局面で、03/3期からの売上成長を疑問視した機関投資家は同社株を大量利食いし、ポーションを下げてしまったそうだ。しかしながら、その頃は証券会社からも「コストカットから成長路線へは難しいのでは」との意見も多く聞かれ、セルサイドレポートの言う通りに動いた投資家がいたのであろう。結果として、安いところで売って高い価格で買う事になる。

 しかし、”おこちゃまバイサイド”が多いほど儲かるチャンスも多い。
(おこちゃまバイサイドという言葉は大原さんから聞きましたが、なんでも大量の資金を運用しているが、知識の乏しい機関投資家の事を言うらしい。外資系証券ではおこちゃま用とプロ用にミーティングを分けるケースもあるとかで、この言葉はセルサイドが使う言葉のようです)
(機関投資家は所詮素人集団ですから、アナリストランキングはあまり役に立ちません。良い例があります。大原さんがアナリストのチェックをしたことがあるのですが、某セクターの1位のアナリストはいつも外してばかりで、その外す確立がなんと95%。つまり彼の言った銘柄を反対に売買すれば95%の確立で儲かることになります。つまりオシレータとして非常に役に立つ訳で、だから1位であったのか? しかしその方がまともな判断?をする様になったら、ランキングも1位の座を明渡していたとか?しかし電線の山口さんは別格ですね。名実共に電線の王者。自動車では日本人ですと○位の○○さんや○○位の○○さんが2強かな。○位の○○さんはバリュー志向で2強の方とレーティングを異にしておりますが、知識は充分。外人は良くわかりません)

 バリュー、バリューと叫ぶのも良いが、自動車産業は成長産業であると私は考えている。ワールドワイドで全需を見れば確かに成熟産業。しかしながら世界的な環境規制強化を背景に、武器(技術)を持ち合わせた企業は、その限られたパイを容易?にゲットし成長できる。その世界的な代表選手が日本とドイツメーカーだ。 昭和53年、自動車業界に激震が走った排ガス規制は、若者達の自動車に対する夢を捨てさせる結果になる。三元還元触媒、キャブレーターからインジェクションへ。この結果、カタログデータ以上に体感パワーがなくなり、違法改造が続出する。

 インジェクションを外しソレックス3連やSUツインキャブに敢えて変更し、排気系は当然のことながら触媒を抜いた直管。日産のL型2800CC(L28)を3〜3.2リッターにボアアップなどなど。この時のインジェクション技術を日本メーカーは揃って某企業から導入した。ドイツのボッシュである。

 ネーミングはトヨタがEFI、日産がEGI(その後ECCSも出す)。しかし三菱自動車だけはこのパテントを自力で回避。インテークマニフォールド内に突起物を形成し、エアー流入により突起物で発生される渦を検知し、空気流入を検知する仕組みでECIのネーミングを付けている。

 その後、航空機では当たり前の技術であるターボは、ポルシェや限られたメーカーのみであったが、日産がセドリックにそしてスカイラインジャパンに登載されるL20エンジンにターボをドッキング。その後トヨタなどが追従し、ターボエンジンが当たり前になってしまった。

 そしていくら待っても登場しない「R」にファンは痺れを切らしたが、遂にスカイラインGT−R…と思ったら6発ボディーに4気筒RSでデビュー。チャンバーがペントルーフのFJ−20エンジン登場で、これを期に4バルブツインカムの歴史が再開される。

 腰上技術(腰上とはシリンダー本体より上の部分、つまりヘッド部分を言う)に乏しいトヨタは、技術はあるが金のないヤマハに腰上を作らせ、ヤマハエンジンをボディにマウント。当時はハイパワー高回転狙いの4バルブエンジンは今ではカローラにも搭載されるほどになり、いつの間にか環境面に役立つ技術に変身。低回転を生かせば排気系を細く、しかし上がカッタルイ。ハイカムで上を生かせば下がスカスカと、エンジン回転中にバルブタイミングが変更できれば…と夢を抱いていたエンジニアも多かった事であろうが、可変バルブエンジンが道に溢れている現在だ。技術進歩は半端じゃない。

 2度のオイルショックや360円から80円まで進んだ円高、米国との貿易摩擦と、最悪の条件を見事に乗り切った日本の自動車メーカーは、いつの間にか世界的な競争力を有し、ライバルは一部の欧州メーカーしかいなくなった。

 その強いドイツメーカーも日本では売れているが、故障が多かった。多いのは電気系統。ベンツのバッテリー上がりや、ワイパーやライトがOFFにならないゴルフなど、日本の四季に耐えうる自動車作りは大変だったのである。 これらが日本車メーカーの強みだ。その技術を用いて米国ではデカイエンジンにデカイボディで売り出せば売れる確率は高い。日産はアルティマのボディーをでかくし、エンジンは3.5リッターのVQ35エンジン登載しただけで、なぜかカーオブサイヤーを獲得。こうすれば売れるという勝利の方程式を忠実に守っただけのことではないか。

 次はマキシマに大型エンジンを搭載する。最低6発で排気量もミニマム4リッター。ビッグ3(但し、ダイムラークライスラーのダイムラー除く)の4リッターなら日本の3リッター、米国の5リッターなら日本の4リッターと、1000ccほど排気量が少なくても、腕の差で充分早いのが日本車の特徴。たぶんマキシマも売れそう。

 エルグランドが気に入って、半年前にディーラーに行ったら45万円引くといわれたが、3月の時点では35万円引きに減額。「新型が5月に出るんだから負けろ」と言ったが、ディーラーは強気の一点張り。

 先週、実家近くの神奈川日産に行った、旧型は在庫が全くゼロ。近くの旧日産サニーでも全く在庫ゼロだけど、試乗をさせてきれた。両親、妻子、営業マン、私と7人乗車。エンジンが回っているのに、一番後ろに乗っている女房は全く気づかず。アイドリングで走り出して車重がヘビーと感ずるものの、VQ35のパワーは物凄い。スポーツカーと比較しては無理がありますが、オーバー2トンの車体をグイグイと加速させ、多分いとも簡単に180キロは出ますでしょう。あの手の車にVQ35は必要ありませんが、日産はマイナーチェンジで敢えてVG33からVQ35に載せ換えた。確かに古いVGという面や共通化もあるでしょう。日産本社としては3.5リッターを積んでも効果はイマイチとの結果を出したようですが、末端のディーラー営業マンは3.5リッター効果が大きかったと言います。

 エルグランドに乗って20〜30年前の車を思い出します。4発スカイラインGT−Bボディに6気筒を登載、レビン1200ccボディに2T−Gの1600ccを登載したトヨタなど、ボディとエンジンのアンバランスな感覚は、なぜか消費者から歓迎されるような気がする。

 レーティングは中立以上だが、バイにしないセルサイドアナリストが散見されますが、良い材料のなかの悪いところをクローズアップする傾向がある。また好き嫌いもあるであろうし、私自身NS−XとV2000以外を購入するホンダオーナーを全く理解できない。しかし、株式レーティングを付与する際はそうした好き嫌いは出切る限り排除しなければならない。

 ところが好き嫌い以前の問題だが、明らかに変化した日産を全く感ずる事が出来ない方が多いような気がする。日産本社のIR担当者や役員といくら話をしてもダメ。精々仲良くなってインサイダー情報をゲットするのみで、アナリストなら徹底的に自動車の本質を知る必要があるのではなかろうか?

 テストコースでトロトロ安全運転して何で車の事がわかるのだ! 車というものは限界走行をして初めて車の特性や個性が理解できるものである。車はドライバーの動作を忠実に守ろうと(走る、止まる、曲がる)とするが、自動車自身はしゃべれない。しかし限界を超えたとき、自動車は運転者に訴えかけてくるのだ。それを感じるのは人間の目ではない、人間のお尻がセンサーとなる。リアスライドではお尻にフワ〜とした感触を感じるし、4輪ドリフトに入るとステアリングを左右どちらに切っても反応が無い。だから人間が次の動作を行い、この連携プレーができる瞬間の意思疎通がたまらない。

 …少々過激になって申し訳ございません。走り屋になれとはいいませんが、定期的にディーラーを回って実売価格をチェックしたり、試乗をして自分なりの評価ができるくらい自動車の知識をゲットした方がよいでしょう。企業業績をいくら作っても、肝心カナメの自動車知識が全く無いなら、そのレポートは果たして投資レポートなのでしょうか?

 大原・両津組の投資とは「経営に共感し、要素技術から将来何が可能なのか吟味した上で株式を購入すること」です。ですから企業の本当の強みは何なのかを考えます。

 かつての話ですが、「日産が燃料電池をやっていない」ことを評価しない一つの理由にしていた方がいたそうです。常識から考えて、自動車メーカーが燃料電池の研究をしない訳がありません。あくまで公表していないだけであって、そんなもんは特許庁の電子図書館から日産自動車と入力し、次に燃料電池で選択すれば平成5年以降の特許が全て見られます。小学生でもいとも簡単に検索できる。

 日産に強気継続アナリストは2種類に分類されると考えます。本当に自動車のことを理解している素晴らしいアナリストの方と、理解していないがエイヤッで勧めている方々。理解されている方のレポートを読む直前はいつも胸が高鳴ります。

 優秀な自動車アナリストの方々が書くGOODなレポートを、今後も楽しみにしております。(両津)

 

2002/03/05(火) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 日産が元気だ。

 一昨年はコストカットによる利益増から、セルサイドのレーティング引き上げが起こったかと思えば、来期が近づくにつれて今度は台数アップが難しいのではとの考えから、レーティングを引き下げたりトーンを下げるアナリストが発生。特にテロ事件が起こった後は、「コストカットで利益を稼いでそれを原資に成長するシナリオが完全に崩れた。400円台の株価で全て売却するべき」とまではっきり宣言したセルサイドアナリストが、なぜか株価が上昇すると目標株価を引き上げるという、わけのわからんレポートを出す始末。

 ブローカーレポートを読むのも疲れるので、業界や車のことをきちんとご存知のアナリストレポートしか読まない方が良いですね。時間も無駄ですし…。

 日産の業績に関し、日経推測でもなければ会社側の正式コメントでもない、ゴーン社長発言による利益が掲載され、何でも4000億円は行くとのこと。強気なレポートでは4500億円前後も見受けられるようですが、実際の着地は4000+αで、αは200−300億円の間を想定します。4500億円も可能なレベルと考えますが、来期業績の着地(伸び率)を考えますとそこまでは出しませんでしょう。今期4200−4300億円、5月の決算発表時点で来期は4800億円前後で発表し、実際の着地は5000億円以上と想定します。

 次にゴールドマン・サックス塩原さんのレポートに記載されていたので気になったのですが、「日産は部品メーカーに単価下げを強く示唆しており、販売数量未達でのなんらかのペナルティがありそう」とありますが、これは本当なのかな?
 本当ならどこの部品メーカーが言っているのか知りたいところです。

 日産は部品メーカーに対し部品の数量握りもしておりますが、この数量は私達に公表する台数とは違う数字のようです。証券界に対する公表数値より、部品メーカーに対する数値の方が低いようなので、全ての部品に対してのペナルティは無いと考えます。

 日産が値下げ要求をするので部品メーカーは皆困っていると考えたくなりますし、私も厳しいだろうなと思いましたところ、本日訪問した部品企業は少し違いました。
 売上が増えてきているので「どうしたの?」と聞いたところ、「実は日産リバイバルプランに勝負を賭けたら沢山オーダーが頂けた」とのこと。単価下げはキツイが量がまとまっているだけに満足しておりました。

 こういう企業もあるのだなあ。塩原さんが聞いた企業はたぶんギブアップないし着いて来れないところでしょう。着いて来れない企業を日産は振るい落とし、宿敵トヨタからでも買うことでしょう。これがグローバル購買というものです。

 ルノーとの株式持ち合いを早める事に関し、ネガティブな意見もありましたし、もしくは「ルノーの業績が悪く、早く日産を連結に入れたい。仏のルールでは連結の支配基準は出資比率40%以上のため、出資比率を上げて日産連結による業績嵩上げを狙っている」とのレポートがありました。

 しかしそんな化粧ジミた決算をわざわざやる必要があるのか?
 セルサイドレポートには納得の行く記述はございません。
 なぜか?
 本当の理由を誰も知らないからでしょう。というより、知っている方が極一握りだけいるようですが、そのことをレポートには書いていないのでしょう。

 私は詳しく知りませんが、ルノーはもう日産と離れることは出来ないでしょうし、当のルノーも日産なしで生きていくことは相当困難なことを理解している筈です。
 日産がなんで倒産しそうになったのか? 彼らは良く理解し、当たり前の経営をしているだけなのです。コストカットのみで利益を出しても、未来永劫に渡って成長できないことをゴーン社長は知っている。日本人からコストカッターと呼ばれておりましたが、実はその裏で成長を図るべく経営手腕を発揮していたことを誰一人として先月まで評価し、レポートを書いてはおりません。実に残念なことです。

 今年に入り、日産の来期を強気に変更する意見が聞かれますが(レーティングではありません。トーンです)、そんなことは昨年から理解できたことでしょう。
 9月に400円台、最近は900円台。なんでこんなにブレるのか理解できません。

 180プランでの台数アップ100万台は、日本市場が一番のネック。米国は30万台+α、欧州はそこそこ。中国はやり方次第。米国と中国が牽引し、日本の未達成をカバーする展開を想定しますが、うまくいけば売上は8.5−9兆円で、営業利益率は会社側は8%ですが、これは1$100円、1ユーロ100円前提ですので、現在の為替レートで計算すればとんでもない利益になります。

 自動車業界で一番元気なIR担当者は日産と言われております。(両津)

 

2002/02/15(金) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 リバイバルプランの目標数値を全て1年前倒しで達成し、新たに180プランを作成。この発表が出てから株価は急上昇したのだが、本音を言うとなぜ今ごろ株価が上がるのと思う。

 達成の可能性や180プランに関してはある程度のことなら機関投資家は知っていた筈。今更評価するのも時代遅れ?
 もしかしたら来年度からの台数アップが可能との判断から買ったのかな?
 よくわからない。

 それにしてもどこかわからないが、ビッグな資金を運用する投資家が日産を買いたいらしく、あるブローカーからは毎日日産買いたいとの話があるようだ。 日産では営業利益率を8%目標としているが、あれは最低限のレベルと考える。ゴールドマンサックスの塩原さんの1月レポートに記載されているが、本年度から日本輸出される車は1$=1ユーロ=100円前提で営業利益率4.5%が可能なそうだ。つまり200万円なら4.5%で営業利益9万円+現状の為替130円を考えれば、トンでもない利益である。

 また昨年までは購買コスト削減による利益増が多かったのも事実だが、今後は設計によるコスト削減が出てこよう。日産は15%の購買コスト削減と言っており、私達証券界は鉛筆ナメナメで15%のみを計算してしまう。つまり設計でのコスト削減は非常にわかりづらいのだが、この分のコスト削減も無視することは出来ない。こうした技術を理解できる方は、ソシエテジェネラルからドイツ証券に移られた松本さんしか私は知らない。

 ヒマ過ぎるほどの時間があれば松本さんに相談してアルティマやマーチの原価計算でもやってみるか?(両津)

 

2001/09/27(木) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 【米国市場】

 4月から8月までの累計販売台数は前年比二ケタのマイナス。もともと前年上期に比べ落ち込む計画を立てていたが、落込みの度合いは会社想定以上であろう。

 しかしこの背景にはインセンティブを積んで無理やり販売台数を引き上げる過去の政策を放棄し、ブランドを高める戦略からきているのも事実。2年落ちモデルでは牽引役とはならない(競争力のない車にインセンティブを付けても意味がない)。
 インセンティブは4月からアップさせ8月、9月をピークにアルティマ投入後は低下させる計画を描いていたが、8月、9月は計画より若干高めであろう。

 一方、利益面は堅調そのものである。今期業績の予算レートは114円だが、そのレートで推移したとしても計画に対しオンラインを予想する。もし120円でのフィックスとなれば1円の変動で約80億円×6円=480億円の増益効果となる。

 次にテロ事件の影響だが、会社側では正式なコメントを出していない。しかしながら9月(米国市場全般)の販売は前年比20−25%程度の減少になりそう。日産からディーラーへの玉の吸い込みに変化はないが、全需に影響がある以上、日産にもマイナス影響は少なからず出よう。

 来年度もマーケットのシュリンクは起ころうが、その減少幅は想定しずらい。

【日本市場】

 4月から9月第1週目まで昨年の上期が悪かったこともあるが、台数は対前年プラス基調で収益状況も良い。
 モデルチェンジした車が黒字であり、赤字モデルが減少していること及び、コスト削減が想定以上に進んでいることが背景にある。

【欧州市場】

 今期累計ベースで一桁後半の減少。ドイツ市場は台数が下がりインセンティブが増加、英国は台数こそ出ているものの価格低下及び、インセンティブアップと市場状況は悪い。 しかしながら米国と同様、利益は総じて悪くない。前期欧州での営業利益は−273億円だが、為替のマイナス面で380億円のマイナスであり、オペレーションでは黒字になっている。そして今期もルノーとのプラットフォーム共通化の第1号車が発売され、販売面での統合効果が現れだしそうであり、為替次第の側面が強いものの、赤字幅は昨年より縮小の可能性もある。(両津)


2001/05/18(金) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 【前期01/3業績】

 日産リバイバルプラン初年度ながら、中期計画を前倒しで達成する好調な業績であった。
 売上高は6.09兆円と1.9%の微増ながら、営業利益は2903億円と前年比3.5倍に膨らんだ。
 前の期に較べ為替の円高により836億円、特別仕様車などのバリューアップコストが823億円と、マイナス効果を生じさせたものの、購買コスト削減目標8%に対し11%を達成し、この原価低減が2870億円、販売経費が776億円削減され、トータルでは前期に比べて約2100億円もの営業増益要因となった。

【02/3会社計画】

 会社側では今期の売上高を6.3兆円(前年比3.5%増)、営業利益3500億円(前年比20.7%増)を計画している。売上面では日本国内の全需が2%拡大の420万台とした上で、76.4万台(前年比4.2%増)を販売、米国全需を1590万台(前年比7.3%減)と見て76.2万台(前年比2.4%増)、欧州全需1640万台(2%減)で販売52.3万台(1.9%減)の計画である。

 本日の日産株は、前日の好業績発表にも拘わらず前日比マイナスとなってしまっているが、これは今期の営業利益3500億円が既にコンセンサスとなっていたことによるもの、かつかなり安い段階で日産の復活の可能性を信じていた投資家の利食いが入っているためと想像する。

 本日は、今期日産の業績を見直すブローカーが相次いでいる。
 ソシエテジェネラルの田中さん、ゴールドマンサックスの塩原さんが見直した他、モルガンスタンレーの平形さんがストロングバイ継続で業績を見直すとしている。強気のスタンスを取っていない日興ソロモンの松島さんは、ホールド維持で目標株価を850円から900円に引き上げたが、先行きの見方は懐疑的としている。

 投資家の間ではリバイバルプランは成功に終わると見ているものの、焦点は今後の売上成長に移っている。リバイバルプランでは昨年そして今年と、利益の出る体質にした後、来年度13車種の新車を投入し成長を図る計画で、この成長がうまく成功するかどうかで意見が分かれている。

 新生日産になってからの車は相変わらずデザインがパッとしないのは事実で、特にプリメーラはダサいの一言に尽きるものの、経営のプロであるゴーン社長の手腕を期待する。(両津)


2001/03/22(木) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 フォローです。

 19日発売された四季報の業績予想が若干変更になってきた。同社の来期業績が3100億円の営業利益になっているではないか!

 億近では億近独自の予想業績を掲載しておりませんが、実は殆んどの銘柄で予想業績を作っております。今回は日産の両津予想を披露しましょう。

        売上高   営業利益  営業利益率   EPS
2001.3 6.1兆円 2700億円  4.4%   36.4円
2002.3 6.3兆円 3500億円  5.55%  48.1円
2003.3 6.6兆円 4620億円  7%     64.4円
2004.3 6.7兆円 5025億円  7.5%   70.4円
2005.3 6.8兆円 5440億円  8%     76.4円

注意:営業外は200億円のマイナス・実行税率を42%・発行済株式数を39.77億株として計算

 この予想は現在の120円超の為替とはかなりかけ離れていますが、110円レベルを前提にしたものであります。営業外はかなり改善すると思われますので、トントンになった時点以降は経常利益が200億円ほど増加しましょう。

 リバイバルプラン最終年度の2003.3期の会社側コミットメント営業利益率は4.5%、目標は6%ですが、これは余裕でクリアーするでしょう。両津予想は7%にしておきます。

 リバイバルプラン終了後のコメントを会社側は一切言いませんが、最低4−5モデルの投入で1千億円程度の増収で、購買価格は3%ずつの低減が前提です。つまり購買コストは約500億円ずつの低減を予想しますが、それ以外のコスト削減を考慮していない数字ですので、もっと利益は出ましょう。

 2003.3期の売上高は最低線レベルで6.6兆円を予想します。

 日産自動車は完全に復活し、余裕で2位の座を奪い返すことでしょう。日産の視野にホンダは入っておらず、トヨタを凄い勢いで追いかけると予想します。一方、追いかけられる方のトヨタは今まで成功していたカンバン方式に加え、系列取引をいつまで維持していくのか見ものです。ガンバレ 日産!!! 

目標株価は2005.3のEPSを基にPER20倍で1528円。けど2000円は行くと見ております。

 ヘッジファンドさん、どんどん空売りしてください。いくらでも買い物があるから売れますよ!(両津)


2001/03/15(木) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 【ポイント】

・昨年秋に訪問取材した際に比べ、会社側の業績に対する自信の度合いがかなりアップし、社員の士気も大幅に向上している様子。日産リバイバルプラン作成当初の日産社員は会社に対する不安や、プラン自体が大変な内容であり社員の士気は大幅に低下していた。しかし、日産はもう後がない状態であることを社員の方は認識しており、ゴーン社長の打ち出したリバイバルプランを実行する以外に方法はなかった。いざ実行してみると計画以上の進捗率を達成し利益もきちんと出せる体制になり、社員自らがやりがいを感じてきている。

・宣言したことは必ずやり通すゴーン社長の手腕をたくさんの社員が賛同し、マネジメントの良さを痛感し始めている。

・技術力や人材では優れた資源を持つ日産だが、日本のお役所的風土でそれを活かす事が出来なかった。しかし日本有数の大企業がたった一人の経営プロフェッショナルの手で生まれ変わろうとしている。

・幹部のしっかりとしたマネジメントが、如何に働き甲斐に繋がるこということを社員は痛感している。

・対前年割れが継続していた国内販売も需要とパラレルに動くようになり、昨年秋からは回復傾向に入ってきた。既存車種は売れないが、新車が売れるようになり、売上こそ横バイだが、利益的にはかなり利益が出る車が売れるようになった。このため国内ディーラーの黒字転換も視野に入ってきた。

・米国販売は今期80万台予想が75−76万台になりそう。今までなら利益を無視してもインセンティブをアップし販売してきたが、こうした手法は使わず売上より利益を優先させる。在庫を減少させるため2月、3月は売れない車種を中心に2.5万台の減産を実施している(今までの日産では考えられないこと。売上重視をしない素晴らしい経営判断と考える)。

・欧州は今期54万台計画に対し、53.5−53.6万台に着地しそう。英国が台数ベースで計画通りだが政府からの単価下げ要求やドイツのマーケットが非常に悪い。為替の影響もあり、今期の欧州赤字は前期並になろう。

・しかしながら今期業績は会社の計画する予算は楽々クリアーすると考える。

・来期も更なるコストダウン及び5車種の新車投入により大幅な増益を達成するものと予想し、2003年3月期については13車種もの新車を投入し売上は6.5兆円オーバー、目標とする営業利益率6%は充分クリアーするものと推測する。

・陥るところまで陥った日産は豪腕ゴーン社長の手により蘇り、確実に成長路線へ復帰するものと考える。

【コメント】
 コスト削減は間違いなく成功する。2003年3月期の対外的に発表している営業利益率は4.5%。上期でほぼ達成したため目標を(コミットメントではない)6%にした。私は日産自動車の業績がホンダにかなり近づくと予想する。今期は計画する営業利益は2200億円は堅目に見過ぎていると考える。但し、会社の財務を含む戦略を考慮するとプラス100億円−200億円程度のプラスに着地させるのではなかろうか。

 来期は現在の環境が大きく変化しないしない前提で(国内需要が2−3%程度のプラス、米国が1600万台弱)為替が110円を安定的にキープすれば営業利益は最低線で3000億円と読む。リバイバルプラン最終年度の2003年3月期には13車種の大量爆撃を実行するが売上の読みが難しい。この1−2年でユーザーに受け入られ、しっかりとした顧客基盤を築けるかどうかにより変わってくる。6.3兆円−6.5兆円の間の読みをしている方が多いと思われるが、ブランド戦略とやらに成功すれば6.5兆円オーバーは夢ではない。6.5兆円で利益率を6%とすれば3900億円の営業利益。特別利益・損失を考えずに実行税率を42%で計算すればEPSは56.9円。3月14日引け値774円なら13.6倍。

 自動車会社を取材していると会社側のIR担当者が証券界に満足していないのでは?と感じる面があるが、確かにトヨタとホンダの推奨がかなりを占めているのが事実。

 日産は2005年3月期に向けて確実の成長を見せる優良企業へと変化しよう。相場の地合が悪い最中同社株は逆行高を続けているが、銀行、生保などの持ち合い解消売りは昨秋から大きく出ており、既にピークを超えたと思われる。この持合解消売りはほとんどを外人投資家が吸収し、同社株に対する買いニーズは強い。しかし800円オーバーではヘッジファンドが新たな空売りを仕掛けており、同社のファンダメンタルズを正確に捉えない投資家は後で痛い思いをすることであろう。(両津)


2001/01/30(火) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 フォローです。

 先達て、ゴールドマンサックス証券主催の各企業セミナーがホテルオークラで開催された。その目録の中に日産の文字があり、同社の社員が話をすることになっているではないか!しかも是非とも会いたいと思っていた方だ。
 外人の名前があるもののあまり興味がなく、デザイナーの中村さんと話がしたかったのだ。中村さんとは、新型シーマのTVコマーシャルに出演している、同社のデザイン責任者だ。TVコマーシャルを見る限りでは「独特の話し方だなー」と思っていたが、セミナーでは普通の話し方であった。

 内容にサプライズはなく、Z、シーマ、プリメーラなど新車に始終。しかし解散後に行われた名刺交換で聞いた話では、今後の日産車にはかなりの自信を持っていた。 メモノートに書いてあるが、名前は忘れてしまった外人役員。昨年秋に同社では上:下では上>下と聞いていたが、今回は上<下と言っていたな。

 どの程度の比率になるのかな?(両津)

2001/01/09(月) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 新年早々で取材のアポ取りを本日からスタートし、特別皆さまにお伝えするホットニュースがありませんので、今週はフォローとさせていただきます。
 本日は日産です。

 稼ぎどころの米国市場が非常に気になります。昨年の絶好調が秋頃から様子が変わり、今年度はどの程度のシュリンクで収まるかがポイントになりましょう。
 しかし、台数ベースで1600万台も出れば「たいしたシュリンクではない」との声が聞こえてきそうですが、実はその通り。予想を遥かに上回るシュリンクは確かにネガティブサプライズとなりえましょうが、1600万台は既にコンセンサス。シュリンクするマーケットでどうやって販売していくかがポイント。生産、在庫を見ながらインセンティブ、低金利ローンやフリートなど各社各車種の販売方式が気になります。

 秋に開催されたゴーン氏の説明会後、ほとんどのアナリストが日産自動車を強気に変更しましたが、これは予想以上の進捗率になっている日産リバイバルプランを評価したもの。しかし足許の株価は600円台で停滞しているのが現状です。
 これは、日産が国内では計画的ではあるもののホンダに2位の座を許した上、ホンダのオデッセイが堅調持続、シビック、ストリームの新車効果及び、米国マーケットにおける顧客基盤の頑強、つまり顧客支持の高さを評価し、短期的にホンダを奨めるアナリストが存在することが背景。
 近々シーマを発表するものの、その後数ヶ月間目新しい新車発表のない日産は、この下期から来上期にかけて苦しい状況。ですがこのことは既に各アナリストとも理解されていることで、短期的には日産や他の自動車メーカーからホンダシフトの推奨は既定路線というイメージであり、メジャーなアナリストは昨年から短期的なホンダシフトを示唆していたのも事実。

 しかし、2−3年の期間で見た場合の業績変化率は、ホンダやトヨタより日産や富士重工の方が可能性は非常に高く、中長期的な投資を考えるのならこの2社がベストであろうと私は考えた。事実、最近お話をさせて頂いた著名アナリスト3名も、「短期的にはホンダ」「中長期は日産」のスタンスである。
 マーケットは日産リバイバルプランの数字を達成可能かどうか見極めている段階であり、業績やゴーン氏の発言で一進一退を繰り返しながら、息の長い相場展開になると想定する。2003年3月期の営業利益率が6%超なら1000円オーバーの株価も夢ではないであろう(売上面のマイナスがないことが前提ですが)。

 では今期の業績がどうなるか?
 会社計画売上高 6.1兆円
    営業利益 2200億円

 シルフィーが早くも計画線を下回ってきましたが、これは株式市場へ同社が発表している数字ベースでの話であり、同社社員の間ではあまり売れないというのがコンセンサス。
 一方、X−Trailは4500台程度の販売でまずまずといったところ。
 米国マーケットも次の新車投入までの数ヶ月間が厳しい。
 すると計画が危ぶまれるところですが、実体は如何に…。

 今年度の米国販売79万台は若干のショート(1−2万台)を予想します。しかしながら、1台の単価を200万円とすれば200−400億円レベルの話です。日産は米国におけるフリート販売の比率がホンダ並みに低い筈ですから、このフリートに少しでも力を入れれば何とかなるレベルの話です。

 昨年ゴーン氏はインセンティブに対しNOの意見を持っており、米国日産の幹部がどう判断するかがポイントになりましょう。つまりフリートで台数(売上)を稼ぐか、それともそこまで踏み込まずに低金利やインセンティブに留め、売上を若干ショートに持ち込むか。
 このやり方次第で、今期の同社の売上高6.1兆円は達成するか、それとも若干未達になるか分かれ目のポイントになりましょう。しかし利益的には2200億円を下回ることは無いと考えます。むしろ現状の為替水準を考慮すれば、2200億円+αになることでしょう。αは200−300億円程度を予想します。
 同社の今期の利益計画は堅めであると予想し、105円レベルでも計画は充分達成できるでしょう。この円安の地合でも昨年中にかなりの為替予約やスワップを組んでいると思われ、その恩恵をフルに受けることはなく、αを控えめに見ます。しかしながら同社の戦略上、αを大きく出すかそれとも控えめに出すかの考え方次第ですから、この場でその可能性を議論しても意味を持たないのでやめます。

 株価が押し、600円近くまで来る可能性があるなら、更に強気で望みたいところですね。(両津)

2000/11/09(木) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

  【ポイント】
 売上高6兆円を維持できれば、2003年3月期の営業利益は3600億円が視野に。

・購買コスト削減を本年目標8%は約10%近く達成し、3年間で20%とする目標は部品会社との取り決めにより必ず達成できよう。
・官僚的な発想を捨て資本主義に則った体制への変化。
・2003年3月期の営業利益率4.5%をコミットメントとしていたが、この上期でほぼその域に達成。先日のミーティングでは6%を目標(対外的な約束ではないことに注意)としたが、それを意識したコスト削減が行われるかもしれない。よって2003年3月期の営業利益率は、6%を達成する可能性も出てきた。
・新車開発において商品企画、開発など明確な責任者がおらず、新車の投入が他社から遅れる結果となったがこれを是正し、更に車種ごとの資源投入を行う。
・今回発売するX−Trailは、従来の『技術者が造りたい車』から『ユーザーの欲しがる車造り』を目指し、町の若者から幅広い意見を取り上げており、日産の企画は改革が行われたと個人的に判断している。

【コメント】
 日産は車種を減らし、売れる車造りを目指し資源の選択と集中を徹底させる。つまり、1台当たりの投資額は増え、売れる車が登場する可能性がある。またトータルコストは確実に落ち、2003年3月期の営業利益率は期待できよう。あとは売上次第だ。(両津)

2000/10/31(火) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

  昨日同社は中間決算を発表するとともに、通期の増額修正を行った。通期の売上6.1兆円、営業利益は2200億円と大幅な修正である。円高による為替差損900億円がありながら、コスト削減で見事に振り切った形となる。

 部品購入コストは今期8%目標に対し、約10%削減と大幅なコスト削減に成功している。ここで部品購入コストは一体いくらなのか知りたいところだが、前期連結売上約6兆円の内、売上原価は約4.5兆円、その内約7割に相当する3兆円が日産の部品購入額であると、元日産社員から教わった。
 ということは今期部品購入コストのみで約3000億円が削減可能額となる。上期ベースで購入コストは1420億円削減できており、下期も部品メーカーと交わした契約書が存在するのでコスト削減は可能である。

 リバイバルプランでは、2002年度の売上高営業利益率4.5%を目標としていたが、上期でその数字を達成し、通期ベース3.6%の営業利益率は更に修正される可能性が高い。

 では来期以降はどうなるかが気になるところだが、各外資系証券のレポートを見る限り、肝心なところが全く記されていない。部品コストは更に下がりましょう。
 しかし肝心なのは、欧州では採用されているモジュール化を日本メーカーがやるという事です。現在の日産、トヨタ、ホンダはモジュール化を実施しておりません。
 理由は部品会社にアドバンテージを握られる可能性です。しかし日産は来年4月以降モジュール化に踏み切ります。モジュール化すると部品会社の競争は更に激しさを増し、脱落する会社が更に出てまいります。結局部品コストは更に下がる訳です。

 もっと重要なのは、モジュール化すると日産の生産ラインが短くなり、生産コストが劇的に下がる可能性があることです。それを勘案すれば、日産の2−3年後の営業利益はとんでもない数字になることでしょう。

 さらにコスト削減の余地があります。それはエンジンラインナップとプラットフォームの削減です。こちらは全く調査しておりませんが、かなりの余地がありそうです。しかしあまり行き過ぎると、私が何度も指摘している売上の問題につながります。

 取材ができたら再度フォローします。

2000/10/10(火) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 前回の続きですが、米国マーケットで付け足したいことがあります。

 現在の日産車のラインアップには2シーターモデルはありませんが、米国で はスポーツカーの保険料がかなり高騰しているようです。先達て読んだ雑誌に よると、2シーターだと年間保険料が約70万円と掲載されておりましたが、 これは高い。当然車両保険含みであろうかと思いますが、一般的な車両価格で ある300万円前後でこの保険料なら、殆どの人が2シーターを乗らなくなっ てしまうのでは?
 これは次期マツダのRX−7に関して書かれていた記事でした。
 少し脇道に外れますが、マツダはロータリー路線を破棄しない模様です。次 期RX−7には現在の13B(排気量653×2ローター)を改良した、同じ 排気量のロータリーが搭載されるようです。但しボディはポルシェ928のよ うなデザイン(あくまで雑誌をみる限りです)みたいですが、前述の保険料 を意識してキャビン内は4シーターの模様です。
 日産が北米に投入するであろうGTRは、現段階ではどんなものになるか調 査しておりませんが、いずれ開発者担当者と直接連絡もしくは間接的に情報収 集しますのでしばらくお待ち下さい。

 では日産の国内に話を戻します。前回・前々回と日産が直列6気筒のエンジ ンをラインアップから外し、スカイラインのイメージがどうなるか疑問を感ず ると掲載しました。スカイラインのV6はセフィーロと何の違いを訴えていく のか?
 一つだけ明確な違いがあります。あくまで私の個人的な予測ですが、多分日産は全面的に訴えていくことであろうと思われることです。それは現在の自動 車がどんどん4WD化していく中で、スカイラインはあくまでFRベース(フ ロントエンジン、リヤ駆動で一般的に後輪駆動と呼ばれる)、セフィーロはF Fベース(フロントエンジン、フロント駆動)主体ということ。当然4WDも 出ると思いますが、その場合でも味付けをスカイラインはFRベースで、セフ ィーロはFFベースのものとなりましょう。

 そのうえで各々のボディーを積み、どんな車に仕上がるのか、現段階ではわ かりません。しかしながらスカイラインには伝統があります。私の年代も含め、 30代以下の方々でスカイラインの歴史をご存知の方はかなり少ないでしょう。

 スカイラインは日産がネーミングした車ではありません。かつて零戦という プロペラ戦闘機が戦時中に活躍しておりましたが、それを製造していたのは中 島飛行機と言う会社であり、その一派が現在の富士重工(スバル)です。もう 1社プリンス自動車という会社がありまして、(確かブリヂストンの資本も入 っていたような?)その会社がスカイラインを作っておりました。

 しかし経営的に問題があったようで、昭和40年初期頃だと思いますが日産 に吸収されました。初代スカイラインは私も知りませんが、私が生まれた昭和 40年頃、プリンス自動車は凄いスカイラインを作っていました。名前はスカ イラインGTA及びGTB。私の父が中古でほんの数ヶ月だけ、そのどちらか のスカイラインを乗っておりましたが、今でもあの車体に良く長いエンジンを 載せたものだと感心します。

 トヨタが昭和40年代にはレビンという車種で、1200ccクラスのボデ ィに2TGという1600ccのツインカムエンジンを載せ、羊の皮を被った 狼と言われた車を出しましたが、スカイラインも同じです。ボディに似合わず 直列6気筒の2000ccエンジンを搭載し、あの当時の自動車メーカーは庶 民が正に驚く様な車を作っておりました。

 その後プリンス自動車は消え去り日産スカイラインとして、もっと庶民が驚 くような強烈な車になっていったのです。それがあの箱スカ(箱型という意味 です)です。2枚ドアと4枚の2種類で、(2枚の方がショートホイールベー スのジャジャ馬のオーバーステア仕様)ともに後の日産自慢のエンジンである L20型エンジン(直列6気筒)を搭載しておりました。

 しかしその後、日産は今でも語り継がれている伝説の車をデビューさせます。 それがあの有名なスカイラインGTRです。直列6気筒はL20型と同じもの の、ダブルオーバーヘッドカムシャフト(DOHC)の1気筒当り4バルブの 24バルブエンジンでS20型を箱スカに搭載(キャブレターはノーマルで ソレックスが入っていたと思います)。

 その当時はトヨタのエンジンはDOHCでも2バルブで、トヨタはヤマハの 力を借りないとDOHCが作れなかった。トヨタが自力で4バルブエンジンを 作れるようになったのは昭和の終わり頃です。この日産の箱スカGTRは絶大 な人気を誇り、その頃の青少年達は皆GTRに憧れたものです。

 そのGTRがありながら、日産はもっと凄い車を出しました。箱スカのセダ ンに対し、ハードトップ型のスカイラインを出したのです。それが更なる伝説 を呼んだ名車、ケンメリ(GTR)です。その時の宣伝にケンとメリーという 主人公が登場していたため、略してケンメリGTRと呼ばれ、宣伝の歌が「愛 のスカイライン」でした。

 それからずっと後まで日産は愛のスカイラインという言葉を使っていたので す。このケンメリGTRはたったの197台で生産が打ち切られ、30年近く たった今、中古車の値段は数百万円から1千万円のプライスが付いております。

 その後スカイラインはモデルチェンジをし、今から約20年前にフルモデル チェンジしたジャパンがまた若者を魅了しました。エンジンはL20ですが、 電子制御のL20Eで、後にセドリックに次ぐターボ仕様のグロス145馬力 を出し、日産の底力を見せ付けました。

 ですがその後はぱっとしなく、マーケットではGTR投入を期待する動きが ありましたが、日産は箱スカ及びケンメリGTRの後にGTRのネーミングを 付ける車は出しませんでした。

 時が大分経ってからスカイラインRSという形で久方ぶりのDOHCエンジ ンを投入しましたが、直列6気筒用のボディに直列4気筒のDOHC4バルブ であるFJ20E型エンジンをデビューさせるものの時代はターボに移り始め た時で、ユーザーはどうせ後でターボが出る予想をしたにも拘わらず、売る方 のディーラーはターボはまだ出ないとユーザーを納得させ販売。しかし少し経 ってから案の定ターボを投入し、ユーザーから大顰蹙を買いました。

 その頃から日産の企画がおかしくなった様な気がします。日産のピークはバ ブルの頃のシーマと思われがちですが、私はスカイラインジャパンが日産の活 躍のピークであったと考えております。

 次回はスカイラインの続きで、フェアレディZ&ブルーバードVSスカイラ インの社内軋轢について掲載します。なお話は日産自動車の歴史を作ってきた 技術者からの生の話しです。

2000/10/06(金) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

  先月まで毎週金曜日はお休みさせていただきましたが、今週から再開致します。

 先達て日産自動車ゴーン社長による説明会に参加しまして、非常に簡単ではございますが、纏めさせて頂きました。今まで日産自動車を投資対象としてリサーチしたことはなく、あくまで日産ファンとして興味があったという程度です。しかし、説明会前日の大原部長からの依頼で、急遽説明会に参加することになったのです。

 その内容は新聞紙面上に掲載され、ゴーン氏が業績上方修正に近いことを示唆した・しないと、ディスクローズ上問題があるとの指摘がありました。ゴーン氏は、決して数字上の上方修正を示唆した訳ではありません。

 但し、彼は現在の自動車アナリストの性質(性質というより能力と言った方が正しいかも)を知っており、業績予想に結びつくような発言をしたのは事実です。
 「日本より海外のアナリストの方が、日産の現状に近い評価をしている。世界で一番強気な数字を出しているアナリストが、日産の現状に最も近い」というような発言をされておりましたから、ゴーン氏はきっと、各アナリストのレポートを見てイライラされたのでは?

 しかし説明会に参加して、ゴーン氏の気持ちは理解できます。
 説明のあと質疑応答に入ったのですが、皆業績に関係するような質問ばかり。唯一、ニッセイアセットの方が、部品会社株式売却による、技術懸念のような質問をされていただけで、誰も来期以降の売上を予測するような質問はなし。
 出てくるモデルを予想したり、情報収集する能力または考えが無いリサーチャーばかりなのでしょうか?自動車というものを知らないから、売上予想すら立てられない。

 ゴーン氏が「リーズナブルなシェアを目指す」と言っていたが、多分ベアリング証券の方であったと思うが(外人)、「リーズナブルなシェアとは何%だ」と聞いておりました。ゴーン氏は20%と答えておりましたので、各アナリストとも20%の数字、または多少色を付けた数字で売上を弾いてくると思われます。
 しかし前回私が指摘したように、スカイラインのV型が売れるのか、企画開発のあげ方に問題が有るなどのことを全く無視した、ゴーン氏の発言した数字を鵜呑みにするような、アナリストの考え(予測)が全く入っていないレポートなんて全く意味を成さないと思います。

 間違ってもいいから、アナリストの堂々たる意見の入っているレポートを書いて頂きたいと思います。また、ゴーン氏が降参するくらいの質問も出てきたら、きっと素晴らしい説明会になるでしょう。

 とはいえ現実は、自動車の知識(技術)など全くチンプンカンプンのアナリストばかりでしょうから、ゴーン氏も評価される為には業績に関するようなことを言わざるを得なかったのでしょう。

 まだ調査しておりませんが、簡単に日産の収益に関する前段階のことを書きましょう。

 売上は、トヨタと同様安易にピックアップで進出した米国で、スカイライン、日産GTR、次期フェアレディZなどのスポーツカー投入で、米国における日産のイメージを大きく変えようとしております。
 最近ではDATSUNのステッカーは見ませんので、日産のネーミングはかなり浸透しましたが、米国市場ではもっとドギモを抜くような新しいイメージを植え付ける必要がありましょう。

 日産はGTRで、米国での認識が大きく変わる可能性がかなりあります。スカイラインGTRは米国に輸出されておりませんでしたが、実は関係のない零細企業がGTRを輸出しているのです。これはなんでも相当なプレミアムが付いているそうで、私が聞いた単価は確か800万円でした。
 更にいすゞから移籍した有名なデザイナーの存在が、今後の日産車の売れ行きをかなり左右することとなりましょう。

 いすゞといえばトラックのイメージですが、数年前に乗用車から撤退し、本田のアコードをアスカとして売っている程度で、後はRVだけです。RVのラインアップは、ビッグホーンを兄貴として弟にミュー、その4ドアバージョンがウイザードですが、実はもう一人弟がいたのです。その名をビークロスといい、2枚ドアにV6の3200ccエンジンを搭載した車です。仕様はビッグホーンやウイザードのガソリン車と同じでしたが、ボディが全く違いました。こんな車が町中を走るのか?と思わせるような斬新なイメージで、あまりも斬新すぎたのと、いすゞにおける商品位置付けがイマイチ。結局単純な話、いすゞだから売れなかったのか?
 私が現在いすゞ車オーナーなのですが、内装などトータルで考えれば、やはりいすゞは弱いですね。その代わり最大の魅力はトラックメーカーだということ。フレームは左右2本にクロスメンバーがなんと7本も入っており、3年乗っておりますが、エンジンは新車の時と全くと言ってよいほど変化無く、パワーの落ち込みがない。新車の時の状態が今でも続いております。
 因みにディーラーの方が言っておりましたが、エンジンのナラシは表向き1000キロ、実際に当りが付き、好調に走り出すのは20000キロ。車は20万キロ走る前提で作っておりますと。本当に頑丈に出来ており、元は走り屋であった私ですが、トラックメーカーの車を大変気に入っています。

 話がそれましたが、その斬新なデザイナーの方が日産で活躍されるのを待つとして、あまり活気のないディーラーの営業マンも、そのデザイナーの方の作られた車を売りたくてうずうずしていると、日産系ディーラーの方、複数が言っておりました。
 米国市場では、シェアアップの可能性が充分あると思います。

 ただ一つだけ、私も良く知らないことなのですが、米国ではレンタカーやリースカーが大きなマーケットであり、ここへの食い込み方をどうするか?また食い込みすぎるとディーラー販売との影響、インセンティブなどに絡む問題など、米国は日本と違う形態のようで、これをどう評価するかを考えなくてはなりませんでしょう。

 欧州についてはノーアイディアです。

 問題は国内でしょう。
 前回記述したように、直列6気筒をラインアップから外し、直4、V6、あと一部の高級車にV8となりましょうが、基本は直4とV6のライン。これでオーバー2リッターのスポーツカーブランドを維持するのは、少し厳しいのではないかと私は思っております。トヨタの豊富なラインアップに対抗できるのか?
 儲かる3リッタークラスの高級車は、かつて日産のセドリックがナンバーワンでしたが、現在ではクラウンがダントツで、3リッターオーバーのマーケットで半分以上のシェアでしょう。加えてトヨタにはアリスト、ウインダムなどもあり、日産のセドリック・グロリアだけではとても敵いません。あぁ、忘れていました。シーマがありましたね。
 しかし日産がスポーツのイメージ、トヨタがハイソカーでしたが、今から日産がハイソなイメージをセドリックに植え付けていくには、かなり時間がかかりましょう。

 さらにもっと恐ろしいことが起きています。トヨタがハイソのイメージを保ったまま、スポーツのイメージまで取り込んだ作戦に出始めたようです。3リッターマーケットは当分トヨタの独占でしょう。
 次に4リッターオーバーですが、これは日産のQ45対セルシオ。セルシオが今回モデルチェンジをしましたが、これにはもう他のメーカー全てお手上げでしょう。
 排気量を4.3リッターにアップした上で加速性能を向上させていますが、反対に燃費は向上しております。内装も豪華で、エンジンルームもとても奇麗にまとまっています。しかしこの車の一番美しい部分は、車の下です。つまり床下。車をゴロンと逆さまにした時、フォーミュラーカーなのか?それとも飛行機か?と思うような裏側なのです。エキゾースト(排気)パイプ以外は全てアンダーガードが入っておりまして、このためあのボディーでもCD値0.25が達成出来ているのです。4リッターオーバーのマーケットにおいては3リッターと同様、トヨタ強しです。
 私は大の日産ファンですが、今度のセルシオ開発スタッフには拍手を贈りたいです(キャビン内には豊田合成の白色LEDが使われていますが、そんなのはどうでもいいこと!……少し感情的になっています)。

(先が長くなりそうなので、また後日書きます。) 

読者の皆様 来週も億近をよろしくお願いいたします。

2000/10/03(火) 

日産自動車(東7201) ☆☆☆

 本日(10月3日)日産自動車本社において、カルロス・ゴーン社長による説明会が開催された(先達て海外で同様な会を開催したようである)。
 参加したリサーチャーは100名強、中間決算発表前で具体的な数字を示した訳ではなく、リバイバルプランの進捗及び今後の新車投入についての簡単な説明であった。

 まず新車の投入であるが、2000年に4車種、2001年に5車種、2002年に13車種、合計22車種。最近販売開始したブルーバードシルフィーが月間3000台目標に対し、2週間で4500台の受注と好調。11月19日にX−Trail(三菱のパジェロioのような車)、1月にシーマ、来春にプリメーラを投入していく。更に2001年にキャラバンの後継車、ステージア、MM(マーチの後継車)と続く。
 今上期は5.8%増(数字は違うかもしれません)と好調であり、2001年にマーケットシェアの維持を図り、2002年度にコスト削減及び新モデルを大量投入していくという。今までの日産は日本市場における責任者などの存在が決して明確でなく、これを改めるために経営委員会を設置し、併せて組織変更も実施した。儲かる日本市場で26年間シェアが低下しているのに歯止めを掛けるためだ。

 反面、投資金額は前期の2400億円から今期は3000億円(3.6%から5.0%)にアップする。これは新製品投入における技術に金をかけるため。ハードに資金を振り向けるものの、ソフトの方も同様。1月のシーマ発売の際にはブランドアイディティを話すとしており、楽しみである。
 コスト面ではサプライヤーネットワークをローカルからグローバル化し、サプライヤーを22%削減し、社数ベースで1万社を8000社未満にし、リバイバルプラン最終年度には50%削減すると言う。またサプライヤーより55000件もの提案を受け、今年の仕入れコスト削減目標である8%は楽々クリアーする見通しであり、10%近くに達するという。全体のコミットメントは変わらないものの、2−3年後はもっと強力にコスト削減する。
 またスカイラインを栃木工場に移管するなど、世界的な生産体制の見直しと工場閉鎖を実施し、為替変動に左右されにくい体質を築いていく。
 販管費においては6月末に236店を閉鎖し(バルク売却を含む)、販社も3年間で18社売却していく。バックオフィスをルノーと統合したが、これはうまくいっており9400ポジションの削減、愛知機械を連結対象に加え3000ポジション増、トータル6400ポジション削減。
 投資有価証券710億、有価証券370億、不動産462億を売却したが、まだまだ売れるものがあり更に売却していく。負債も目標を下回る線が出てきそうで、来年の残高を変更する。

 他の内容としては、黒字転換を果たし国内シェアは20%を目指す方向を堅持しており、以前設定した目標に対する成果は、現時点で1つたりとも未達はなく、結果は前倒しで出来ている。
 これらは驚くようなインパクトはないものの、最終結果については証券界が驚くようなものがあるかも?
 日本より海外のリサーチャーの方が、日産の実態を反映している。しかし一番強気な数字を示しているレポートより、もっと上を行きそう(というようなニュアンス:ゴーン氏は日本語で話をしておらず、通訳を通じたこのニュアンスがいかほどのものなのか?)

 ゴーン氏が喋ったのはこんなところです。今ごろセルサイドアナリストは鉛筆ナメナメしながら強気な数字を作っているのでは?
 詳細は各セルサイドからレポートが出ると思われますので、そちらを御参照ください。
 売上が飛躍的に伸びるというイメージではなく、今までの無駄を徹底的に省くため利益が大幅に向上する可能性があるという感じです。株価は上昇トレンドに入る可能性がありましょう。

それでは以下に両津辛口コメントと行きましょう。

 皆様の中でもご存知の方がいらっしゃるかと思いますが、ゴーン氏はR34(現在のスカイラインGTR)を北米に輸出すると既に発表しております。この新聞記事を見て「さすが」と思いました。
 トヨタ、日産とも北米進出の際はピックアップを投入(安易にピックアップで行ったという意見もある)、片や本田は乗用車でいきました。以前の北米での日産はダットサンと呼ばれ、最近では変化しておりますがピックアップのイメージがまだ残っております。国内ではスポーツ系のイメージですが、北米での日産のイメージを変えるためスカイラインGTRを投入することは、とても良いことであると私は思います。
 しかし気にかかることがあります。それは国内におけるスカイラインのイメージです。現在はRBという直列6気筒エンジンを搭載しておりますが、排ガス規制強化によりRBエンジンは姿を消します。代わって現在のVQ型(V型6気筒)に置き換わり、日産のエンジンラインナップから直列6気筒は消え去る予定になっております。
 そうなるとスカイラインはV型になるわけですが、北米においてはV型が主流に対し、国内ではスポーツカーのイメージはV型ではなく、直列6気筒です。V型を搭載したスカイラインのイメージを思い浮かべて見てください。セフィーロとなんの違いがあるのか?今まで築き上げてきたスポーツカーのイメージは一体どうなるのであろうか?
 取り敢えず次期スカイラインの商品コンセプトを待つことにしましょう。

 話は前後しますが、スカイラインGTRはどうなるのか?
 どうやら現行のR34モデルが最後になる模様です。代わって日産GTRとしてデビューするかも?
 もう一つ、フェアレディーZが7月で生産を終了し、現在は在庫を売り切りに行っております。次期Zは2002年頃の投入予定であります。

 日産はかつて「官僚世界」とも呼ばれており、ゴーン氏が来てから変化したと思われますが、日産の社員曰く、「なにも変わっていない」そうです。変わったのは役員、それに上司が何かと言えば部下に対し二言目にはコスト、コストと言うようになった点であると。ですから、ゴーン氏が言われているコスト削減は本当にうまく行っている可能性があります。

 2年前、ローレルの開発で社員にヒアリングを実施したそうですが、私は、「何を考えているんだ」と技術系社員に言ってやりました。ディーラーのセールスマンの意見を忠実に、もしくはダイハツのようにネットを使ってでも庶民の意見を正確にフィードバックしている体制が取られているか疑問です。

 日産の新車種開発の際、上司に企画を上げていくが、斬新なモデルを持ち込めない様な雰囲気があるらしい。若い技術者達はユーザーがあっと驚くような車を作りたがっているようだが、10年前から何も変わっていないと指摘する同社社員がいる。
 斬新なモデルを投入したはいいが、売れなければコストだけが残り、そのリスクを誰がとるのか?技術者は革新的な開発を上司に提案出来ないという、悪循環に陥ってしまっているようです。
 読者の皆様も、ここ数年の日産のニューモデルをみればご理解頂けると思います。乗用車に拘りRV投入が一番遅れ、投入したはいいが、他社の物まねのような車ばかり開発しているのが現状でしょう。
 しかし、いすゞより斬新なモデルを設計したデザイナーが移籍しており、来年あたりからその効果が出ましょう。

 今回の説明会でゴーン氏は、「日本における責任の所在を明確に」と言及しているが、早く改善していただきたいものだ。

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