稲畑産業(東8098) 1999/12/21更新
1999/12/21(火)メルマガ「億の近道」同時掲載分
稲畑産業(東8098) ☆☆
 メルマガ・HP読者から、「稲畑産業を保有しているから調べてほしい」との依頼。どこかのブローカーが、900円目標でリコメンドしていると聞き流していたので、記憶を辿り遂に到着。まずは四季報を捲り特色をチェック。

 住友化学系の専門商社で、住友製薬の大株主でもあり、電子材料も扱っている。事業構成は、情報電子25%・住環境15%・化学品22%・合成樹脂31%・食品他7%と、思った以上にバランスが取れている。貿易比率は20%と、為替はあまり気にしなくてもよさそうだ。
 次に本文。合成樹脂市況安、化学品も輸入品に敗退。LCD(液晶)向け電子材料好伸、果実等農産物輸入増で高粗利部門が健闘と書いてある。つまりおいしい部門の一部は市況でブレル可能性アリだ。東南アジアも収益復調、人件費他営業諸経費削減か・・・。
 左上の資本移動。最近は公募増資をやっておらず96年4月に転換社債95億円発行と、詳細を見るために四季報後ろの方にある転換社債のページを捲ってみる。残存91.2億円とほとんど転換されておらず、転換請求最終日も2003年とまだ先。株価上昇時の上値抵抗となる株転も、転換価格が807円なので気にしなくても良い。株価は3−4年前の半値だ(安値は98年の275円)。
 資本金は約58億、発行済は約5600万株、時価総額は約240億とビッグファンドは当分出そうにないな。有利子負債が多いのは商社特有、しかし自己資本比率17.8%は低い(公募をやっていないし)。
 ただ1株当り純資産396円は時価と近く、安心感に繋がる(必ずしもとは言えないが)、金融収支は黒。
 大株主を見ると、住化・DKB・のあとLBSS6250ケルムズ一体なんだ。その後が問題。住生・住銀・住信と今後の持合い解消が気になる。その下の横文字は海外口座のものだ。更に下に記してある外国は外人持ち株比率が7367千株で13%ということだ。右下の銀行欄はDKB・住友・東三と合併による影響はなさそう。
 以上が四季報をざっと見た印象。

では本題に入ろう。
 売上の約半分がケミカル品(従来型とでも呼ばせて頂こう)で、残りの分野特に情報電子や医薬中間体などに経営資源を集中させ、中期経営計画を掲げ事業改革を断行するというもの(断行とはいいすぎかな?)。
 情報電子部門はマスクブランクス・シリコンウエハーの表面保護に用いられる材料が好調(シェア5割)、TFT(LCD)向けに偏向板など国内外とも好調。子会社で生産しているハンドラーが上期より輸出回復、プリンター向けインク原料の好調など、今・来期とも堅調な伸びが期待できる。
 住環境関連は、木材の輸入販売を行っており、企画などトータル力があるため町の工務店には有益な存在のようで、決して好調とは言えない住宅マーケットにおいて、足許そして今後堅調な推移が期待できそう。
 食品分野では、シンガポールでエビの養殖を行っており、かつてはおいしい分野であったが最近は単価が下がり、その分中国のアロエなど果汁の輸入販売で利益を確保しており、売上こそ全体のなかでは小さいが粗利率は高い。

 現状、売上の半分を占めるケミカルが足を引っ張るものの、好採算な分野が牽引しており、関連の住友製薬の連結効果もあり、今後の業績は期待できよう。
同社は最近、中期経営5ヶ年計画を打ち上げた。2004.3期に単独売上3000億、経常利益50億、連結売上3600億、経常90億と医薬中間体・特殊化学・情報電子で売上の5割、経常利益の6割を稼ごうというものである。

  1. 情報電子:今期比売上67%増の956億、経常利益3倍増の21億
  2. 化学品:26%増の630億、経常利益は3倍の10億
  3. 住環境:30%増の459億、経常利益は6倍の6億
  4. 合成樹脂:7%増の763億、経常利益は80%増の9億
  5. 食品分野:19%増の192億、経常利益は倍増の4億
という計画だ。
 為替は輸出部門が1$=110円、輸入部門が1$=120円で見ている。
投資判断は☆☆にしておこう。
同社を信じるかどうかは読者の皆様が判断してください。
12月21日引値431円
あくまで投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり内容を保証したわけではありません。
投資に当たっては投資家自らの判断でお願いします。
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