三井不動産(東8801) 2000/12/01更新

2000/12/01(金)

三井不動産(東8801) ☆☆

 当社の社長は歴代、任期中に一大事業を仕上げています。江戸英雄氏の時代には霞ヶ関ビルなど高層ビル建築の先駆けとなりました。以後も、常に変革に対応し、業界をリードしてきました。

 現在の岩沙弘道社長は、就任以来「ノンアセットビジネス」(資産を保有せず、不動産の企画・開発・管理・運営などで手数料収入を得る事業)を仕上げることに注力しています。
 98年4月には資産マネジメント本部を発足、全額出資子会社三井不動産投資顧問と連携するなど、不動産投資への助言サービスや投資分析サービスのノウハウを蓄積してきました。SPC方式による「不動産の証券化」への取組み、「不動産投資信託」(日本版REIT:Real Estate Investmennt Trust)新市場発足へ向けての準備も他社をリードしてきました。

 今3月には、野村証券、住友生命などと「三井不動産オフィスビルファンド」をビル9棟、約600億円でスタート。当初は、「匿名組合方式」の形式をとったものの、改正投信法施行(今11月30日)後に「投資法人」(会社型投資信託)へ移行し、東京証券取引所への上場を目指しています。さらに、みずほグループともファンドを設立しています。

 私自身も、新市場創設により最もメリットを受けるのは当社であると考え、年初の700円台から当社株を推奨しました。しかし、現在は新市場への過大な期待についてはネガティブにとらえています。

 米国のREITは60年に創設されましたが、90年代初頭の不動産不況時代より年金、ミューチュアルファンドなどの流入により、時価総額が急拡大。上場200社以上、15兆円レベルにまで拡大しました。
 わが国との相違点は、税制面での優遇がはかられたことと、米国には当社のような大手デベロッパーが存在せず、不動産の保有会社がそのままREITに形を変えて株式を公開したことです。わが国では、不動産の運用者と保有者が別になっています。これが、良くいわれる「利益相反」の問題です。

 証券化ビジネスを手掛ける友人も、「三井不動産オフィスビルファンド」に組み入れられた物件が「収益性で劣る」点を指摘します。つまり、高収益が見込める物件は手元に置き、多少見劣りする物件をファンドに拠出しているわけです。
 会社側はこの点を否定しますが、前述の税制面も含め、REIT市場がいかに立ち上がるかを注視する必要があるものと思います。

 なお、当社のバランスシートの改善は順調です。収益も拡大基調ですが、株価は既に日本版REITに対する期待を相当に織り込んだものと判断します。とりあえず、☆☆とします。(駄洒落商会会長)

 

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