三菱地所(東8802) 2001/02/28更新

2001/02/28(水)

三菱地所(東8802) ☆☆☆


 今回は不動産株に目を向けてみましょう。以前に三井不動産(8801)を取り上げました。業界では最も「ノンアセットビジネス」に注力しており、「J‐REIT」組成でも先行しています。三井建設支援問題が嫌気されて株価は一時、1,000円を割り込みましたが、その後回復しています。基本的には「押し目買い」と判断していますが、「J‐REIT」に対する過大な期待は禁物と考えています。

 財務省(旧大蔵省)が「J‐REIT」導入を急いだ理由の一つは、年金の運用先の確保並びに不良債権問題の解決です。日本人は土地の保有を好む国民ですし、企業も同じです。「土地本位制」のしがらみを1,300兆円にも達する個人金融資産の円滑な運用により解き放ち、再度わが国を成長軌道に乗せることが出来れば、それは幸甚といえましょう。
 私もそうした姿が望ましいとは思いますが、一部の評論家が述べる、「J−REIT」の導入ですぐにも不良債権問題が解決される、といった楽観論には組しません。その理由は、大手不動産各社の「利益相反」と「税制」の問題です。「三井不動産」の項をご参照いただきたいと思います。(ぢんぢ注:2000/12/01配信)

 さて、今回取り上げる三菱地所の発祥は1890年、三菱社が政府から丸の内の土地約35万m2の払い下げを受けたことにさかのぼります。以来、丸の内を基盤とする不動産賃貸大手として業界に君臨してきました。
 バブル期以降、丸の内からのテナントの流出に苦しんできましたが、現在は「丸の内活性化プロジェクト」を推進中です。これは、10年間で5,000億円を投入、うち2,000億円をリニューアルに、3,000億円を再開発に投資する計画です。リニューアルによりイメージを一新できるほか、キャッシュフローの安定的な伸びが期待できます。

 また、昨年5月の都市計画法改正により、土地の利用効率を高めるために、複数の建築物間で容積移転を容易を可能とする「特例容積率適用区域制度」が創設されました。丸の内がその対象地域となる可能性は高く、その場合当社の開発利益増加が見込まれるなど、恩恵は大きいものと予想されます。

 なお、当社の賃貸部門の空室率は、前2000.3期末の9.7%が2000.9(中間)期末には7.0%に改善しています。当面好調な市場環境の持続が見込まれますが、他社の空室率がタイトな水準に達しているのに対し、当社が改善余力を残している点は収益上乗せ要因として注目出来ます。

 一方、足元減速傾向が見られる分譲不動産事業については、当社の連結営業利益に占める同事業の割合は10%(三井不動産23%、住友不動産25%)と相対的に低く、影響は限定的となる見通しです。現在は、不動産大手の中では当社をイチオシしたいと思います。ただし、「押し目買い」です。(☆☆☆)(駄洒落)

 

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